告白されて
駅に到着すると、すでに光樹が待っていた。
ダッフルコートがとても似合っていて、いつもよりかっこよく見える。
「お、お待たせ」
「ううん、それより今日は楽しもうね」
なぜ彼はいつもこんなにニコニコしているんだろう。
ここまで笑顔でいられると、こっちも自然と笑みがこぼれてきそうだ。
2人が向かったのは水族館、最初の頃のデートの定番スポットだ。
冬休みに入ったばかりというのと、クリスマスイブということで
思った以上に中は混んでいた。
「綾音ちゃんは魚とかって好き?」
「んー…あんまりよくわからないかな。でもペンギンは好きだよ」
そう答えると、光樹が「よかった」と笑顔になった。
この笑顔は反則だ。
今まで何回も会っているのに、2人きりで自分だけのために
この笑顔をされるとドキドキが止まらなくなる。
綾音の気持ちは一気に光樹へと傾き始めていた。
「あー。ペンギンだ!」
ペンギンの水槽を発見した綾音は、思わず駆け出していた。
「かわいい~」
横に光樹も立って、一緒にペンギンを眺めている。
「こんなにいっぱいいるんだね」
なんかデートしてるって感じがする。
まわりから見たら、わたしたちってカップルに見えるのかな。
なんだか急に恥ずかしくなった。
おとなしい綾音も、光樹の笑顔のおかげで思った以上に自然体でいられる。
おそらく異性でこんなに自然体でいられるのは、光樹と勇だけだろう。
ショーを見たりしたので水族館を出ると、夕方の4時になっていた。
「綾音ちゃん、まだ時間平気?ちょっとだけ行きたいところがあるんだ」
「うん…わたしも行きたいところがあるの…」
それはきっと同じ場所だ。
行き先を告げず、2人は歩き出した。
この時期は暗くなるのが早い。
5時くらいには、完全に夜の風景へと変わっていた。
「わー…すごくキレイ…」
そこは有名なイルミネーションのスポットだった。
綾音はクリスマスだからどうしても見たいと思っていたが、
光樹が何も言わずにそこへ連れて行ってくれたことが嬉しい。
まわりはカップルだらけ、大人のカップルもいれば、
綾音たちと同じくらいのカップルもいる。
まさにクリスマスならではの光景に、自分たちも含まれていることが
嬉しくもあり、恥ずかしくもある。
歩きながらイルミネーションを眺めていたら、光樹の距離がさっきよりも近くなっていた。
腕が触れ合うくらいすぐ隣にいる。
光樹が足を止めたので、つられて綾音も立ち止まった。
ジッと見つめている視線を感じる。
この先の展開は、さすがの綾音でもわかったので、緊張してきた。
OK…してもいいよね…
「綾音ちゃん…俺の彼女になってください!」
このシチュエーションに、この告白、綾音に断れるはずがない。
「は、はい…」
返事をした綾音の顔は真っ赤になっていた。
光樹は、この返答を聞き、すぐにいつもの…いや、いつも以上の笑顔になっていた。
「ありがとう。これからよろしくね」
そう言って、そっと手を繋いでくれた。
真冬の外なので、綾音の手は冷たくなっていたが、
光樹の手の温もりはとても暖かかった。
綾音はその手を強く握りしめた。




