聖女のお仕事
「コレット!」
作戦室から出て来たジルベール兄様が声をかけてきた。へにゃ、と眉を下げて笑う。
「なんとか、王城に帰るめどがついたよ」
「そうみたいね」
「たった一週間で改修が終わったのは、ディートリヒのおかげだよ」
「騎士様がたの御尽力の賜物です」
ついさっきまで私にドヤ顔を見せていた子ユキヒョウは、しおらしく謙遜してみせる。妙なところで処世術に長けたユキヒョウだ。
「それで、帰りの馬車の構成を相談したいんだけど……」
「それならひとつお願いがございます」
ユキヒョウは、前脚を上げてぷくぷく肉球をこちらに見せつけてきた。
揉みたい。
「コレット様には、メンテナンス車両の運転をしていただきたく思います」
「え?」
運転? どうして私が。
ここは姫君としてジルベール兄様と馬車に乗って帰るところじゃないの。
子ユキヒョウはぴこぴこと耳をゆらす。
「この世界であなた以外の誰が、自動車を運転できるというのです」
「ディーとか」
「この前脚でどうしろと」
私はふわふわ毛並みの子ユキヒョウを見下ろした。その前脚についているのは、どう見ても肉球である。このぷにぷにでハンドルを操作……いや、それ以前に、アクセルとブレーキに脚が届かないな?
人の姿に変身してもらおうにも、あいにく砦の改修で奇跡の力は使い果たしたところだ。
私の虹瑪瑙のペンダントは真っ黒なままである。
「少し無理をすれば、動かせなくはありませんが、あいにくもう一台、私でなければ動かせない機械があります」
ディーはメンテナンス車両に寄りかかるようにして立っている巨大ロボットを見上げた。
「今のところ、ロボットの操縦は私にしかできません。コレット様と手分けしないと、ふたつを同時に移動させられないのですよ」
「車両でロボットを引っ張っていけないの?」
巨大ロボットを荷台に乗せて移動する運搬車。ロボットモノの作品でたまに見かける光景だ。メンテナンス車両というからには、当然そういう機能もあるものだと思ってたけど。
「とにかくロボットを保持するために車両を急造したでしょう。支えたり、メンテナンスする機能はあるのですが、牽引するだけの力はないのです」
「そうなんだ……」
私は、巨大ロボットを改めて見上げた。今はクレーンが伸びてるけど、車両自体はロボットの半分くらいの大きさだ。確かに、運んでいくには無理があるサイズ感である。
「普通自動車免許、持ってましたよね?」
「あったけど」
AT限定のペーパードライバーに、この車は荷が重いと思うの!
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