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【2024/11/29書籍①発売】無理ゲー転生王女(クソゲー悪役令嬢外伝)~隣国王子に婚約破棄されたけど、絶対生き延びてやる!  作者: タカば
転生王女は家族を守りたい

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暗殺者を捕まえろ

「ジル兄様、あそこ!」


 中庭に出ると、護衛の騎士や侍女を連れて歩く、サラお義姉様の姿が見えた。厳重に守られている彼女の姿をみて、ほっと息が出る。

 ディーがさっと振り向いた。


「メイ、侍女は?」

「ええっと」


 ふよふよと浮きながら、女神が視線をさまよわせる。


「早く」

「だから、私と邪神の力は相性が悪いんですってば。見えにくくて……」

「おい、あれ!」


 なぜかついてきてたルカが声をあげた。

 彼の指さす方を見ると、植え込みに隠れるようにして、侍女がひとり立っている。ブラウンの髪をきっちりまとめた年かさの侍女。女神が言い当てた通りの容姿だ。

 あれ? でもこの侍女って、さっきも見たような。


「なんで俺についてた侍女があんなところにいるんだ」


 だよね?

 ルカ王子づきの侍女として、さっきまで部屋にいた女性だよね。私が入ってきたから、気を聞かせて席を外してくれてたけど。

 だからって、お義姉様のところに行ってこいとは誰も言ってない。


「メイ?」


 ディーがもう一度女神に声をかけると、女神は目を細めて侍女を凝視した。


「あの人です、運命が見えないの」

「確定ですね。ちょっと君!」


 ジルベール兄様が声をかけた。

 侍女はびくっと体を震わせ、そして走り出した!


「おい!」


 侍女にこちらの静止を聞く様子はない。まずい。こちらの意図に気づかれた。

 彼女は一直線にサラお義姉様へと走っていく。護衛の騎士や侍女たちが、いっせいに不審者に向かってふりかえった。


「お前……!」


 しかし、彼らは武器を構えることはできなかった。


「あああああっ!」


 侍女が髪を振り乱しながら叫ぶと、ばたばたとその場に倒れていく。

 何が起きたかはわからない。

 しかし、彼女が原因なのだけはわかった。

 きっと関係者たちの記憶を奪っていた力をどうにかして、彼らの意識までも奪ったのだろう。

 正体がバレた暗殺者は、なりふり構わずお義姉様に向かっていく。


「ディー!」


 私の叫びに反応して、ディーが走り出した。

 走りながら、子ユキヒョウはするすると輪郭を変えていった。真っ白な毛並みは、白い神官服へ。もこもこの四肢は、すんなり伸びた大人の男性の手足へ。

 人へと姿を変えたディートリヒは、人間離れしたスピードで侍女へと迫る。

 でも、人間離れしているのは侍女も同じだ。

 獣じみた動きで、サラお義姉様へと向かう。


「来ないで!」


 お守りを握りしめてお義姉様が叫んだ。彼女の手が一瞬虹色に輝く。

 その瞬間。


「ぎゃんっ!」


 びたんっ! と侍女が地面にたたきつけられた。


「え……?」


 石畳の隙間に、足をひっかけてコケたらしい。

 信じられないことに。

 そして、コケて地面に激突した拍子に、侍女の手から武器がすっぽぬけた。金属でできたナイフっぽいそれは、ごん、がん、と中庭の隅に置いてあった農具にぶつかる。武器が当たった農具が倒れ、横にあった木材を倒し、さらにその横にあったテーブルが倒れた。乗っていた花瓶がシーソーの要領でふっとばされ、城の窓に当たり、そこから転がっていって屋根板にぶつかり、連鎖的に次々と屋根板が外れたかと思うと、すぐ下の物置に当たってバウンドし……最終的に、侍女の上に瓦礫がいっせいに降り注いだ。


「ぎゃあっ!」


 突然起きた予想外の状況に、受け身を取ることもできずに侍女は倒れ伏す。


「サラお義姉様!」


 すぐそばにいたサラお義姉様は全くの無傷だった。周りで倒れている侍女や護衛にも、被害はない。重なった不運は、すべて暗殺者の侍女にだけ降りかかっていたのだ。


「どういうこと?」

「細かい事情はあとで。とにかく、犯人を拘束しましょう」


 ディーが気絶している侍女の腕を持ち上げて、縛り上げる。

 今は何が起きたか分析するよりまず、危険人物の排除だ。


「……これで、よし」


 気を失ってる間に、侍女は両手足を拘束されてしまった。これでもう襲ってくることはできないだろう。


「彼女は俺が身柄を引き受けよう。倒れた人たちの介抱は……」

「呪いの解除は、私におまかせですよ」


 ふふん、と笑って女神が前に出た。


「いたいの、いたいの、とんでいけ~」


 相変わらず気の抜けるようなおまじないを口にする。

 しかし、セリフがふざけていても、効果は絶大だったらしい。

 騎士たちは次々に目を覚ました。


「あれ……?」

「なんでこんなところで?」


 困惑しながらも、体を起こし始める。

 暗殺者を拘束しながら、ジルベール兄様がにこっと笑いかけた。


「皆、ご苦労。ちょうどサラ義姉さんを襲う暗殺者を捕まえたところだ」

「え……?」

「暗殺者!?」


 騎士たちが驚くのも無理はない。意識が途切れたと思ったら、なぜか王子と王女が侍女をひとり拘束してたんだから。

 騎士たちへの説明は兄にまかせて、私はお義姉様に駆け寄る。


「お義姉様、お怪我はありませんか」

「え、ええ……あなたたちが駆けつけてくれたから」


 サラお義姉様は紅い瞳を周りに向けた。


「でも、どうして突然、彼女が倒れたのかしら」

「それはちょっと私にもわからないです」


 一瞬、ディーが何かしたのかと思ったけど、そうでもなさそうなんだよね。連鎖的に物が倒れてた時も驚いてたみたいだし。


「細かいことは、部屋に戻ってから……」

「つっ……」


 今まで呆然と立っていただけのサラお義姉様がしゃがみこんだ。


「お義姉様?」


 大きなお腹を押さえて、大きく息をつく。

 その顔は真っ青だった。

 無事に見えてたけど、実はさっきの襲撃で何かされてたんだろうか。


「今、お医者さんを呼びますね」


 ふるふる、とお義姉様は首を振った。


「い、医者も……だけど、産婆を呼んで」

「えっ……」


 よく見たら、しゃがみこんでいるお義姉様のドレスの裾が濡れていた。


「産まれる……」

「わああああああ」


 私たちは、慌ててお義姉様を離れに担ぎこんだ。

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