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Deviance World Online 〜最弱種族から成り上がるVRMMO奇譚〜  作者: 黒犬狼藉
一章中編『黒の盟主と白の盟主』

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Deviance World Online ストーリー3『ダーディス』

 三人が名乗りをあげ、キャッキャと叫ぶネロ。

 だがその興奮も一時のモノでしかない。


「さて、俺も自己紹介はしテェとこだが敵さんは許してくれねぇようだぜ?」

「同意見だな、俺もこのままだったら死ぬ未来しか見えない。」

「えぇ〜、折角だしやれよ〜。多分どうにかなるし!! な!! な!!」

「いい加減にしろ!! シャル!! 一旦此処は逃げなきゃいけないって!!」


 そう叫び、銅色の剣を引き抜いたローランは今にも壊れそうな壁を睨む。

 釣られて黒狼、ロッソもその壁を確認しシャルが最後に眺めた瞬間壁が倒壊した。


 雪崩こむミ=ゴ、真っ先に対応し拳で殴りつける『黒獣傭兵団』のプレイヤー。

 それを追うようにシャルが聖剣『ジョワユーズ』を引き抜き、そのまま一気にミ=ゴを切りつけた。

 瞬間、聖剣から炎が溢れ出し装甲を破壊する。

 そして呆気にとられる黒狼を横目にネロに微笑みかけると一気に蹴りを見舞った。


「いっけぇぇ!! ヒポグリフ!! 『風の舞』だ!!」

「『スラッシュ』!! っと、バフが足りてないぞ!! 他も使えよ!?」

「ちょっと待ってよー!! うん、コレにしよ!! 『戦の音色』!! ピュ〜ロロロロ〜♪」

「音楽バフかァ、悪くない。とりあえず、『鉄拳破壊』!!」


 シャルがバイオ装甲を破壊するため赤い色の聖剣を振るい、アストルがヒポグリフに指令を出しながら音楽バフをかけ、近接戦闘で苛烈に攻撃しているのはローラン。

 それに合わせるように『黒獣傭兵団』のプレイヤーが拳でバイオ装甲の上から殴り付け、バイオ装甲の密度を大きく減らす。

 それに出遅れたロッソと黒狼だったが、そのまま加勢するため黒狼は剣をロッソは杖を握り様々な攻撃を浴びるよう動く。


「『ダークバインド』『ファイアレイン』『シンプル・エクスプロージョン』、やっぱり人数は力ね。人が多いほど圧倒できるわ。」

「家屋が倒壊しそうなんですが!? いやマジで!! ちょっと外に出たいんだけど!?」

「諦めようぜ、多分倒し切るまでに外には出られなさそーだし!!」

「余、建物に押し潰されて死ぬなんて嫌であるぞ!! 早く倒すのだ!!」


 ワイワイガヤガヤと賑やかに叫びつつ、ミ=ゴを倒すことは一旦諦め大きく弾き飛ばし建物から逃げることに尽力する。

 黒狼はそこまで役立ってはいないものの、ロッソは拘束魔術や魔法を用いて足止めに大きく貢献しシャルはバイオ装甲を剥がすということにのみ専念し他二人はそれを補助するように動く。

 動きそのものに無駄がないプレイヤーの彼は己が拳を武器として敵を大きく飛ばし、装甲を貫けてはいないものの全体に大きく貢献していた。


「『跳拳』!! 『回転脚』、『踏み込み』!! からの『ジャブ』だァァァアアアア!!!」

「つっよ、何モンなんだよアイツ。」

「雑談は後にして? 案外余裕はないのよ、黒狼。『水よ、我らの手先となれ【ウォーター・ハンド】』」

「独り言ぐらい言わせろっての!! あー、クッソ。とりあえず『ダークバレッド』!! 魔術と違って魔法は規格が統一されててやりにきぃ……。」


 黒狼が一体を遠ざける間に三体ぐらいは弾き飛ばしている彼を見て、自信喪失しつつシャルの炎の攻撃を鬱陶しそうにみる。

 教えてないから仕方ないとはいえ、炎攻撃はアンデッドである黒狼にフレンドリーファイアするのだ。

 HP管理のめんどくささも相俟って若干不機嫌になる。


 だが、不機嫌になったところで状況は変わらない。

 ロッソやシャルに合わせるように剣を振りながら建物から出る、建物内での戦闘は得手物を振り回すのに向いていないというのは当たり前の話だ。

 さらに黒狼は遠距離系の攻撃を比較的得意とする魔術師であり、狭い空間ではその本領を発揮できない。

 それをどうにかするため黒狼は真っ先に飛び出した。


「あ、逃げれるのね!? というか逃げれそうなら教えてよ!?」

「じゃァ、俺も一旦逃げるか。」

「余も余も!! 余も逃げる!!」

「あ、ズルい!! オレも逃げるって!!」


 当然、そんな行動をすれば一気に戦線は崩れる。

 ミ=ゴを抑えていたメインアタッカーも逃げるために一斉に動き、ローランとアストルの負担が一気に増えた。

 またミ=ゴが侵入してきた穴はそこまで大きくはない関係で、ある程度順番よく潜らなければ詰まってしまう。

 結果、5人同時にズッコケる。

 見事に全員の脚がもつれ、黒狼を一番下として他4人が彼に覆いかぶさる。

 もしくは黒狼を押しつぶすように倒れ込み、土煙を上げた。


「何してんだよ!? というか、逃げるために一斉に突撃して全員こけるのはギャグだろ!?」

「え!! 面白そう!! ねぇねぇ、僕も混ざっていい!! 混ざっていいよね!!?」

「いい訳ないだろ!! とりあえず……、ええと!! とりあえずこいつらの動きを封じろ!! アストル!!」

「チェ、つまんないなぁ。まぁいっか、ヒポグリフ!! 『威圧』をして!!」


 アストルがヒポグリフに命令を行うと、ヒポグリフはキュルルルと唸り声をあげ一気に声を上げる。

 空気が震え、音が鳴り響きスキルの効果が発生した。

 物理的耐性は酷く高いミ=ゴだが、こう行った搦手には酷く弱いらしい。

 ヒポグリフの威圧を受け、肉体に電流が走ったかのように体が反る。

 そして怯えたように後ろに後退したそこに、ローランの体当たりによって三体まとめて部屋の隅まで飛ばされた。


「とりあえずコケてる五人は早く起き上がってくれ!! 俺一人じゃ無理なんだが!?」

「ボクもいることを忘れないでよ、ローラン!! 全くひどいなぁ!!」

「訂正する、俺とヒポグリフの一人と一匹じゃ無理なんだが!!」

「ボクもいるって!! 忘れないでよ!!」


 わちゃわちゃと騒ぎつつ、黒狼が真っ先に起き上がった。

 そのままシャルを引き起こし、ロッソに手を差し伸べる。

 ロッソは黒狼の手をとり起き上がりつつ、その下にいた彼が跳ね上がるのを見て早速拘束系の魔法を展開した。

 展開された魔法は早速効果を表し、威圧で怯んでいたミ=ゴを拘束させ、その間に落ち着いて部屋から出るようにジェスチャーを行う。

 早速気づいたローランが抜け出し、その後に続くようヒポグリフに乗ったアストルが建物を破壊しながら逃げ出す。

 破壊された建物は大きく倒壊し、ミ=ゴを押しつぶす。

 コレで倒せたとは到底思っていない五人だが、それはそれということで音でこちらに来るミ=ゴから逃げるように全員駆け出した。


*ーーー*


 全力で走ること五分程度(ネロは最初の一分で黒狼の背中に移っていた)、何やら他のプレイヤーがいる区域に到着した五人はようやく一息付く。


「危ないところだったわね、やっぱり全然強いじゃないの。」

「まー、攻略法が確立されててもオレみたいにそれを使えなきゃなー。結局、安定して狩れてるのは一部だけだと思うぜ?」

「ナチュラルに会話を始めてんな……、まぁいいか。」

「とりあえず俺ェの自己紹介をしてぇんだが? 上からの指示も関係もあるし、お前らもレイドボス攻略をすんだろ?」


 その質問に頷く黒狼、そのまま周りを見ても大きく否定している人間は居ない。

 ロッソもネロも、他の三人も特段否定せず話を聞くように耳を傾けていることを確認した彼は早速とばかりに口を開く。


「というわけで、俺ァ『黒獣傭兵団』所属のダーディスだ。二つ名なんかはねェがこう見えて第3部隊の幹部をやらせてもらっている。気軽にダーディスって呼んでくれ、ネームバリューに関しちゃぁ『ウィッチクラフト』や『黄金童女』、『冒険王』『金剛体』『理性蒸発娘』に劣るがまぁよろしく頼む。」

「へー、二つ名がないって俺と同じか。よろしくな、ダーディス。」

「まぁ、な。というかタイミングを逃してたがお前はアンデッド族なんだな、俺もヒューマンじゃないんでねェ。親近感が湧くな。」

「人間じゃない? へー、何々? どんな種族なんだ?」


 黒狼にそう尋ねられ、仕方なしとばかりに腰の部分の装備をとる。

 そこには漆黒の犬のような尻尾が一つあり、彼が狼や犬系の獣人であることが窺えた。

 目をキラキラさせて速攻で近づくネロとアストル、そんなふうに飛び掛かってきた二人を華麗にかわしたダーディスはやれやれとばかりに二人を見下げる。


「一応、ビースト族の進化先である『ウォー・ウルフ』だ。近接系統が得意だがいくつか魔法の心得はある、とはいえ炎関係は収めてなくてなァ……。今回ばかりは役に立てるかどうかだな。」

「この流れだと私たちも自己紹介した方が良さそうね、さっき挙げられた『ウィッチクラフト』のロッソよ。得意は炎系統だけど装備の兼ね合いが強いわね。基本属性なら全て問題なく扱えるわ、そしてこっちは黒狼。見ての通り非常に珍しいアンデッドよ、炎及び回復が苦手であってるかしら?」

「あってるな、ついでに言えば打撃も苦手で紙装甲。扱える魔術は全部特殊だから……、まぁ実戦で俺の戦い方を見てくれた方が説明は早そうだな。最大火力は全方位巻き込み型だからそこんところ、よろしく!!」

「相変わらず変なプレイスタイルだな〜、っと。オレたちもプレイスタイルの説明はしてなかったししたほうがいい感じか?」


 アンデッドという種族自体特異んものである以上、黒狼のプレイスタイルもおかしなものとなる。

 とはいえ、本当にいい所無しの黒狼の説明を聞き素直に感想を吐いたシャルは自分たちもプレイスタイルの説明は必要か? とロッソや黒狼、ダーディスに質問をする。

 そして当然とばかりに頷いた三人に、だよなーと言いながら白黒二色が入り混じった髪を軽く掻きそして自己紹介を行う。


「オレはシャル、さっきも言った通り世界で最も陽気な聖剣『ジョワユーズ』を用いている血盟『十二勇士(パラディン・ナイト)』の盟主だ。……って言ってもオレのクランは基本的にライトなプレイヤーがワイワイしてるだけだけどな〜!! 戦闘スタイルは属性が変化するこの聖剣を使った近接ってところだ、他にも特殊アーツとか色々あるけどそこは隠させてもらうぜ? で、こいつは……。」

「俺はローランだ、基本的にこの毀不の輝剣『デュランダル』を用いた近接戦をしている。上裸なのは……、まぁ簡単にいうとこの剣の効果で装備が少なければVIT値が上昇するっていうモノがあるんだよ。効果としてはふざけてるけど、実際強くてな。目を汚してるけど、まぁ勘弁してくれ。」

「次はボクボク〜!! ボクはアストル!! 調教師(テイマー)でヒポグリフを従えているよ!! ボクの戦闘スタイルはヒポグリフを用いた攻撃や音楽とかで行うバフとかだね!! 近接もできないことはないけどちょっと苦手、よろしく!!」


 三者三様の自己紹介をし、ロッソと黒狼とダーディスが拍手をする。

 ネロはすっ転んだところから立ち上がっており、この会話を聞いていなかったようだ。

 もし聞いていたら聞いていたでうるさくなるのは目に見えており、そう考えれば関わらない方がよかったのかもしれない。


「さて、一応俺には作戦があるんだがどうする?」

「作戦? どんな作戦か聞かせてくれるか? 実は俺たちも……。」

「実は私たちには二人ほど仲間がいてね、けど例の地震に巻き込まれたらしいわ。その作戦が問題なさそうなら参加したいけど二人が参加できなさそうなら私たちも参加できないわね。」

「そうか……、まぁ確かにこれはレイドイベントだからなァ。まぁとりあえず上の指示だけは伝えるぜェ。」


 そう言い、何かを確認するように動作を行うと若干眉間を寄せてため息を吐く。

 何やら気に食わないことが書かれていたらしい、だが他の五人が見ていることに気づくと即座に顔を繕い話を始める。


「はァ……、とりあえずだ。上というか、カシラは総力戦を御所望らしい。ここに戦闘意思のあるプレイヤーを集めてんのもその一環とのことだ、理由はいくつもあるがやっぱり最大の理由はあのバケモンが厄介な敵を作成するタイプのボスなのが理由だろうな。」

「まぁ、そうしたいだろうな。というか、今はその……。お前がいるクランがプレイヤーをまとめてるのか?」

「ああ、『探求会』はトップがそもそもイベント不参加で『キャメロット』は例の結界を潰した後何か変化があるとしたらここだろうと当たりをつけて集合してたところを一網打尽にされたらしいなァ。俺らのクランは森の深い所に行ってた関係もあるからそこまで影響は受けていないってわけだ。んで、俺らのクランは影響力がそこそこあるしとりあえずこっちでまとめさせてもらってるとのことらしい。うまく説明はできねぇから詳しく聞きたいのならカシラに聞いてくれ。」

「ん? その言種だとお前らの盟主と会えるっていうふうに聞こえるんだが?」


 黒狼がそう突っ込むと、ダーディスはそう言ってんだろと黒狼に言い返す。

 急遽訪れた偉そうな人との対面に一気にビビる黒狼だが、ロッソはやれやれと息を吐き物憂げにステータスを確認した。

 何かしら懸念事項があるらしく、少し悩んだそぶりをみせるロッソだが最終的には悩むことを諦めたのかダーディスについていくという意思表示を行う。


「だけど盟主に会う理由は聞いていないわね、言って欲しいんだけど?」

「ん? ああ、それはあのバケモンは程度の高けェ再生能力を保有しているらしくてな。一撃高火力を使えなくちゃ、勝ち目がねェ。そういうわけで、高火力を扱える上位プレイヤーを欲しているわけだ。」

「そうか、二つ名持ちなら高火力の攻撃を持ってるもんな。」

「おー、確かに!! そういうことならオレもオレのジョワユーズも活躍できるかもな!!」


 そう言ってニコッと笑うシャルを横目に、高火力技があったか? と探すようにステータスを確認する。

 スキルこそ多様な黒狼だが、攻撃手段は案外少なく活躍できるか不安な様子だ。

 そんな雰囲気を察したロッソは何やってんだか、と呆れつつダーディスに声をかける。


「とりあえず盟主に、彼に会いたいわね。話はそれからでいいかしら? ここでは全ての判断はできないし今は少しでも多く情報が欲しいしね。」

「俺も右に同じく、だ。シャルはこんな感じでノリと勢いで生きてるからな、コイツがそう決定してたとしても俺たちの総意だとは思わないでほしい。」

「別に構わねェさ、カシラもその程度で嫌がりはしねぇだろ。というわけで、早速移動しようぜ? 時間をかければキャメロットの連中が復活して手柄が減る。」


 ダーディスがそういい、他の全員も不満や文句。

 逆に納得などの感情を浮かべつつ早速移動を開始した。

キャラの紹介を軽く行いつつレイドボスの攻略に乗り出しましたね。


(以下定型文)

お読みいただきありがとうございます。

コレから黒狼、および『黄金童女』ネロや『妖刀工』村正、『ウィッチクラフト』ロッソ、『◼️◼️◼️◼️』    (ヴィヴィアン)の先行きが気になる方は是非ブックマークを!!

また、この話が素晴らしい!! と思えば是非イイね

「この点が気になる」や「こんなことを聞きたい」、他にも「こういうところが良かった」などの感想があれば是非感想をください!! よろしくお願いします!!

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