表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
義妹ハーレム  作者: ひだまりのねこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

113/113

第百十三話 決着 異世界から日常へ


(お待たせ克生くん、反撃開始よ)


 待ちわびた報せに克生は安堵する――――正直ギリギリだった。


(ヤツを滅する許可は下りたわ、遠慮なくぶっ飛ばすわよ!!)


 女神の癒し――――克生の全ステータスが完全に復活する。


(でもラクシュ、ヤツにダメージを与えることは難しいです)


 今、ある程度戦えているのは相手の力が制限されていること、長年に渡る眠りから覚めたばかりで本調子ではないからだ。自力に差があり過ぎて、たとえ攻撃を加えることが出来たとしても有効打にはならない。


(馬鹿ね――――言ったでしょ)


 愛は――――無敵なんだって

 

『ぐわっ!?』


 天から降り注いだ閃光が元神を吹き飛ばす。  


 そして――――そこに立っていたのは


「ら、ラクシュ……?」 


 地上に舞い降りた女神――――その輝きは夜明けの魔法のように儚げで宵闇の空のように美しい。


『囚人名ゲハルド、脱獄と複数に渡る世界の破壊、および私の管理する世界への不法侵入と破壊行為、以前の罪と合わせて死罪となった。愚かな……大人しく服役していれば死なずに済んだものを』


『キサマ……管理者か、だが――――力を制限されているのはお前も同じだ。何が出来る?』

『残念、私には一時的に干渉する許可が下りているのよ、観念なさい!!』


 ラクシュの放った光がゲハルドを拘束するが――――


『クク、この程度で我を抑えられるとでも思っているのか? 舐められたものだな!!!』 


 ゲハルドが力を開放すると拘束していた光が千切れてしまう。


『げっ、何コイツ強くない?』


 先ほどまでの余裕そうな表情があっという間に崩れてしまう。 

 

『クク、制限解除された空間では我もまた制限が解除されるのだ、管理神ごときに後れを取る我ではない!!』


(ラクシュ、大丈夫なんですか?)

(駄目、やばいやばいやばいやばい……よく考えたら私、武闘派じゃないし!!)


 はあ……克生は小さく息を吐くと意を決したように顔を上げる。


(ラクシュ、俺に考えがあります)

(……なるほど、やってみましょう)


 克生の心を読んだラクシュが頷く。



『眷属ともども死ね……と言いたいところだが、どうやら構っている時間が無いようだ。この世界のリソースは貰っていくぞ女神よ。さらばだ』


 リソースを奪われればこの世界は維持出来ずに崩壊する。リソースを強引に奪えば得られるものは少なくなってしまうが、追手が迫っている中、別の世界へ逃げるには十分だ。


『そんなことさせない!!』


 ゲハルドが意識を移した隙を突いて――――ラクシュは克生と唇を重ねる。


 その瞬間――――光が爆ぜた。

 

 銀色の奔流が世界を埋め尽くし――――幾重もの流れはやがてひとつの大海となる。


 そのたなびく髪は月の女神の銀色で


 揺れる瞳は幾千の星を映す銀のゆりかご


 世界は息をひそめて見守る


 畏怖と歓喜と期待を込めて



 神装形態――――――――『ラクシュ』


 それこそは女神ラクシュと克生が融合した究極の戦士。


挿絵(By みてみん)


『さあ……裁きの時間だ』


 『ラクシュ』は神剣アストラルブレードをゲハルドへ向かって振り下ろす。


『馬鹿な……融合……しただとっ!?』 


 驚愕に顔を歪めるゲハルトだったが、即座にリソースを奪う術式を中断して迎撃態勢に入る。


『失われし神々の名、高き天より伝承されし古の力。我が身に宿りし女神の息吹と共に、遥けき真理の名を刻め。ここに集いし全ての意志と共鳴し、万象を貫く一振りとなれ。我が声に応えよ。悠久の時を超え、滅びの旋律と共に終焉を迎えし者の魂を抱け。その調べは刹那の閃光、断罪の一閃、全ての罪と偽りを解き放ち、神の域を超越せよ――――」


――――『オメガ・レクイエム(神殺しの斬撃)


『がはあっ!?』


 その斬撃は――――ゲハルトの鉄壁の防御ごと真っ二つに切り裂いた。一時的に女神の力を得た克生の全力の一撃だ。いかなゲハルトといえども躱すことも防ぐことも出来なかった。


 アストラルブレードは神をも殺す神滅の神器、神の肉体は滅びることはないが――――魂を破壊されれば再生は出来ない。両断された切り口から崩壊してゆくゲハルト。


『やったか!!』

(ラクシュ、それはフラグです)

『あはは、一度言ってみたかったのよ!!』


 幸い心配するようなフラグは立たなかった。


『終わったわね』

(終わりましたね)


 ラクシュは天界へ戻り、皆が元気に帰ってくる。 


「皆、無事で――――本当に良かった!!!」


 泣きながら集まってくる大切な家族の下へ――――


 克生は走り出すのであった。






「真夏にセーター先生の新作、本日先行発売です!!」


 抽選で選ばれたファンがすでに三日前から泊まり込んでいるほどの熱狂、抽選から漏れたファンも諦めきれずに大勢集まっている。当日券が配られるかもしれないという噂が出回ったせいだ。 


 表紙&挿絵イラストはもちろんデビューからタッグを組んでいる『ビクトゥリー」先生。まあ……どちらも同一人物なのだが。


「はあ……もう楽しみで死にそう!!」

「私もです。この日をどれだけ待ちわびたことか!!」

「へえ、そんなに面白いんだ? 私はイラスト目当てなんだけど」



「お、おい、あれ……真冬にタンクトップ先生だよな? それに――――神モデルのクロエに――――トップアイドルの真尋までいるじゃねえか!?」


 とんでもないメンバーの登場に会場は大騒ぎになる。


「っていうか、一緒にいるイケメン誰だよ?」

「お前知らねえのか? 伝説のモデルKATSUKIだよ!!」

「マジかよ……真夏にセーター先生人気半端ねえ!!!」

「というか……あの集団、全員とんでもない美少女だらけなんだがっ!?」 

 


「あのう……わざわざ並ばなくても?」


 克生にしてみれば彼女たちがなんでこんなことをしているのか理解できない。本だってサイン付きで一番に渡すと言っておいたのに、と。


「お兄さまは全然わかっていないのですわ!! こうして他のファンと共に味わう空気も含めて至高の時間なのですから」


 焔の言葉になるほど、そういうものかと納得する克生。


「ファンの気持ちはわかりませんが、こうしてお兄ちゃんと一緒に過ごす時間が至高だということはわかります」

「うむ、私も聖に同意だ」


 小説やイラストにはあまり興味がない聖、魔璃華だが、可能な限りこうしてついてくる。嬉しいのだが、あまり公の場でくっ付いてくるのは困りものなのだったりする。



「紗恋編集長、そういえば真夏にセーター先生の新作、社会現象になっているみたいですね」

「あはは、おかげで担当部署は大変みたいだけどね。でもこっちも忙しくなるわよ?」

「ああ、そういえば今日でしたっけ? 伝説のモデルが復帰するんですよね?」

「ふふ、みんな驚くわよ――――って、来たみたいね」


「やっほー紗恋!! 久しぶりだから緊張しちゃいますね」

「なぜ私まで……」

「今日はよろしくね、エリカ、クララ」


 現れた二人のモデルに編集部は騒然とする。十年以上前に引退した元伝説のモデル、当時を知るスタッフは紗恋と副編集長だけだ。事前にエリカがKATSUKIの母で、クララがクロエの母であることは聞いていたので、ある程度は想定していたのだが――――次元が違った。どう見ても女子高生、下手をすれば中学生でも通りそうな容姿、そして――――絶世の美少女という表現ではとうてい足りないほどの可憐さに人妻ならではの妖艶な色香も併せ持っているのだから。




「なあ克生、また転入生が来るらしいぜ?」


 学園一の情報通、隆道は親友である克生にそっと耳打ちする。


「へえ、そうなんだ」

「なんだよ相変わらず反応薄いなっ!! 


 隆道は知らないが、克生は新作発売以降寝る暇も無いほどのハードなスケジュールを送っている。当然婚約者たちとの時間も確保しているわけで――――つまり今は頭を空っぽに出来る大事なリラックスタイムなのだ。


「一体どうなっているんだろうな? はっきり言って今年は異常だよ、まあ……美少女が増えるのはウエルカムだがな!! いいか克生、わかってるとは思うが手を出すんじゃないぞ? これ以上俺たち男子の夢を奪うな!!」

「ははは、わかってるって」


 生返事をする克生だったが、美少女と転入生とくれば嫌な予感がしないでもない。



「皆、今日からこのクラスの仲間になるサラさん、ミルキーナさん、ハクアさんだ。三人ともまだ日本に慣れていないので仲良くしてやってくれ」


 担任の真尋に紹介されたのは、全員異国情緒あふれる超絶美少女。クラスの男子は涙を流して歓喜し、女子も瞳を輝かせている。


「おおおお!!! 何という目の保養!!! くう、誰でも良いからお近づきになりたい!!!」

「……そ、そうだな」


 歓喜の雄たけびを上げる隆道からそっと目を逸らす克生。


「さて、三人の席だが――――」


「マフユ、私はカツキの隣が良い!!」

「わ、私もカツキさまの隣でお願いします!!!」

「私は……カツキさまのお膝の上で」


「はあっ!? 彼の隣は私なんだからね? 諦めなさい」


 真尋は克生に腕を回して譲らぬ構えを見せる。


「マヒロ!! ズルいぞ!!」

「それでは私は反対側で構いません」

「あはは、私は膝の上だから問題無し!!」


「えっと……急用思い出したから早退しようかな」

「待て克生、まさかと思うが――――」

「あ、あはは……うん、全員俺の婚約者みたいな?」


「うわああああああ!!!! 俺の春はいつ来るんだああああ!!!」

「もうすぐ夏だぞ?」

「そんなこと言ってるんじゃねえええええ!!!」


 すっかり風物詩となった隆道の叫びが教室に響き渡るのであった。

  


 おしまい

義妹ハーレム、これにて一旦完結となります。まだまだ物語は続きますけどね。

年末体調を崩してギリギリになってしまいましたが、なんとか目標だった年内完結することが出来ました。

最終的に約三十万文字、かなりスリムさを心がけたのですがやっぱり長くなり過ぎました(;^_^A

次回作はこの反省を生かして、キャラの人数を絞ってみようかなと。

とはいえ、今作では色々実験的な試みを出来ましたし、最後まで楽しく書くことが出来ました。

最後まで読んでくださった皆さまに心からの感謝を。


良かったら感想や評価などいただけたら励みになりますし幸せです。それではまた次回作でお会いしましょう。バイバイにゃあ(≧▽≦)



サカキショーゴさまより妹四人の素敵なイラストをいただきました(*´▽`*)

挿絵(By みてみん)

クロエ、焔、聖、魔璃華  めっちゃ可愛い(´艸`*)


こすもすさんどさまより完結記念のイラストをいただきました(≧▽≦)

とっても可愛い魔璃華です!!

挿絵(By みてみん)


ゆさまさまが神装形態『ラクシュ』のイラストを描いてくださいました(≧▽≦)

めっちゃ凄くないですか? イメージぴったりでしたので、そのまま挿絵として使わせていただきました。

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
完結までお疲れさまでした!! いやまさかの裏ボス的な存在がいたとは!! だけど倒せてよかったぜ。 でもって……これからが大変じゃのぅ(;゜Д゜)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ