表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
562/701

第558話  階上へ



 オルセーの気配を感知したのは3階。

 それは今も変わることなく、同じ場所に存在を感じる。


 ギリオンの気配は……。

 やはり感じ取れない。


 オルセーの近くにはいないのか?

 それとも?


 振り払おうとしていた最悪の想像が、どうしようもなく心を締め付けてくる。


「……」


 ただ……。


 この地下室にいても状況は変わらない。

 ギリオンの無事を、行方を探るためには、オルセーから話を聞くしかない。

 今の俺には、それ以外の術はないんだ!


 3階。

 この屋敷の3階まで行くぞ!


 軽い気配感知を発動したまま、まずは地下から1階へ。

 可能な限り気配を消し、慎重に歩を進める。


 薄暗い階段を上った先に見えてきたのは、狭い通路と金属製の扉。

 扉の向こうに……人の気配はない。

 今すぐ扉の向こうに行けるなら、姿を見られることなく地階から脱出できる。


「……」


 建物内にはたくさんの人が点在しているため、こちらの姿を誰にも見せず3階まで到達するのは困難だろう。


 それでも、自分の気配を消して、感知を使いつつ慎重に進めば……。

 不可能じゃない。

 人に会わずにオルセーの元まで辿り着けるはず。


 そのためにも、まずはこの扉から。

 脱出だ。


 ただし、施錠されていたら厄介なことになるぞ。


 ゆっくりと、扉に手を伸ばす。

 鍵は?


 よし!

 鍵はかかっていない。

 ついてる!


 素早く扉を開閉し、1階へ。

 脱出成功だ!


「……」


 扉の外は、左右に続く廊下。

 地階同様の幅狭の空間だが、明るさが違う。

 照明の光が、しっかりと足下を照らしている。


 感知通り、扉の周りには人影もない。

 なら、このまま2階へ続く階段を探せばいい。


 どっちに進めば……?


 左奥には複数の気配。

 右にも気配はあるものの、1人のもの。

 当然、右に進むべきだろ。



「……」


 右に足を進めると、すぐに壁に突き当たってしまった。

 通路は左へと曲がっている。

 先に進むには、ここで曲がるしかない。


 とはいえ、この先には誰かがいる。

 さっき感知した人の気配が、まだ存在している。


 ここは、少し待つべきか?


「……」


 そうだな。

 そこにいる誰かが立ち去るまで、待った方がいい。




 通路の角で佇むこと3分。

 人の気配が遠ざかっていく。


 もう行けそうだな。


 それでも警戒は解かず、ゆっくり通路を左に曲がると。

 当然のことながら、人の姿はない。


 人はいないが……。


 眼前には、一本道のような通路が先に続いているのみ。

 その通路も10メートル程度前方で壁に突き当たっている。


 この建物、ちょっとおかしいのか?


 そう思っても、今は先に進むしかない。

 通路を歩き、突き当りを今度は右折する。


「……」


 また、狭い通路だけが先に伸びている。

 他に道はない。


 さらに前方。

 次は壁の左右に伸びる通路。

 また通路!


 何だ、ここは?

 すっと、狭い通路ばかりじゃないか。


 まるで迷路のような通路?

 いったい、どういう構造なんだ?

 何のために、こんな建物を?


「……」


 よくは分からないが、普通でないことだけは確かだろう


 まあ、いい。

 とりあえず、今は3階を目指すだけ。


 そう思い、ひたすら通路を進むも……。

 通路の先には通路、また通路。

 ただ通路が続くばかり。


 本当に迷路なのか?

 迷った足が、ついに止まってしまう。


「……」


 この状況。

 どうやら、真剣に考えた方がいいようだな。


 ん?


 前方の通路の先に気配?

 こちらに近づいてくる?


 さらに、後ろからも!





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング ここをクリックして、異世界に行こう!! 小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
[良い点]  挟み撃ち!?   どうする、コーキ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ