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詩歌集

夜空バス

掲載日:2024/07/27

タイトルの読み方は「やくう」です。




夜更け。


ふらりと外に出た私。


誘われるように。


夜道を歩く。


普段、煩いくらい車が走る大通り。


けど、今は車が一台も走らない。


静かで、虫の音が夜の闇に良く響く。


すると、遠くから乗り物が走る音がした。


その音の方をみると、バスがこちらに向かって走ってきた。


こんな時間にバスなんて走らない……のに。


それに、見たことのないバスだ。


バスは、私の傍で止まった。


プシューっと音を立てて、扉が開く。


「こんばんは。このバスは君の行きたいところへ連れていくバスです」


何とはなしに。


私はそのバスに乗る。


そのバスは最初は普通に車道を走っていた。


すると、ふわりと車体が持ち上がって浮かんだ。


夜空を走る、バス。


私は驚きながらも「これは夢だろう」と思い、バスの窓から外をぼんやりと見つめた。


バスの外では星がキラキラとちいさく瞬いて。


とても、綺麗で。


バスはある程度空を昇ると、まっすぐに夜空を走る。


何処へ向かってるのかなんて、しらない。


バスに揺られながら、私はぼんやりと窓の外を眺めていた。


すると。


「次のバス停で停車します」


運転手がそう言うと、バスは止まった。


まさか誰か乗ってくるの?


こんな時間に?いや……そもそも人?


そんなことを思いながら、入り口の方を見ていると。


誰かが、乗ってきた。


その人は──


「あっ……」


君、だった。


「なんで……?」


「いや、何となく目が覚めて外に出たら……このバスが俺のところに止まって……」


しばらく。


君と私は見つめあっていた。


すると運転手が咳払いをし、君は慌てて私の隣の席に座った。


「発車します」


運転手は言うと、バスを走らせた。


夜空を走るバス。


私と君はずっと無言で。


私は窓の外を見るふりしながら、窓に映る君の顔をチラッと見た。


すると、窓越しで君と目があって。


ばっと、お互い素早く窓から目を反らす。


ふいに、私の手と君の手が微かに当たる。


「「ご、ごめっ」」


ぶわっと頬が熱くなる。


無言のまま、バスは走る。


息苦しくない沈黙。


心地のいい、静けさ。


バスは夜空を走る。


キラキラと星瞬く夜空のなか。


君と私を乗せたバスは、静かに走る────







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