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30年待たされた異世界転移  作者: 明之 想
第4章  異能編
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第183話  能力開発研究所 6



 こんな幼い少年が、あのオルセー以上の雰囲気を持っている……。


「化け物を見るような目で見ないでくださいよぉ。心外だなぁ。ただの13歳の子供ですよ、ぼくは」


 そう、その通りだ。

 鑑定で調べると、13歳になっている。


「……」


 色々と恐ろしい点はあるものの、年齢は確かに13歳なんだ。


「化け物といえば、有馬さんでしょ」


「……どういう意味かな?」


「だって、異能者じゃないのに、あの動きは異常ですよ。結界は2度とも容易く破壊するし、銃弾を避けて、転移の異能者である橘も簡単に倒して。こんなの普通の人間にできるわけがないじゃないですか。有馬さんこそ何者なんです?」


「……ただの20歳の大学生だ」


「ただの……ははは、面白いなぁ。有馬さんは、ほんと面白い人ですよ」


 この圧力。

 この余裕。


「……」


 これはもう、13歳だと思ってはいけない。


「やっぱりなぁ。最初からこの人は違うって思ってたんですよねぇ」


「最初とは、あの廃墟ビルの屋上のことかな?」


「ん? 違いますよ」


 違う?


「廃墟ビル以前に会っていると?」


「そうですよぉ」


「記憶にないんだが……」


「ええ~、忘れちゃったのかぁ。ずっと前に会ってるじゃないですか」


「……」


 どこでだ?


「公園ですよ、公園」


「……」


 公園?


「尾行していた時かな?」


「尾行って、いやだなぁ。あの時は、有馬さんの様子を見ていただけですって」


 それは尾行じゃないのか。


「それに、あれはビルの後じゃないですか。ぼくが有馬さんに初めて会ったのは、もっとずぅ~と前です」


 確かに。

 尾行していた少年に話しかけたのは、廃墟ビルの一件の後だ。


「ここまで言っても分からないって寂しいなぁ。ぼくは悲しいです」


 そう言って、本当に悲しそうな顔を見せる。


「……」


 駄目だ。

 容姿と喋り方に騙されそうになるが、この少年はとんでもない力を持っているはずなんだ。


 気を緩めず、もっと慎重に!


「いつ、どこの公園で会ったのかな?」


「さっき、ぼくは言いましたよね。結界を2度破棄するのを見たって」


「……」


「はぁ~、まだ分からないんですか。あの夜の公園ですよ」


 公園で夜?

 いつのことを言ってる?


「そこで眠っているお姉さんと一緒に結界に閉じ込められたあの夜です。有馬さんが結界を破壊した後に会いましたよね」


 古野白さんと結界……。

 あの時に?


「「お兄さん、そこのお姉さん大丈夫? 救急車呼ぼうか?」って声かけたでしょ」


「……」


「まさか、それも覚えてないんですか?」


「……」


 いや……。


 思い出した。

 思い出したぞ!


 結界から古野白さんを助け出し、ベンチに座っていた時に声をかけてきた少年。

 目の前の少年が、あの時の少年なのか!


 そう言えば、そうだった。

 あの夜も少年の気配を感じとることができなかったんだ。


「……」


「思い出してくれたみたいですね」


「君は……」


「またまたぁ、そんな怖い顔しないでほしいなぁ」


「……君はあの日から、ずっと監視していたのか?」


「まさか! ぼくもそこまで暇じゃないですよ。それに、有馬さんはとっても鋭いので、ぼくに気付いちゃうでしょ」


「……」


「でも、この前みたいに街で見かけたら、つい様子を見たくなるんですよねぇ」


「……随分と好かれたものだな」


「はは、そうですよ。ぼくは有馬さんにはとっても興味がありますから」


 こんな気味の悪い少年に興味を持たれるとは……。

 とてもじゃないが笑えない。


「それで、君は何者だ?」


「だから、13歳の少年ですって。有馬さんと仲良くなりたい少年です。あっ、壬生という名前なので憶えていてくださいね」


 13歳の少年……。


 確かにステータス上は13歳だ。

 だが、この圧力、この雰囲気。

 そして、この異能。


「……」


 13歳じゃないな。

 今、その異能を調べ終えたから、理解できたぞ。



  壬生ミブ 伊織イオリ


レベル 3


13歳 男 人間 


HP  105

SP  291

STR 118

AGI 128

INT 457


<異能>

揺魂、魂移、念動力




 日本でも今まで数人を鑑定してきたが、初めて見るレベル3の異能者だ。

 13歳でレベル3というだけでも驚きなのに。

 ステータスの数値がそれ以上に凄まじい。


「……」


 レベル3だから、ある程度高い数値なのは理解できる。

 が、異能に関係するSP(異能力・異能力量)とINT(知能・知性)が異常に高い。

 高すぎる。


 信じがたいステータスだ。

 今の俺のステータスと比べれば、その異常さがはっきり分かるというもの。




  有馬アリマ 功己コウキ


レベル 5


20歳 男 人間


HP  165

MP  218

STR 262

AGI 182

INT 301




 レベルが2つ上の俺よりも、SP(MP)とINTがはるかに高い数値になっている。

 本当に信じがたい。


「……」


 これだけでも充分目を見張る鑑定結果なんだ。

 だというのに……。


 異能が尋常じゃない。



<異能>

揺魂、魂移、念動力



 通常、異能者に備わっている異能は1つ。

 複数の異能は持てないはず。


 その異能を、壬生という名の少年は3つも持っている。


 異能を2つ持つ者なんて私は見たことがない。

 古野白さんは以前そう言ってたんだぞ。


「……」


 さらにだ。

 異能の内容がまた……。





※ 壬生少年は第70話、71話に登場しております。

※ オルセーは夕連亭で戦った魔法剣士です。



本業多忙のため、この土日は1話投稿にする予定でしたが、

素敵なレビューをいただきましたので、感謝の意を込めて今夜もう1話投稿いたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 ><異能>  揺魂、魂移、念動力 どれが主人公にしか気付かれなかった能力なのだろうか? もしくはステータスを偽装する能力でもあるのかな……あからさまに主人公の体が目…
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