表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30年待たされた異世界転移  作者: 明之 想
第8章  南部動乱編
391/701

第387話  テポレン山の戦い 10



「「「「「「「「「「うわぁぁ!」」」」」」」」」」


 かなり近い距離から放たれた雷波と黒炎で、目の前にいた王軍軽装歩兵部隊が1人また1人と倒れ伏していく。


 ここまで、こちらの魔法矢と魔法攻撃をくぐり抜けてきた敵の猛者たちも、至近距離で雷波と黒炎を受けたら堪らないよな。


 けど、まだだな。


「残兵は任せた」


「おうよ! おめえとノワールは先をやっちまってくれ!」


「了解だ!」


 この猛攻を仕掛けてきた敵軽装歩兵。

 その多くを片付けたが、それでも相手は途方もない大軍だ。

 先には多くの王軍兵が溢れている。


「ノワール行くぞ!」


「オオーン!」


 ノワールと共にB地点手前まで疾走、そして。


「雷波!」


「ゴォォォ!」


 と黒炎だ。


「「「「「「「「ああぁぁ……」」」」」」」」


 崩れ落ちていく王軍歩兵部隊。


「「「「「「「ううぅぅぅ……」」」」」」」


 俺の雷波もかなり効果的だが、ノワールの黒炎はそれ以上。

 魔落で俺が受けた黒炎より、ずっと威力がある。

 恐ろしいほどの攻撃力だよ。



「逃げるな! ここで踏ん張れ!」


「ここからが勝負だぞ!」


「敵は寡兵に過ぎん。恐れるなぁ!!」


「「「「「「「おお!」」」」」」」


 この状況でも喊声を上げる軽装歩兵部隊。

 本当に士気が高い。


 その歩兵隊の後ろ、そこから。


「「「「「ファイヤーボール!」」」」」

「「「「「アイスボール」」」」」

「「「「「アイスアロー!」」」」」


 敵の魔法攻撃が降ってきた。


「ストーンウォール!」

「ストーンウォール!」


 素早く構築した2重の魔法壁で防御。


 ドドン!!

 ガン!!

 ドゴン!!


 問題なく耐えきったな。

 じゃあ、次はこっちの番だぞ。


 けど、その前に。


「ノワール、黒炎は控えめで頼む」


 黒炎は強力無比な攻撃だが、そうそう連発できるものじゃない。

 先のことを考えて、取っておくべきだろ。


「クウーン」


「そんな顔すんな。お前のことは頼りにしてるんだから」


「オン!!」


 その調子だ。

 ってことで。


「いくぞ!」


「オオーン!」


 ノワールと共に防壁を出て。


「雷波!」


 からの、突撃。


「「「うわぁ!!」」」


 剣を振るう。

 右に左に、左に右に!

 目につく王軍の兵に剣を振り下ろしていく。


「グゥォォ!!」


 傍らのノワールも普段とは全く違う様子。

 その鋭い牙を剥き出しにして、王軍兵を蹂躙している。


「「「ぎゃぁぁ!!」」」


「「「ああぁぁ!!」」」


 その様はまさに鬼神。

 縦横無尽に傍若無人に駆け回っている。


 まったく……。

 敵わないな。


 けどまあ、負けてられないか。


「雷波!」


「雷撃!」


「炎波!」


 魔法3連発。

 そして、強化した身体で剣を一閃、二閃、三閃……。


 なぎ倒していく。



「止めろ! あいつを止めるんだぁ!!」


「駄目です、止まりません! あぁぁ……」


 さらに、斬り裂く敵の後方。

 A地点付近に。


「「「「「ドーーン!!」」」」」

「「「「「ドガーン!!」」」」」


 放物線を描いた魔法矢が降り注ぐ。


「「「「「「「「「「うぅぅ……」」」」」」」」」」


 矢の数は少なめだが、この戦況での援護射撃としては完璧だ。


 よし!


 ザン、ザシュッ!


 こっちも剣の冴えを見せてやろう。


 ザン、ザン!

 ザシュッ! シュッ!


「グオォォォ!!」



 俺とノワールが軽装歩兵部隊を斬り裂くこと数分。

 士気の高かった敵軍もかなり浮足立ってきた。

 そこに。


 ドッゴーーン!!!


 ドッドーン!!!


 ドガーン!!


 ダーーン!!!


 左右の樹林から地面を揺らすような爆発音が同時に響き渡る。


「「「「「「「「「「ううぅ……」」」」」」」」」」


「「「「「「「「「「ああぁ……」」」」」」」」」」


 当然のように、樹林内から聞こえてくるのは無数のうめき声。


「左右の爆発は完璧だぞ、コーキ!」


 後ろから言葉をかけてくるヴァーンの声も弾んでいる。


「了解!」


 ホント、最高のタイミングだな。

 上手くいき過ぎと思えるくらいだ。



「くそっ! 退くんじゃない!!」


「……」


 左右の敵兵の状況。

 眼前の軽装歩兵の惨状。


 これはもう……。


 今回の軽装歩兵部隊による速攻。

 悪くない策だったが、防ぎ切ったんじゃないか。

 となると、いったん自陣に戻るべきか?


「敵に後ろを見せるなぁ! 留まれぇ!!」


「しかし、この状況は!」


「我らには大軍が控えているんだ、少数の敵に怯える必要はない!」


「進めぇ! 前へ進めぇ!!」


「「「「「「「「「「おおう!!!」」」」」」」」」」


 左右の樹林を行く敵兵の足は止まっているが、中央の山道にいる歩兵隊の動きは止まっていない。

 これだけの数の味方を目の前で倒されながら、それでも退くことなく攻め上ろうとしている。


 一度止まりかけた足、士気はかなり下がったように見えたのに……。


「クウーン?」


 ああ、まだ戻れそうにないな。

 敵ながら、大したものだよ。


「ノワール、やれるな?」


「オン!」


 なら、もうひと暴れしよう。


「雷波!」


 ザシュッ! シュッ!

 ザン! ドスッ!


「オオーン!!」


 剣が敵を斬り裂く音、ノワールの爪が敵を屠る音。

 それだけが耳に入ってくる。

 そんな時間が過ぎていき……。



「「「「「うわぁぁ!!」」」」」


「「「「「「「「「「おお!!」」」」」」」」」」


 突然、ワディン、エンノアの陣から悲鳴のような怒号のような喚声があがった。

 その驚声に剣を止め、坂上を振り返ると……。


「敵兵だぁ!」


「後ろ、後ろを見ろ! 王軍が後ろに!」


「「「ああぁ!!」」」


「西から王軍が現れたぞ!」


 西から?

 オルドウ方面から!?


「コーキ、まずいぞ!」


「コーキさん、背後を攻められてる!」


 くっ!

 西の獣道から王軍が現れたのか!?





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング ここをクリックして、異世界に行こう!! 小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
[良い点]  ぎゃー! こんなに早く!?  なんか思わせぶりことを言ってましたよね、イリアルは!  あ、関係なかったらどうしよう(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ