129話

「ソランさん！これからはダメージが入るそうです。頑張ってください！」

これは‥‥フランさんの声？

チラッと横目で折を見てみると、さっきまで倒れていたフランさんが起きており、両手で蔓を握っている。

フランさんの所へ行きたいが、今は夢現と戦っているから自重しよう。

まぁ、両腕を切り落としたからしばらくは襲ってこないだろうと思うけど。

‥‥ん？ちょっと待てよ。さっきフランさんなんて言った？

何かダメージが入るようになった。とか言ってなかったか？

それは、夢現だけだろうか？それとも、この空間にいる全員？全員だとしたらさっきよりも、攻撃を全力で回避しないと行けなくなるのだが。

何せ俺、紙装甲だし。それに身体的に耐えれてもHP全損で1発でお陀仏だし。

とりあえず、フランさんに聞いてみよう。

「フランさん、ダメージが入るって夢現だけですか？それとも全員ですか？」

すると少し間を開けて

「‥‥分かりません。ただ、ダメージが入るとしか言われてません」

と、返ってきた。

言われたって誰にだろう？

まぁ、これに関しては後で聞けばいいか。

このままだと不安が残るだけなので、知っていそうなやつに話を聞くことにする。

えーと、確か伝えたいと思いながら考えればいいんだったな。

(ルート、聞こえるか？)

『うん、聞こえるよ。で、ダメージが入るのが夢現だけかどうか、だったね？

結論から言うと、全員に入るね。さっきまでソランや夢現にダメージが入らなかったのは、簡単に言うとフランちゃん‥‥であってたかな？からこの空間や夢現に必要なものが吸われてた状態だったけど、それが無くなったからこの空間が不安定になったんだよ。だからさっきまでとは違ってダメージは受けるよ』

ふむ。そういえば、ルートからは俺のしていることが見えてるし、聞こえてるんだったか。それならまだ言っていない―――思考での会話だからあっているか分からないが―――のにこう返ってきたのは別におかしくないのか。

(なぁルート、ダメージを受けるふうになったんなら、今してる『強化融合』も維持できなくなったりするのか？)

『ん？あぁ、それは無いから安心していいよ。そんなことよりもソラン、そろそろ夢現が動き出しそうだよ』

『強化融合』が解除されることはないのか。それなら一安心かな？

と、ルートに注意されて夢現を見てみると、バランスをとるのに慣れたようで、今にも動き出しそうだった。

とりあえず、被弾ゼロを意識しよう。