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第536話  証拠



「お前たち、どうして!」


 完全に気付かれてる。

 そりゃ、そうか。


「どうしても、こうしてもねえ。追いかけてきただけだぜ」


「まさか、尾行?」


「おめえ、剣はなかなかやるけどよぉ、後ろはまったくだな」


 おい、喋り過ぎだ、ギリオン。


「ってことで、吐いてもらうぜ」


「……」


「それとも、もう一戦やっか? 傷の手当ても終わってるみてえだしよ」


 夜の帳が下り始めたこの時間に道場裏でもうひと勝負。

 ギリオンなら、喜んで戦いそうだが……。


 この状況での戦闘は、なるべく避けたいところ。


「オレはどっちでもいいぜ」


「……」


「黙ってねえで、何か言いやがれ」


 口を噤む長身剣士。

 その後ろから出て来たのは……。


「それくらいにしておけ、ギリオン」


 こちらを射抜くように目を鋭くした壮年の男。

 俺と同じくらいの身長に、均整の取れた体つき。

 オールバックにした長めの金髪も相まって、見るからに剣士といった風貌をしている。

 放つ気配も並じゃないな。


 こいつは道場の門弟か?

 それとも。


「おめえはすっこんでろ。出る幕じゃねえんだよ、レイリューク」


 そうか。

 やはり、レイリュークさんだったか。


「そうはいかん」


「庇うってんなら、ただじゃおかねえぞ」


「ほう、お前が私に何をすると言うんだ」


「けっ! んなの、言うまでもねえだろうが」


「ふふ……。相変わらず、威勢だけはいいな」


「威勢だけかどうか、試してみるかよ」


「ギリオン」


 やめとけ。

 そう目で合図を送ったが。


「どうだぁ?」


 駄目だ。

 頭に血が上ってる。


「……そうだな。うるさい害虫を退治るのも悪くない」


 レイリュークさんもやる気か。

 まずいぞ。


「ああ、害虫だと!」


「こんな時間に道場の周りを嗅ぎ回ってるのは、害虫しかいないだろ」


「てめえ!」


 ギリオンから溢れ出す剣気。

 レイリュークさんも。

 一触即発状態になってる。


「ギリオン、待つんだ」


「待てねえ」


 飛び出そうとするギリオン。

 レイリュークさんも一歩前に出ている。


 これはもう、放置できない。

 ギリオンを制するように前に出て、レイリュークさんの面前へ。


「コーキ、おめえ」


「俺に時間をくれ」


「……ちっ」


「レイリュークさん、少し待ってください」


「……君は?」


「ギリオンの友人です」


「ふむ。友人とはいえ、君が口を出すことではない」


「いいえ。私も現場にいましたから」


「現場?」


「レイリュークさんは何があったかご存じないのですか?」


「ギリオンが我が門弟を傷つけ、尾行した。そういうことだろ」


「結果的にはそうなっていますが、原因はそちらの剣士、門弟にあります」


「……どういうことだ?」


「レイリュークさん、あなたの門弟がギリオンを背後から斬りつけたんですよ」


「……」


「剣士にあるまじき、後ろからの不意討ちです」


「それを信じろと言うのか?」


「事実ですから」


「……」


 この反応。

 レイリュークさんは知らなかったのか?

 ということは、彼が指示したのではないと。


 いや、それとも……。


「コーキの言う通りだぜ。そいつが先に仕掛けたんだよ。しかも、後ろからなぁ」


「信じがたいな」


「ですが、それが事実です」


「ふむ。君たちはそう言うが、私としては門弟の言の方が重いのだよ。話が食い違っている以上、門弟を信じるしかあるまい」


「証拠があれば?」


「君の証言は証拠にならないぞ」


「違いますよ。現場には目撃者が沢山いましたからね」


「目撃者を探しに行くのか?」


「それもひとつの手段ですが、ここにも目撃者はいますからね。彼が証言してくれるはずです」


「……」


「コーキ、ここには4人しかいねえぞ。どういうこった?」


 確かに、姿が見えるのは4人だけ。

 気配も4人だけ。


 ただ、そいつが姿も気配も消しているとしたら。

 さっきの現場からずっと様子を見ていたとしたら。


 申し分ない証人だろ。


 だからな。

 悪いが、顔を出してもらうぞ。


「隠れてないで出て来てくれませんか、ジンクさん」





ただ今、本業多忙で体調も若干不良中です。

隔日更新は続けるつもりですが、どうしても無理な場合は、すみません。

休ませてください。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  隠れていた奴が!?  ジンク……ゔ、誰だっけ(汗)
[一言] ようやく!ついに!ジンクの正体が!? 無理せずで~(;´Д`)
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