表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Deviance World Online 〜最弱種族から成り上がるVRMMO奇譚〜  作者: 黒犬狼藉
一章中編『黒の盟主と白の盟主』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

114/372

Deviance World Online ストーリー3『決闘』

 刀が交差する、そして村正の腕から血飛沫が上がった。

 同時に柳生(やよい)は飛び退くと、その空間を金槌が通過する。

 

「先手は村正さんが取りましたね、そして一瞬遅れて師匠の抜刀が行われ村正さんの腕を切りながら刀を受けたと言ったところでしょうか? 当然、切られることを予見していた村正さんが左手に持っていた金槌を投げつけ、間をとったと言うのが一連の流れですね。」

「速!? よく戦えているわね……?」

「戦えてません、村正さん的にはこの時点で8手遅れてるようですね。」


 大きく後退した柳生は、地面についたと同時に追加で飛んできたドスを刀の柄で弾く。

 そのまま追撃として放たれた苦無を少し動くことにより躱した。

 村正の攻撃を軽く凌いだ柳生はそのまま一気に村正の懐に飛び込み、だが一瞬早く村正がインベントリから出した数本の刀で防御を固めたため本来ならば村正を横一文字に切り裂くはずだったその攻撃は内臓まで届くことなく表皮と軽く筋肉繊維を切断するに終わる。


「『白蓮びゃくれん』、『縁結よりよし』!!」

「ふん!! 無駄さね!!」


 先程出した幾本の刀、そこに込められた特殊アーツを用いて多少の嫌がらせを行おうと足掻く。

 だが、その足掻きは宙に舞っていた刀を神速の斬撃によって全て破壊されたことにより無に帰した。


「どう言うことでありんす? わっちの目には村正が弾き飛ばされただけにしか……。」

「何で村正は弾き飛ばされたのよ? 理解が追いつかないわ。」

「アレが剣聖と呼ばれる所以ですよ。よく見ていてください、師匠のすごいところはその抜刀速度です、彼女の抜刀は神速の域にあり人間の目には殆ど捉えることができません。AGIが200を超えていれば知覚は可能でしょうが……、抜く直前に感知し避けるのならトン三郎さんのように500はないと難しいでしょう。村正さんは師匠の接近から抜刀を……、おそらくはドスを投げた時点で予見し完全に防ぐためにインベントリを開いたのでしょうがそのエフェクトが発生した時点で先手を打ち師匠は村正さんに急接近し懐から無発声で行えるスキルを用いた抜刀を行いました。ですが流石に村正さんの刀が出る方が早く、それにより刀の斬撃が防がれ、本来ならば切断するはずだった一撃は致命傷に至ることなく……、といったところでしょう。」

「……戦闘職が化け物しかいないのは常識でありんすが……、AGI200を平然と要求するのは巫山戯ているでありんし……。」


 玄信が解説している間にも戦況は変化する。

 大きく弾き飛ばされた村正は、地面を転がり受け身を取りながらそのまま上空へと逃れる。

 直後、飛ぶ斬撃が村正の居た場所を凪ぎ急接近した柳生がそのまま飛んでいる村正目がけて再度飛ぶ斬撃を見舞う。

 空中で足場のない村正、危機一髪か!? と言う状況ではあるが彼は至って冷静に。

 されど頬を伝う汗は止められず、その斬撃を避けた。

 未だ空を舞う村正、それに対し柳生はスキルを幾つも纏わせた刀を納刀し最大火力の一撃を見舞う準備をした。


「思い通りにさせてやるかよ!! 『操糸(そうし)刀剣乱襤(とうけんらんらん)』!!」

「オリジナルアーツさね? さっき避けたのはその硬糸が理由か!!」


 柳生が切断した刀の数々、それが村正の操る糸と繋がっており柳生を襲うこととなる。

 殆どが刀の柄を中心とした部分だが、中には破片が飛んできている。

 それら全てが柳生を襲い、そして弾かれた。


「アーツですらない単純な技術ですか!? 巫山戯ている!! どうやって、()()()()()()()()()()()()()()()()()()!? いや、そう言うことか!!」

「解説お願い!!」

「糸を切断しないように近づけてから一瞬にして切断し弾き飛ばしたんだ!! しかも全てが重なるタイミングで!! あのアーツは糸に結びつけた刀で敵を捕縛する技!! 相手を捕縛するために散開の後に一点に収束する!! その効果をスキルエフェクトから推測し集合する点を看破、そこから全てを完全に反発するように刀で操作しその瞬間に全ての糸を切断したんだ!!」

「化け物でありんすか!? そんなことができる人間がいる訳が……!! あまりにも、あまりにも常識からかけ離れ過ぎているでありんし!!」


 観客席の3人が驚愕を叫び、残っている数少ない観客がどよめきを上げ、さらにボルテージが上がった会場の中心に村正は立つ。

 時間にしてそこまで長くはない滞空、だがその短い時間に行われた攻防は間違いなくトッププレイヤー同士の戦闘に劣らないものだった。

 だからこそ、次の瞬間に行った行動は他者からすれば意味が分からない、行動の理由が推測出来ないモノとなる。


「儂の負けだ、柳生の婆さん。」


 熱が、退いた。

 歓声は、急速に無くなり困惑のうねりが会場を取り巻く。

 だが、当の本人たちはそれを一切気にせず決闘のフィールドを解除した。


「かぁーっ!! 痛てぇ、手前の斬撃何発浴びたと思ってやがる。」

「ざっと12、3ってとこさね? 見える範囲での斬撃痕は二つだが……。HPはどれぐらいだったんだい?」

「言わなくても分かるだろ? 10以下ってとこだ、全く『鈍』だからって好き勝手に殴るんじゃねぇ。しかも打撃属性でここまで綺麗に切れるなんざ儂でも考えてねぇよ。」


 そう言い捨てると、村正はロッソをの側まで跳び上がり『行くぞ』と一言声をかける。

 だが、さっきまでの白熱具合から一気に冷めた状況に着いていけないロッソは村正に説明を求めた。


「ちょ、ちょっと待ってよ!? 貴方、さっきまで優勢だったじゃない!?」

「優勢? 笑わせんな、あの婆相手に優勢だった時なんざ一度もねぇよ。しかも刀で防御力を上げて受けたはずなのにあの糞婆はその合間を縫って切り付けやがった、儂が弾かれる前にだぜ? 巫山戯んなっつーの。」

「……師匠ってそんな速度で刀を振れたんですね? 私でも村正さんが切られた一回以外は全部見逃しましたよ……。」

「儂も見えてねぇさ、ただHPの減りが明らかにおかしかったから切られたのは確信出来たってだけだよ。しっかし、儂も相当面妖な物を作り上げちまったなぁ……、まさか斬撃属性を打撃に変える武器を作れるとは思わなんだ。」


 そう言いつつ、武装を解除しインベントリを整理する。

 DWOの仕様のおかげで、決闘中に破損したアイテムなどは全て復活し減ったHPも完全回複するのだが精神疲労はそうもいかない。

 『剣聖』柳生、人間国宝に指定されるほどの剣の粋を極めた存在。

 そんな人間が振るう剣術は、村正の精神にまで衝撃を齎した。

 

「んじゃ、此れで。ロッソ、本題はまだだから付き合え。ちょうど夜だしいい具合だろう?」

「はいはい、とは言っても二時間後ぐらいに一回抜けるけどね?」

「構わんさ、夜の獣狩りと洒落込もうか。」

「失望させないように……、って言うまでもないわね。」


 先程の戦いを思い出しながらロッソはそう言うと村正にポーションを投げ渡した。

 一言礼を言うと村正は一息にそれを飲み込み、精神が癒える感覚を味わう。

 実際のところ、肉体的に過度な疲労は存在していない。

 ただ、精神的な疲労は酷く募っている。

 それを回復させる、もしくはやる気を再び激らせるポーションを飲み込み回復させた。


「麻薬は儂は嫌いなんだがなぁ?」

「麻薬って言わないでよ、合法よ? それに医学的にもVRCを用いた精神系のモノは安全と証明されてるわ、でなければ高が一ゲームでこんな代物を扱える訳がないでしょう。」

「それでも、って言う話だ。それに世の中には合法とは言え、悪質なデータ麻薬があるらしいじゃねぇか。社会生活に影響を及ぼすって話もちらほら聞くぜ?」

「少なくとも私のは安全よ? 依存性は確認されてないし。そもそも私のものは精神疲労を癒す程度の代物なの、皮肉なのはわかってるけどそんな言い草は無いんじゃ無いのかしら?」


 そう言いつつ彼女はドロップ飴を口に放り込み、自分に食糧系から得られるバフを施す。

 31世紀現在、レーション以外の食料品は流通量が酷く少なく。

 また同時にその希少な食料品は酷く高価だ。


「さて、何を狩るの? できれば近接高火力は避けたいんだけど。」

「んにゃ、一先ずは目先から行こうじゃねぇか。具体的に言えば……。」

「なるほど? アレ、ね?」

「そう言うことだ、補助を頼む。」


 そう言って、ちょうど門を出た村正は目の前に見えるモンスターとプレイヤーを見ながら未だ目をつけられていないモンスターを発見する。

 早速鑑定を発動、黒狼より1高いレベル6のソレに表示される情報は名称とHP量。

 そしてモンスターについての注釈を確認し、早速インベントリから刀を抜いた。


 モンスター名は『ナイト・ホース』、属性は闇であり注釈に書かれている特徴は闇属性を用いた魔術的攻撃を行うこと。

 近接職にとっては少々苦戦する相手だろう、職業が『鍛治士』である村正にとってはその難易度は殊更高い。

 だが、それを補うだけの現実的な技能を持つ村正にとってそんなモノ大した話ではなかった。


「『抜刀』、『迅歩』……!!」


 言葉短く、されどはっきりと。

 抜刀術のスキルを用いて数メートルの距離を一気に短縮し、モンスターの眼前に到達する。

 もう既に抜刀された刀、纏われたスキルエフェクトは消失しておりソレによる火力バフは望めない。

 だが、もとより村正はそのバフを利用しようなど考えてもいなかった。


「『断頭』、からの『縁結よりよし』!!」


 アクティブスキルの発動、同時に特殊アーツの展開。

 村正の動きが一瞬固くなり、ナイト・ホースの頭部を下から切り落とすように剣をひらめかせる。

 刀の部分から赤黒いエフェクトが飛び出し、ナイト・ホースの首に到達しようかとしたその瞬間。

 全く別の緑色のエフェクトが発生した。


 特殊アーツ、『縁結』

 名刀『縁結』、その特殊アーツである『縁結』の効果は道行の省略。

 もっと簡単に言えば、過程を多少無視した結果を与えるということ。

 今回においては、断頭というアクティブスキルの効果を本来より早く発生させた。


 赤黒いエフェクト、そこから行われる村正の動作。

 その動きが一瞬ブレたかと思うと、喉元に村正の刀が届いていた。

 STR200台、決して低くはないそのステータスから放たれた一撃はだがそれでもナイト・ホースに届くことはない。


「闇属性のシールドね? 探求会の情報通りってとこかしら?」

「雑談の暇があるなら魔術を放ちやがれ、っと。『緊急回避』!!」

「ハイハイ、わかりましたよ。『紅蓮、火炎、一切合切燃え尽きなさい。』【ファイア・ダンシングソード】からの、【フレア・スパーク】『かの炎は、爆裂する。炎の下に生命は等しく。』」


 二種の詠唱、二種の魔術が展開され炎で形作られた10の剣が踊り狂いその炎からこぼれ落ちた火花が破裂し爆発を起こす。

 前述詠唱と後述詠唱、それらを別々の魔術で行いながら発生する現象はたった一つに収束する。

 ヴィヴィアンは行わない少量の魔力で行う最大限の効果、発動する効果の最大化。

 その結論として作成された魔術の展開方式、DWOのNPCたちが扱う最も主流な魔術。

 黒狼みたいな等価交換の魔術(深淵の魔術)ではなく、ヴィヴィアンみたいな莫大な魔力による魔術(精霊たちの魔術)でもない。

 人が叡智の末に編み出した、弱者としての魔術(人の魔術)


 それによってもたらされた神秘は、どこか高貴でどこか凡庸な印象を受ける。


「はっ!!! やればできんじゃねぇか!! ロッソ!! あの魔女にも手前は劣んねぇぜ?」

「バカを言いなさい、あの自称魔女は扱える魔力がおかしいのよ? アレだけ魔力を込めれば私なんかより先を進めるわ。まぁ、だからこそ足元の落とし穴に気づかないんでしょうけど。」

「嫌味は直接言ってやれ、っと。『唐竹割り』!! それに手前は十分やってくれてるよ!! シールドが破壊されたな? 一気に仕留める!! 『納刀』『抜刀・居合』!!」

「あ、そういう仕組みなのね? 納刀っていうスキルあるんだ……、へぇ……。って、私も魔法を展開するか。『グランド・エクスプロージョン』!!」


 ダークシールドの破壊、その現象の視認とともに村正が納刀スキルを用いて刀を納刀、そして前傾姿勢をとり抜刀の姿勢となる。

 一瞬遅れ、抜刀。

 地面を抉り、刀からはエフェクトが飛び散る。

 行われるは俊速の抜刀、ナイト・ホースはそれを避けるため後に飛びのこうとし失敗に終わった。

 ロッソの魔法、展開された結果は地面の炸裂。

 メインリリースされた時に初発見されたレイドボス『黒騎士』、彼からインスピレーションを受け同時に幾つかの高名な魔術師に師事することにより得たスキル。

 スキル名『混合魔術(火・土)』、そこに記載されている地面を爆発させる()()()()()、発生した結果は地面を炸裂させナイト・ホースの足を破壊する。

 

 そして、そこに村正の居合が炸裂した。

 決して遅くないその刀の到来、抜刀術特有のエフェクトを纏いながら喉元を横一線に切り裂く。

 与えたダメージは82、総数から見れば3割程度であり近接職の一撃としては弱いが生産職の一撃としては上等も上等。

 ロッソのグランド・エクスプロージョンのダメージが64であり合計で140を超えるダメージを与え、ナイト・ホースのHPは半分を切る。

 

「更に食いやがれ!! 『小切断』!!」

「『エンチャント・ファイア』!! 火属性を付与したから!! 火力の足しにしなさいよ!!」

「上等上等!! 『乱れ切り』!!」


 居合の威力のまま一回転、怯んでいるナイト・ホースにそのままの勢いのまま小さく攻撃を重ねる。

 体幹を駆使した刀による無数の切り付け、まさに乱れ切り。

 一発一発の火力は低いが、ロッソのバフも加えてその傷を焼け爛れさせる。

 ダメージを連続して与え、常に怯ませ反撃の隙を与えずダメージを与え続けた結果、二人に勝利が齎された。


「よーし、楽勝楽勝。こんな感じでしばらく狩るぜ?」

「いいわよ、なんで狩をしてるの?」

「儂は素材が欲しい、手前も欲しいだろ? 相応の成果を上げたら幾つか武器をくれてやる、失敗作だがな。まぁ、特殊アーツは宿ってるしそれで十分だろ?」

「あー、言ってたわね? そんな事、気を遣ってくれたってこと? それなら感謝しなくちゃね。一回抜けるタイミングがほしかったし……。あと報酬はいらないわよ。ただくれるっていうなら実験に協力してちょうだい? 貴方の刀を使えば生きた魔道具が作れそうだわ。」


 夜の狩りは続く……。

上編で語れなかった魔術系に関する解説をしたいな……?

あとロッソ、ヴィヴィアン、黒狼の魔術ですが……。

ロッソは低燃費で高性能な魔術を

黒狼は出力した魔力に応じた魔術を

ヴィヴィアンは大量に魔力を出力し術式の性能を最大限に生かす魔術という形です。

ネロ? あいつの魔術は殊更特殊ですのでまた追々……。

という事ですので、本編ではロッソさんがヴィヴィアンを妬む描写が多く施されていますがあくまで潤沢に扱える魔力とセンスだけで高等技術をしれっと見せつけてくるから妬んでるだけです。

ある程度原理を理解すればロッソさんもヴィヴィアンの技術を扱えます。


(以下定型文)

お読みいただきありがとうございます。

コレから黒狼、および『黄金童女』ネロや『妖刀工』村正、『ウィッチクラフト』ロッソ、『◼️◼️◼️◼️』    (ヴィヴィアン)の先行きが気になる方は是非ブックマークを!!

また、この話が素晴らしい!! と思えば是非イイね

「この点が気になる」や「こんなことを聞きたい」、他にも「こういうところが良かった」などの感想があれば是非感想をください!! よろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ