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30年待たされた異世界転移  作者: 明之 想
第10章  位相編
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第519話  回避

読者の皆様

新年あけましておめでとうございます。


今年もよろしくお願いいたします!!


<古野白楓季視点>




 有馬君が、どうやって吾妻の攻撃を察知しているのか分からない。

 分かっているのは、今も五感が戻っていないということ。

 それでも、十分以上に戦えているってこと。


「……」


 この状態の有馬君と連携はとれるの?

 助けは必要なの?


 とても、そうは思えない。

 だったら。


「少し様子を見る?」


「……そうすっか」


 答えた武上君も私と同じ考えだと思う。

 普段なら我先に戦闘を始める彼が、大人しく待機するというのだから。


「まっ、ピンチになったら参戦するけどな」


 そうね。


「古野白も炎弾の準備しとけよ」


「ええ」


 もう準備は終わっている。

 いつでも放てる状態だわ。


 あとは、戦況を注視するだけ……!


「えっ?」


「The force is sense」


 連続であの異能を!


「武上君!」


「ああ、こいつはマズいぞ!」


 まだ武志君が結界を作り出せない現状。

 吾妻が異能を発動したら、防ぐことができない。


「っ!」


 私たちまで五感を奪われるわけにはいかないわ。 

 けど、有馬君を放置することも。


 今は動けている有馬君でも、二度目の五感喪失を身に受けたら?

 微塵も動けなくなる可能性だってあるのよ。


 そんな有馬君をひとり置いて……。


「The sennse creates beyond infinite time……」


 思考の間も詠唱は続いている。

 詠唱を聞くことのできない有馬君は悠然と立っているだけ。


「武志に幸奈さん、距離を取るんだ!」


「……」


「……はい」


「早く行け!」


 武上君の声に押されるように、ふたりが後退して行く。

 私たちは……。


「No exception!」


「ちっ、仕方ねえ。オレたちも退くぞ。異能効果範囲外までだ」


「有馬君は?」


「助けてやりてえが、そうするとオレたちまで距離が取れなくなっちまう」


「……」


「何が最善か分かってんだろ、古野白」


 何が最善か?

 もちろん、理解している。

 それでも!


「Known to every……」


「有馬は……、有馬なら大丈夫だ。時間がねえ、行くぞ!」


「……」


「古野白ぉ!」


 もう時間がない。

 迷っている余裕もない。


「……了解」


 今は、有馬君をひとり残して離れるしかない。


「I am the flesh of senses……」


「詠唱が完成しちまう! 急げ!」


 幸奈さんと武志君はもう安全圏にいる。

 武上君も大丈夫だと思う。

 私は、あともう少し。


「……loss of five senses!!」


 と、ここで詠唱が終了。

 五感喪失の異能が発動してしまった!


 私は……。


「見える!」


 さっきと同じように微妙なものを身体に感じるけれど、普通に目は見えるし耳も聞こえる。動くことができる。


「オレも問題ねえな」


「わたしも平気です」


「僕も」


 私の前にいる3人も問題なし。


 よかった!

 誰も五感を奪われることなく、切り抜けることができた。


「でも、功己は? 功己は平気なんですか?」


「有馬君は……」


 後方で、吾妻に対峙している。


「あいつ、立ったまんまだな」


 武上君の言う通り。

 有馬君は詠唱完了前と変わりのない体勢で吾妻と向かい合っている状態。


「倒れずにいられるということは……」


「ああ、大丈夫なんじゃねえか」


 私もそう思う。

 思いたい。

 けど。


「戻るわよ」


「言われるまでもねえ」


「わたしたちも近くまで戻ります。武志は、そこで結界の準備をお願い」


「分かってるよ、姉さん」


「よーし、こっから2回戦だぁ」



 飛び出した武上君を先頭に、私たちがさっきの位置まで戻ると。


 吾妻が有馬君に攻撃を!

 最前の連続攻撃同様の鋭く素早い連撃を放っている。


 それでも、やっぱり当たらない。

 吾妻の攻撃が、かすりすらしない。


「どうしてだ! いったい、どうなってるんだ!」


 ずっと無表情だった吾妻が、焦りで顔色を変えている。


「くそっ!」


 声色も違う。


「……」


 だけど、対峙する有馬君は沈黙のまま。

 そんな相手に仕掛ける吾妻の攻撃は。


「くたばれぇ!」


 徐々に大雑把なものに。


「くそっ! くそぉ!!」


 以前の吾妻の姿はもう、見る影もない。

 ただ捨て鉢のような攻撃を続けているだけ。


「こいつぁ、勝負あったな」


「……そうね」


 有馬君が反撃すれば、即終了。

 既に、そんな雰囲気が漂っている。


「しかし、有馬は攻撃しねえのな」


「五感を失っているのだから、何かが違うんでしょうね。でも、もうすぐだと思うわよ」


「だな。じゃ、オレらは」


「ええ。今度こそ、空間異能者に邪魔はさせない」


「邪魔も何もねえ! こっちはもう有馬の援護を考える必要ねえんだ。さっさとあいつを倒すぞ!」


 そう言って空間異能者のもとへ足を進めようとする武上君。


「ちょっと待って! 決まるわ!」


「ん!?」


 ほんの僅かな時間、戦闘から目を離したすきに有馬君が一撃を決めてしまった。

 吾妻は。


「うぐっ!」


 一息もらして、そのまま片膝をついた状態。

 あと一撃で決着がつく。


 でも、空間異能者は?


「!?」


 やっぱり!!





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[良い点]  姿が見えない空間異能力者……その正体が明らかに!?
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