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Deviance World Online 〜最弱種族から成り上がるVRMMO奇譚〜  作者: 黒犬狼藉
一章上編『忘却されたⅫの栄光』

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Deviance World Online ストーリー2『軍神の帯』

 強い。


 最初にソレを一眼見た時、アマゾネスの女王はそう確信した。

 強い、アマゾネスの中で最も強いとされる自分よりも。

 だから多大な犠牲を考慮して自分の命令に従順に従うアマゾネスたちに戦わせた。

 表立って戦っていないアマゾネスを含めればその総数は100をも超える。

 そして、瞬く間にその半数以上を殺された。


 強い。


 確信は戦意へと繋がり、疑念は歓喜に変化する。

 女だけで結束された種族、人間でいながら半分以上人間を辞めた存在。

 女蛮戦士(アマゾネス)、彼女を構成する性質は闘争本能だ。

 女ではなく、戦士として。

 野蛮に、残酷に、残忍に。

 只管に敵を排斥し男は攫う、元は人間だった存在ながらその生き方故にシステムから人外と銘打たれた存在。

 普通の人間とは格別した身体能力を有し、そのステータスは黒狼を軽く上回る。

 ただの拳で岩を砕き、ただの蹴りで大木をへし折る。

 

 ソレが100、もしくは100以上。

 ソレを微塵の苦戦もなく鏖殺する彼の姿は、彼女にとって非常に格好良かった。

 言い換えれば恋をしたのだ。

 狂気的なまでに、盲目的な。

 初めて、抱いたかもしれない。

 恋をしたのだ。


「ヨシ、殺す。」


 にこやかな笑顔で、爽やかな微笑みで。

 残忍な恐怖を湛え、混じり気のない狂気を持って。


 彼女はそう告げる。

 殺して、愛して、殺して、愛して。

 愛し合って(殺し合って)、その後に新たに子を産んで。


 幸せな未来を想像しながら、彼の死骸を妄想しながら。

 彼女は、木から飛び降りた。


「……、笑わせてくれる。」

「ハジめまして。」

「投降のつもりか? もしくは、更なる殺し合いを望むと? どちらにせよ結果は目に見えているぞ。」

「まさか、ココデやめるとでも?」


 ニヤリと、示し合わせたように互いに笑う。

 含まれている意味は違えど、目の前の存在が自分を殺そうとしている事には嫌でも気づく。

 張り詰める空気に呼応するように、互いは其々の得手物を持ちながら自然体で立つ。

 一触即発、だが肝心の2人は互いの間合いを読み合っている。


 いや、違う。

 レオトールは敢えて手を出さず挑発しており、ソレに対してアマゾネスの女王はもどかしく隙を狙っているだけだ。

 

「先に幾つか聞いておこう、まず最初に何故今更出てきた?」

「オマエが好きだからダ。」

「……ハァ。聞くだけ無駄だったな、せめて名前だけでも聞いておこう。」

「ワタシの名? 私の名はナイが役割ならばある。ソレを代わりとして名乗っておこう。ワタシの役割はヒッポリュテ、だ。」

「そうか、では死ね。」


 高揚感に浸りながら、体に纏っている帯に魔力を込める。

 ヒッポリュテ、神話においてヘラクレスに殺されたアマゾネスの女王。

 彼女が持つ帯は、軍神アレスから下賜された神器そのもの。

 その能力は、戦闘能力の底上げ。

 言い換えれば、ステータスの大幅上昇となる。


「チッ、厄介なッ!!」


 即座に剣戟により、攻撃を放ったレオトールだがその一手は帯を使用した彼女にとってやや遅かった。

 刹那の差、一寸手前にてレオトールの剣は防がれる。

 ステータスに表記されているAGI2000、レオトールのその速度に彼女はギリギリではあるが対処したのだ。


 勿論、完全に防ぎ切ったわけではなくその圧倒的なパワーによって弾き飛ばされた。

 だが、間違いなくダメージは低い。

 今までを1000とするのならば、これはたったの100だろうか?

 勿論、単純に数値化することはできない。

 あくまで一種の例のようなものだ、だが間違いなくそれぐらいは減少している。

 

 そして、未だソレが止まるところは無い。


「『極剣一閃(グラム)』」


「『偉大なる祖(マールス)』」


 同時に、それぞれの小手調べが炸裂する。

 どちらもその威力は余人では受け止められないモノ、この2人以外では競い合うことは不可能な威力。

 だが、この二つの攻撃は言葉の通りで小手調べにしかならない。

 

 互いの得手物が、レオトールの剣とヒッポリュテの槍が。

 示し合わせたように、無軌道でいながら規則的に打ち合う。

 計100合、もしくはそれ以上。

 計測不能な速度で打ち合われたソレはたった1秒にも満たない時間でしか無い。

 AGI2000以上の戦いというのは、まるでSFやファンタジーのような目に見えない速度の殴り合いと同義なのだ。


 無数の剣戟、ソレを終えた2人は互いに背後に飛び一瞬にして間を取る。

 

「感じる圧と数値に大きな乖離があるようだな? アマゾネスの女王。」

「そちらこそ、大分手を抜いているのでは無いカ? 異国の戦士ヨ。」


 汗一つなく、余裕綽々に告げるレオトール。

 軽く息を切らしながら、女王としての風格と威厳により誤魔化すヒッポリュテ。


 どちらも手加減をしていたわけでは無い、ソレどころか片方は全力で打ち込んでいた。

 ステータスだけを見れば同レベル、もしくはヒッポリュテの方が上にある。

 人数であってもヒッポリュテの方が上だ。

 間違いなく、ヒッポリュテの方が強い。


 では何故、一向に攻めている感覚がないのか?


 男は、ヒッポリュテを。

 レオトールは、ヒッポリュテを厄介と称した。

 忌々しく、苦々しくそう告げた。


 間違いなく、男はヒッポリュテを敵として認識している。

 間違いなく、男はヒッポリュテを競い合う存在と認識している。


 ならば何故、ここまで底が見えないのか?


「どうした? 来ないのか? 煽る口はあってもその実、戦えぬ弱卒だったか?」

「ッ!! 舐めた口ヲ。」


 存外、余裕なく余裕綽々に煽るレオトールに対しヒッポリュテは案外冷静にそう返す。

 舐めた口を、そう称したが間違いなくヒッポリュテは彼に比べれば戦えない弱卒でしか無い。

 ステータスで並んだ、だが技量が違いすぎる。

 目の前の男は、レオトールという傭兵は。

 戦闘に特化した種族、その長が神器を使わねば到達できない領域にただの努力で立っている。

 その相手に、工夫も小細工もなく勝てる筈がない。


 数値だけで見てもその乖離は1000以上もあった、その差は消え500程度有利に立っているがソレは全てのステータスがというわけでは無い。

 一部は100も差はない。

 本当に薄氷の上でしかステータスは優っていない。

 

 ああ、喉が渇く。

 緊張と、興奮で喉が渇く。

 悦楽による笑みが溢れそうだ、そんな風にヒッポリュテは思いながら地面を蹴る。


「『パリィ』」


 槍により串刺しにしようと、全力で近づきスキルを発動しようと口を開いた瞬間レオトールの方から接近しカウンタースキルを発動する。

 スキル効果が発動し、カウンターとして剣が閃き一瞬にして胴体を捉える。

 ソレを知覚したヒッポリュテは、地面を蹴り空に飛ぶ。

 

 剣術などの初級と称されるスキル、そのスキルに内包されるアクティブスキルは初心者でも使いやすい反面動きが制限されやすい傾向にある。

 『パリィ』も同様に完璧なタイミングで発動すれば大抵の攻撃を食らわないようにすることもできる反面、カウンター中の動きが制限されてしまう。

 そのことを理解しているヒッポリュテは、逃げ場はなくとも逃れやすい空中に体を動かしたのだ。

 ソレを認識したレオトールは焦ることなく、()()()()()()()

 スキルによる行動制限、ソレは確かに存在する。

 だが、ソレは剣から手を離さなければの話だ。

 剣術に内包されている以上、剣を扱わなければその効果も発動しない。

 拳は、剣ではないのだから。


 剣から手を離し、制限された動きから解放される。

 直後、半回転し空中でバク転をするヒッポリュテに拳を叩き込んだ。


「『ニ打不(此レ、ニノ打チ要ラ不)』」


 中国武術における八極拳、そに近しい術理を持ったそのスキルは二手目を必要としない内部破壊の攻撃だ。

 勿論、2手目が無いわけではない。

 2手目が必要となる状況にならないのだ。


「ガぁぁぁアアアッッッツツツツ!!」


 早計、ここに極まれり。

 いや、ここまでを察するほどに対人戦闘の経験値が無いというべきか。

 いくらレオトールが数多の武器を無数に使う達人と分かっていても、戦闘中に得手物を離すという大胆な決断をするという事に思い至らなかったのだ。


 傍観するアマゾネスたちは、勝負あったと。

 そう認識した。

唐突な新キャラ、もしくはやられ役のヒッポリュテさん。

彼女も相当強いけど、流石のレオトールには敵いませんでしたー。

いやぁ、レオトール強いですねー(棒)


さて、ここでざっくり解説レオトールのステータス編!!


 今回解説するのはレオトールのステータスですね。

 少し前の掲示板回でもチラッと言っていたり、さらに遡れば割と昔にレオトールがチラッと言ってたりしていましたがこの場を借りて本格的に解説していこうと思います。


 で、レオトールのステータスなのですが……。

 まず最初に、参考ばかりに黒狼のステータスをお見せしましょう。


プレイヤーレベル34

HP(耐久値)212.9

MP299.4

STR292

VIT242.1

DEX326.4

AGI336.4

INT410.9

合計2120.1


はい、こんな感じですね。

バランスよく高水準のステータスで一番高いIntは400オーバー。

プレイヤーの中でここまでステータスが高いのは二つ名持ちの中でも一握りでしょう。


に対して、レオトールのステータスですが……。

大体こんな感じです。


HP 2000(大体)

MP1800(大体)

STR2400(大体)

VIT2300(大体)

DEX2100(大体)

AGI2200(大体)

INT 2000(大体)


こんな感じですね、ふざけてます。

ついでにステータスは参考なので……、彼の強さはご想像にお任せします。


まぁ、本編見れば明らかなんですけどね。


(以下同文)

今後の黒狼とレオトール、そしてゾンビ一号の先行きが気になる方は是非ブックマークと星をください。(乞食)

また、感想やハートなどをくだされば作者のモチベーションが高まります。

是非お願いします。

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このステータスにプラスでスキルとしてステータスを10倍にするスキルがあるんだから手に負えない
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