表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【2024/11/29書籍①発売】無理ゲー転生王女(クソゲー悪役令嬢外伝)~隣国王子に婚約破棄されたけど、絶対生き延びてやる!  作者: タカば
転生王女は家族を守りたい

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/92

お姉ちゃんの記憶

 ジル兄様に指摘されて、はっとする。

 言われてみればそうだ。

 本来コレットは、人から守られる立場だ。率先して矢面に立つような子じゃない。


「俺にはどうも君が……『子供は守らなくちゃ』という考えに取りつかれてるように見えるんだけど」

「それは……」


 私は、胸元でぎゅうっと手を握りしめた。

 守らなくちゃ。

 その思いは、イースタンで記憶を取り戻してから、ずっとあったものだ。

 私がそう思ってしまうのは。

 その理由は。


「多分……私がお姉ちゃんになり損ねた、からだと思う」

「君は俺たち兄弟の末っ子でしょ?」


 ジル兄様が不思議そうな顔になった。私は首を振る。


「ううん、そっちの家族の話じゃないの。花邑紫苑の家族の話」

「……君には、別の人生の記憶があるんだったね」


 女神から転生の話を聞いていたジル兄様は、神妙な顔でうなずいた。


「紫苑は、花邑家の第二子として生まれたの。両親と、四歳年上の尊兄さんの四人家族。でも、実は三歳の時に……弟がひとり、生まれてた」


 私は、意識的に紫苑の記憶を思い返す。

 コレットと紫苑。ふたりの人生は、私にとって、どちらも大事な思い出だ。


「弟はとても体が弱くて……こっちの世界の医療技術だったら、生まれてくることすら難しい体だった。現代医療の力を借りて、ようやく生まれてきたのに……心臓に病気が見つかって……私たちも、がんばって看病して、たくさんお医者さんにかかったんだけど……結局、二歳になる前に、死んじゃった」

「……それで、小さな子供が死ぬのが、怖くなった?」


 私はこく、とうなずいた。


「たぶん、それがきっかけ。でもそれだけじゃないと思う」


 私はさらに記憶を手繰り寄せる。


「十年後に、また新しい弟ができたんだよね」

「紫苑の母君が、ふたたび懐妊された?」

「ううん。そうじゃないの、血のつながらない弟。ご近所さん」

「……?」


 ジル兄様の釈然としない顔に、私は笑ってしまう。わからないのも無理もない。

 自分でも、雪那との関係は結構な特殊ケースだと思うから。


「中学三年の時だったかな、ある日学校から帰ってきたら、マンションのエントランスのところに銀髪の男の子が倒れてたの」

「行き倒れ?」

「ちょっと違うかな」


 こっちの世界の感覚で、玄関の前に人が倒れてた、って聞いたら、まずは行き倒れを連想するだろう。でも詳しい事情は少し違う。


「雪那は隣に住んでた子だったんだ」


 あの日のことは、今でも鮮明に覚えている。

 小さな男の子が、身も凍えるような廊下で体を丸めてぶるぶる震える姿は、ショッキングでしかなかった。紫苑が大人になったあとでも。時々夢に見たくらいだ。


「あとからわかったんだけど、インフルエンザ……熱病にかかったせいで、考えがうまく働かなくなって、ふらふら外に出て来ちゃってたみたい」

「それで、君の家の近くに倒れてたのか」

「そこからが大変だったなー。あわてて救急車呼んで、まだどこの子かわからなかったから、警察とかにも連絡して。マンション中が大騒ぎになっちゃった」


 今にも死にそうな五歳の子供だ。

 周囲の反応は当然だろう。


「騒ぎを聞きつけて、雪那のお父さんが出てきて。そこでやっと、隣の家に住む子だってわかったんだよね」

「失礼だけど、その子供の母親は?」

「いなかった。雪那を産んだ半年後に離婚して出身国に帰っちゃってたの。そこからずっと、お父さんと二人暮らし。その日は具合の悪い雪那を寝かせながら家で仕事をしてて、外に出ちゃったのに気づかなかったみたい」


 当時のことを思い出しながら、息を吐き出す。


【情報解禁】

クソゲー悪役令嬢コミック版が5/20より連載開始!

詳しくは活動報告をチェック!



そして2025年3月28日「クソゲー悪役令嬢⑥」が発売されます。

こちらも活動報告をチェック!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓書籍版はこちら!↓
表紙絵
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ