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Be My Self  作者:
24/48

予想外の人物2(小説的に笑)

「おいおい、4対1なんてずいぶん情けないな」

「あ?」

いつの間にか綾音の後ろに20代半ばくらいの男性が立っていた。

その横には男性と同じくらいの年齢の女性もいる。

その女性が綾音の肩を抱いてくれた。

「怖かった?もう大丈夫だからね」

その手は暖かく優しい。

恐怖が薄れていき、安堵に包まれた。

男性は4人のほうへ向かって歩いていく。

「なんだこのオヤジ」

「オヤジ?俺はまだ23なんだよ」

男性は4人もいるのに堂々としている。

柔道をやっている勇ですら多勢に無勢だった。

「助け…呼びにいかないと…」

綾音がボソッと呟くと、女性は「大丈夫」と言った。

「あいつ、昔からケンカだけは誰にも負けたことないんだってさ」

「でも…」

女性のまなざしはぶれていなかった。

信じてる、それが伝わってくる。

綾音はそれでも半信半疑だった。

「今すぐ消えるなら見逃してやる。もし俺に向かってくるなら…覚悟しろよ」

「うるせー」

「やれやれ」

前田が男性に向かっていく。

パンチを繰り出したが、難なく交わして足を引っかけた。

前田が転ぶと、今度は名前がわからない少年の腕を掴み、

足払いをして前田の上に倒した。

「うげっ」

人が倒れこんできたので前田が苦しんでいる。

小野も突っかかっていったが、簡単に転ばされて地面に這いつくばっていた。

「す、すごい…」

「だから言ったでしょ」

まるで格が違う、この男性がどれだけ強いのかわからないけど差は歴然だった。

男性は秋山に近づく。

「お前がリーダーか?ガキのくせにくだらないことしやがって」

「て、てめー…」

秋山が大振りで顔を殴りにくる。

それもあっさりと交わして腕を掴んだ。

「おいおい、ケンカの仕方知ってるのか?そんな大振りのパンチが当たるはずないだろう」

だが秋山はそこで不敵な笑みを浮かべていた。

「調子に乗んなよ、くそ野郎が…やれ!」

「ん?」

チラッと後ろを見ると小野が金属バットで殴りつけてきた。

「うおっ」

男性は間一髪で避ける。

「ちっ…次は外さねえぞ」

「おい、バットは野球で使うもんだろ」

「うるせー!」

ブンブンとバットを振り回す。

男性は避けながらタイミングを計っていた。

そしてバットが下に降りた瞬間、強烈な右フックが小野の顎を打ち抜いた。

ガン!という音とともに小野が崩れるように倒れこむ。

「ったく…人なんて殴ったの5年ぶりだぞ」

男性はゆっくりと秋山のほうへ近づいていく。

「まだやるか?」

男性の目つきが変わった。

人を威圧するような目つきに秋山は凍り付いていた。

ここでようやく、何人いてもこの男には勝てないと悟ったのだ。

それはほかの3人も同じだった。

前田ともう一人が小野を立たせて逃げ出した。

「お、おい…」

慌てて秋山も逃げようとしたが、それを男性は許さなかった。

身体を掴まれ、身動きが取れない。

「か、勘弁して…」

それを見て女性が叫んだ。

「ちょっと、もういいでしょ…春樹!」

春樹と呼ばれた男性が今度は女性に叫んだ。

「いいや仁菜、男にはやられたらやり返さないときがあるんだ。なあ、柔道少年」

いつの間にか秋山の前には勇が立ち上がっていた。

顔からは血が流れ、痣などもできている。

おそらく体中も痣だらけだろう。

それでも目だけは死んでいなかった。

その目を見て秋山が恐怖を感じる。

「やれ、少年!」

春樹が腕を放し、勇の前に突き飛ばす。

「ひ…ひぃっ」

「うおぉぉぉ」

勇は叫びながら強烈な背負い投げを食らわせた。

「ぎゃあ」

秋山は叫びながら倒れた。

「はあ…はあ…」

「満足したか?柔道少年」

勇は息を切らしながらゆっくりと頷いた。

それを見てから春樹が秋山の顔を覗き込む。

「おい、もう二度とこんなくだらないことするなよ」

秋山は顔を歪めていて答えない。

よほど痛いのだろう。

そこへ春樹が追い打ちをかける。

「わかったか、おい!」

怒鳴ると慌てて返事をした。

「は、はい!」

「よし、行け」

秋山はよろけながら立ち上がり、背中を抑えながら逃げるように歩いていった。

綾音はずっとその光景を眺めていた。

「よくわかんないね、男の世界って」

仁菜がそういうので、綾音も頷いていた。

確かにわからない。

やり返す意味もわからなければ、やり返したあとの満足もわからない。

もし向こうがまた殴ってきたらどうするんだろう?

痛い思いをするかもしれない、あのまま逃がせばいいのに。

それが綾音の考えだ。

でも、その光景はしっかりと脳裏に焼き付いていた。

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