5/7
第5話:心拍数が上がらない理由/触れない優しさ
不思議なことに、
レオンと一緒にいると、
心拍数は安定していた。
「……どうしてでしょう」
「感情が動いていないからだ」
「それ、悲しくないですか」
「……安全だ」
安全。
それは、私にとって一番大事な言葉。
なのに。
夜、部屋で一人になると、
胸が少しだけ苦しくなる。
感情は、動いている。
ただ、彼の前では――
静かに抑え込まれているだけ。
不思議なことに、
レオンと一緒にいると、
心拍数は安定していた。
「……どうしてでしょう」
「感情が動いていないからだ」
「それ、悲しくないですか」
「……安全だ」
安全。
それは、私にとって一番大事な言葉。
なのに。
夜、部屋で一人になると、
胸が少しだけ苦しくなる。
感情は、動いている。
ただ、彼の前では――
静かに抑え込まれているだけ。
階段で足を滑らせた。
その瞬間、
レオンの腕が“触れない距離”で私を止めた。
布越し。
体温が、かすかに伝わる。
「……大丈夫か」
「はい」
心拍数が、少し上がった。
でも、致命的じゃない。
私は初めて気づく。
この人は、
私が死なない範囲で、
一番近くにいてくれる。




