132話
接近しつつ、魔力を練り?魔法を放つイメージをする。
使用するのは火魔法。
これで、夢現にダメージが入るのかは分からないし、入るとは思えないが、目的はダメージでは無いので、大丈夫だ。
目的は目眩しだ。夢現の顔の周りを火で包むようにして、俺がどこにいるのかを視界での把握ができないようにする。俺の持っている『気配察知』のようなものは防げないが、それも正確に位置を把握できないのはこれまでの戦闘で分かっているので、これで夢現は俺の攻撃に対応しずらくなっただろう。
そのために、威力抑えめにして、その分持続力を伸ばして、俺が攻撃するまで火が消えないようにする。
ギザギザに蛇行しながら夢現へと接近し、夢現との距離が5mくらいになった時に、用意しておいた火魔法を無詠唱で唱える。
そして、火が発生して夢現の顔を覆うのを確認したのと同時に、夢現を、中心とした円を描くように旋回して、夢現の背後へ回る。
その際、パッシブアーツの『無音行動』を意識して、より足音を小さくしながら移動する。
夢現の顔を火で覆っているから聴覚もほとんど失われてると思うが、夢現は兎だ。
もしかしたらと言う可能性だが、聞こえるかもしれない、夢現の『気配察知』的な能力は聴覚に由来するものの可能性もあるので、できるだけ足音が出ないようにする。
ちなみに、最初から『無音行動』を意識して、足音を小さくして移動すればよかったのでは?と思うかもしれないが、それは出来ない。
と言うより、できなかった。何故なら、『無音行動』の存在を今の今まで忘れていたからだ。
まぁ、パッシブアーツなので普段意識することは無いからしょうがないだろう。
そして、夢現の背後へ回り終わったら、『ルート』の風の力を使い、夢現の方へと急カーブして、スピードをあげる。
等の夢現はと言うと、構えていなく―――と言うより、腕がないから構えているのか分からない―――さっきまで俺が蛇行していた方を見ている。
勘が何となく、戻ってきた?感じ?かな。




