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Deviance World Online 〜最弱種族から成り上がるVRMMO奇譚〜  作者: 黒犬狼藉
一章上編『忘却されたⅫの栄光』

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Deviance World Online ストーリー2『人の心』

人の心がない描写が含まれます。

 大きく吹き飛ばされる。

 ヒッポリュテは、一時的に増大したステータスが意味をなさない貫通攻撃を受け大ダメージを受けた。


 大木に叩きつけられ、血反吐を吐いた。


「今のは、イタかった……。 カハっ……!?」


 だが、それでも尚。

 彼女は健在だった。

 目視するまでもない、即座に追撃を行う。

 レオトールは、彼女を殴った瞬間から即座に追撃の態勢に入っていた。

 数値だけでも同等、その厄介さはレオトール自身が一番自覚している。


「『怪力無双(リジル)』」


 即座に、己にバフを掛け急速接近。

 そのまま、木に止められたヒッポリュテに追撃を食らわせる。


「『黄金(ゴールド)ラッシュ』」


 スターダスト、星屑のように黄金の光が溢れ出し拳の残像が残るほど超速で打ち込まれる。

 巫山戯た速さ、重さで打ち込まれるソレにヒッポリュテはなす術なく殴られた。

 またもや、大きく吹き飛ばされる。

 今度は身体中に打撲痕がありHPは大きく減っている、だがその体躯は未だ健在。

 全身が血で艶かしく輝きながら、地を転がり泥に包まれる。


「『美猛のアマゾネス(ペテンレイシア)』」


 ソレでも、そうであっても彼女は保有するスキルを声高く叫ぶ。

 突如として武装が変化し、毛皮で着込んでいた状態からその毛皮が収束しメイスに変化する。

 体が跳ね上がり、迫り来るレオトールを迎撃しようと動く。

 

「『剣限(エーラ・スパシ)』」


 ソレに対し、レオトールの行動は至ってシンプルだった。

 手を離し落としたはずの剣が、即座にレオトールの元に飛翔する。

 ソレはそのまま前方に居るヒッポリュテに向かい、ソレに対抗するヒッポリュテは布でできたメイスでソレを弾く。

 依然、レオトールは優勢。

 だが、精神性においてヒッポリュテが優位に立っているのは語るまでもない。

 そして焦りが明確にある現状、それは極限の戦いの中では非常に大きなノイズそのもの。


 弾かれた剣を掴み、即座に切り掛かる。

 反対に身に纏っていた毛皮を硬化し、ヒッポリュテはソレを打ち返す。

 他スキルを発動する隙を与えず、他スキルを発動する余裕は有らず。

 思惑を前提とすれば、これ以上ないギリギリの勝負を2人は演じているのだ。


「死ね、ヒッポリュテェッ!!」

「死ねルカ!! お前を殺すまでハッ!!」


 片や喜色、片や焦りを表し2人は音を奏でる。

 結果は確定している、結末はもう既に見えているのにも関わらず。

 ソレでも2人は殺し合った、殺し合い続けたのだ。


 どちらが勝利したのか? ソレは、アナウンスが全てを物語っていた。


〈ーー特殊大敵(エクストラボス)・・・『女蛮戦士の女王』ーー〉


〈ーー討伐されましたーー〉


〈ーー特殊条件が満たされましたーー〉


〈ーーⅫの難行、『女蛮戦士の怨嗟』ーー〉


〈ーー開始します。ーー〉


「な、に……!?」


 これまでは前座も前座、本番はここからだ。

 そう言わんばかりに、アナウンスが絶望を告げる。

 同時に門が現れた事と、そしてもう一つの絶望を認識した。


 故に、レオトールは掠れた声しか出せなくなっていた。

 さぁ、地獄の蓋は開かれた。

 今までの試練、いや難行の中で最も難しい難行に変化した。


 これは、全ステータスに+1000補正がかかったアマゾネスから逃げ切る難行に変化したのだ。


*ーーー*


 時を同じくし、黒狼はレオトールがいる場所から大きく離れていた。

 同様にアナウンスも聞こえる、レオトールほどでは無いが黒狼も何かしらの変化を察することができた。

 

「とりあえず、あっちはなんか変化があったみたいだな。」

「もう少し具体的な話し方はできないんですか?」

「出来るかよ、前提条件がわからない以上詳細を知れるはずがねぇ。」

「確かに、少し無茶振りでしたね。で? コレ、どうするんです?」


 緊迫した雰囲気のレオトールとは違い、此方は至って呑気なものだ。

 何せ、明確な脅威となるアマゾネスが殆どいない。

 と言うか黒狼が捕らえた4人以外はその周囲に存在していない、他全員はレオトールの方に赴いているからだ。

 明らかに脅威度が高いレオトールに全員でかかるのは自明の理だろう。


 と、黒狼はそんな思考をしながら身体中に軟膏を塗る。

 安全圏に近い、少なくとも明確に他のアマゾネスを認識できない位置まで退避したのだ。

 ここで一度休憩がてら、回復をしなければ絶対に持たない。

 未だ難行の道半ば、九つ目の難行の最中。

 だが受けているダメージは瀕死に近く、もう一度アマゾネスと相対すれば即座に死ねる。

 残り時間を考慮すれば全然笑えない現状、対処するには時間経過による回復を待つしかない。

 ソレを多少効率よくするための軟膏を塗ってはいるが、ソレでも完全回復には程遠いだろう。

 光属性による自殺もアリだが、その場合レオトールが戦っている危険地帯にリスポーンする可能性がある。

 流石にソレは避けたい。


「とりあえず手足を縛るか、折るかしなくちゃならないだろ。どっちがいい? 個人的なおすすめは折る方。」

「人の心持ってます? 今後も考え縛るだけに留めておきましょう。」

「ほい、獅子の皮。そう簡単に破れないだろうしこれで縛っておいて。」

「え? 黒狼はやらないんですか?」

「戦士であっても相手は女性だぞ? せめて同性のお前に頼むのが普通だろ?」

「面倒臭いからやりたくないだけでは?」

「さぁーな?」


 とはいえ、一応は正論を言われたゾンビ一号は渋々と言った様子でアマゾネスの手足を縛り付ける。

 体勢としては、両腕両足を背中側に持ってきて捻った皮で縛る感じだろうか?

 合計四人、ドロップ品とちょうど同じ人数だったため過不足なく手足を縛り付けることに成功した。


 ただ、最大の問題は……。


「絵面がひどいな、コレ。」

「……、全員顔が良いのがソレに拍車を掛けてますね。気絶していて白目を剥いているのも要因の一つでしょうか?」

「唯一の救いは厚着だってことかな? マジで色々ひどい。」

「もし他人に見られていたら悶死する自信があります。」


 そう言いながら二人は、即座に殺せるように喉元に剣を突きつける。

 皮で縛ったとはいえ、ステータス差は激しい。

 下手せずとも解かれるのはほぼ確実だろう。

 正直雑談している余裕はない、ただ黒狼が基本的に現状に対して能天気だから余裕があるように見えてしまうだけだ。


「しっかし、あっちは酷いなぁ。さっきから轟音が鳴り響いてやがる。ゾンビ一号、参加してみるか?」

「殺す気ですか!? 近づいただけで消し飛ぶと思いま……、黒狼!!」

「へぇ? なるへそ。ゾンビ一号、分かっていると思うが……。」

「一気に強くなりましたね、そして……。」

「ああ、Are You Ready? レオトール!!」


 空中を蹴り、超高速で近づいてくるレオトールに対してそう問いかける。

 ソレに対して、黒狼は骨ながらにものすごい笑みを向けてそう聞いた。

 ゾンビ一号も即座に片腕を掲げ、自分の所在地を主張する。

 一瞬遅れ、レオトールも二人の存在を知覚したようで空中を蹴りながら近づいてくる。

 ソレを確認した黒狼は声高らかに告げた。


「よし、殺せ。強化されたアマゾネスだ、良い経験値になるんじゃねぇか?」

「人の心持ってます?」


 油断はない、慢心はない。

 この難行は、前半戦はクリアされた。

 あとは逃げるだけだ、ならば交渉や人質は不要。


 勝負は後半戦にもつれ込んだ。 

NPCに人権はない、常識だね!!(何処ぞのクトゥルフプレイヤー)

ついでに描写はカットしましたが、四人は一瞬にして喉を掻っ切られて殺されてます。

ヒッポリュテが存在しない以上、これ以上生かす理由が消えたのでね。

ついでに門が開かれてるのを知ったのはそういうエフェクトが発生していたからですね、ハイ。


なんか、こう色々酷いな。

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― 新着の感想 ―
黒狼はニャル様に気に入られそうな感じする
[一言] NPC?おもちゃでしょ。(某PL発言)
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