87話
通行の番人のところから出てファビルテに着いたので、検問を済ませギルドへと向かう。
ギルドに着いたので中に入ったのだが、入ってすぐに違和感を覚える。
フランさんがいないのだ。少なくとも見える範囲にはいない。ただ単になにかの用事で奥にいるのか?と思い待機してみるが、5分くらい経っても来る気配がない。
ギルドの建物内はある意味不思議空間みたいになっていて、受付担当が1人と、その人に会いに来た人、もしくはパーティしかそこの空間に居ない。
つまり、今ここにいるのは俺のみ―――フォルもいるが―――となる。どうすればいいか分からないが、このままじっとしていてもどうにもならないので、カウンターのとこから中に向けて声をかけてみることにしよう。
「フランさん、誰かいませんかー」
と、声をかけてみるが、なにもかえってこない。
前にフランさんに話を聞いた限り、こういったことは無いはずなのだが、少なくとも担当がいなくても代わりの人がいるらしいし。
しばらくすると、声が届いたのか奥から1人出てきた。
その人物は一応俺も知っている人だが、普通出てくるとは思えない人だった。そう、ギルドマスターである、ブラングさんだ。
「お久しぶりです、ブラングさん。フランさんや受付の人がいないのですが、どうしたんですか?」
「うむ、ソランであったな?そのフランの件でちと問題が起こっての。実はちょっとした呪いのようなものにかかっしまっておるんよ」
ブラングさんの口から出た『呪い』というものに対して慌てて問いただそうとした俺をブラングさんは右手を俺の前に出し遮り
「慌てなさんな。もとより話すつもりじゃったしな」
と言う。
元からこの後の話だけ決めてありました。囚われの姫的な?




