172話
勘が‥‥‥戻ってきた気がする。
採掘も終わり、もうできることは無いので扉に触れてこの部屋―――というより空間?―――から出る。
転移が終わり周りを確認すると、いつもとは違い少しだけ出口―――洞窟の入口でもあるが―――側に出た。
何故?という疑問の答えはすぐに見使った。というのも、いつも出る場所である通行の番人の扉?の前にプレイヤーと思わしき人がいたからだ。いや、このプレイヤー(仮)はどうでもいい。それよりも、こういった転移は、転移する場所に障害物などがあった場合少しだけずれるようだ。
まぁ、それでも限度はあるだろうし、塞ぐ側にも何らかのペナルティがあるかもしれないから別に問題ではないか。
「おい!そこのお前!」
いや、この世界のことだからもしかしたらフランさんに聞けば答えがわかるのか?
そういえば、ギルドに入るときもこんな感じの転移があるし、きっと分かるだろう。
「聞こえてんだろ!無視すんじゃねぇよ!」
もしかしたら注意事項などもあるかもしれないし、後で確認しておこう。何らかの禁止事項的なことを知らずにやって、検問のあの犯罪者を見分ける水晶に反応したら嫌だし。
「くっ、テメェェ!」
「ん?‥‥ってい!」
転移について考えながら草原へと移動していたら、殺気‥‥‥のような何か?を『気配察知』で感じとり、気配の方を確認して見たら、棍棒のような何か?を振り下ろして攻撃してきていた。
一瞬呆けてしまったが、攻撃されている。ということだけは認識できたため、即興で作り出した風魔法による空気の塊を棍棒?を持ったやつに飛ばす。ぶつかった敵?
改めて襲ってきた奴を見てみるが、色々酷い。
まず棍棒のような何か。これに関してはただ単に鉄を固めて作った感じで、俺的には武器としての性能―――というより使いやすさかな?―――が悪いような気がする。もしかしたら俺の知らない武器なのかもしれないが、その可能性は低いだろう。
それに思い返してみれば、棍棒?での殴り方も、適当に振り下ろしているような感じで、起動がダメダメだった。
このゲームを始めるまで武術などに全くと言っていいほど関わりのなかった俺だが、3度に渡る夢現との戦いによってこういったことに関しての目は結構肥えていると思う。まぁ、夢現と比べるのも酷かもしれないが。
というか、こいつさっき通行の番人の扉の前にいた数人のうちの1人じゃないか?興味がなかったので覚えてないから不安だが、多分そうだろう。
まぁ、理由は聞くべきだろうか。場合によっては殺るが。
「で、なに?」
少しホラー的なのを意識して笑顔で問いかける。
一応フラグ回収なのかな?
男の人でも、『ってい』とか言うよね?まぁ、最悪、ソラン君が少しおかしいと言うだけなんだけど‥‥




