236話

フォルに奇襲をくらった兎だが、体制を崩した状態で地面を蹴ることで、無理やり距離をあけつつ体制を元に戻した。

しかし、それはフォルを相手にする時には悪手としか言いようがなく、やはりと言うべきか、フォルは風魔法で追い打ちをしていく。

そのあとは一方的な戦いで、フォルは兎との距離をとりつつ、兎がジャンプしようとするタイミングで風魔法を当てていく。というのが続いた。

兎の行動はジャンプだけではないが、どちらにしても風魔法のノックバックによりフォルに近づくことが出来ていない。

やはり、兎では見にくく早い風魔法は対処出来ないようだ。

それから数十秒後。結局兎はフォルに一撃も入れることが出来ずに倒れ、ポリゴンへと変わっていった。

う〜ん。兎だとフォルの相手としては不十分かもな。俺も兎相手に苦戦した覚えは‥‥‥夢現しか無いし。

と、戦闘が終わったからフォルがこっちに向かってくるな。

「フォル、おつかれ。兎相手だと物足りないか？」

「こん！‥‥コン」

少し考えるような動作をしてから頷かれたので、やはり兎相手だとダメなようだ。

相手を変えるべきなんだと思うが、何と戦うべきだろうか？

俺の戦った順番と言うと、兎→夢現（兎）→狼→蛇→石っころ→ガラクタさん→黄色蝶→夢現（やばい兎）だったと思う。

石っころは俺が魔石を露出させた状態でフォルにとどめを刺させたから勝てたけど、フォル1匹となると決定打がなく、無理だろう。

夢現とガラクタさんも同じような理由で論外だし、次戦うとしたら狼か蛇か黄色蝶になる。ただ、体格的に狼相手だとフォルの攻撃があまり通用しない可能性があるから、狼は見送りでいいだろう。そして、蛇も光がないと俺も見つけるのが困難だし、手助けをしない。という条件だと、実質的に黄色蝶になるか。

「兎相手だと、物足りないっぽいし、黄色蝶‥‥‥イエロー・バタフライがいいと思うがどうだ？」

フォルが戦う相手だと黄色蝶が1番いいと思うけど一応確認を取る。

「‥‥‥こん？」

ん？‥‥‥あっ

「あっ、そういえばイエロー・バタフライと戦ったのはフォルと出会う前だったな。なら、わかんないか。一応俺が考えた中で1番フォルが戦うのにいい相手だと思うけど。どうだ？」

「こん！」

どうやら、俺が考えたんだし、黄色蝶でいいらしい。

やっぱり改めて思うけど、従魔の腕輪ってすごい便利だな。それに、フォルが何を伝えたいのか結構わかるから、フォルとの関係も良好というのも形としてわかるのも結構いい。

さて、フォルも賛成したわけだし、フォルを抱えて森へと向かう。行きと同じように、風魔法は使わずに身体強化魔法のみで動いていく。ただ、行きとは違い、前へ前へと跳びはねるようにと進んでいく。

それと、ずっと動かしているおかげかは分からないが、魔力を動かす速さが少し上がった。多分午前中に魔力を沢山動かしたのも影響しているだろう。

そして、魔力を動かす速さを早めると、身体強化のレベルが少し上がったようだ。

向かう間は暇なので、今わかっていることから少しだけ身体強化魔法の考察をしてみるか。