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エンドレス・ニューゲーム~俺の幼馴染が『つよくてニューゲーム』を343回繰り返しているようだ~  作者: 竜山三郎丸


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70話 この空は誰のせい?

◇◇◇



 教会の方々は俺の蘇生術と、天戸うずめさんの禍々しい重力にも似た圧により俺達を天の使い……かはともかく、何らかのものと認識をしてくれた様子だった。


 あのおじいさんは大司教とかって言って、この教会で一番偉いそうだ。


 一旦俺達を客人扱いとしてくれ、部屋を用意してくれた。


 今後の対応を協議するので、少し時間が欲しいそうだ。正直でいいと思う。


 天戸のあの殺気を感じて、武力でどうこう出るのは考えづらいから、まぁまともな協議なのだろうと思う。


 そして、何故か俺は腕を組んだ天戸うずめさんに説教をされている。


「まずは虫、そして鳥。次は犬?最後は人になるんでしょう?そうやってどんどんエスカレートしていくのよ」

 

 猟奇殺人者の話では無く、俺の蘇生術の話だ。


「確かに勝手に断り無く蘇生を使ったのは悪いと思うけどさ。しょうがないの範囲だと思わないか?いや、勿論反省はしてるけどさ、どう考えてもあいつが悪いだろ」


 天戸は腕を組んだままベッドに腰を掛けてジッと俺を睨んでいるが、少し経ち呆れたように少し笑う。


「半分冗談。でも、あなたがやらなかったら私が殺していたわ」


 恐ろしく物騒だが、当然冗談などではないだろう。


「天戸こそ一応我慢したのは偉いぞ。さすがにあそこで殺してたら話にならないからな」


「感情のコントロールはあなたより得意なつもりだけど?」


 まぁ、事実かも知れんが一々俺を貶めてくるんじゃねぇ。



 取りあえず話を逸らして小言から離脱することにしよう。


「そ……、そう言えばお前すごかったな!俺が喋ってる言葉を一言一句間違えずにさ!あれだな、女優になれるぞ。見た目だって悪くない」


「……別に普通よ」


 そう言うと天戸は口元をマフラーで隠して横を向いた。


 何とか凌ぎきったか。


「よくわかんねーけど、秋になったら文化祭とかで劇とかやるんじゃないか?きっと得意だよ、お前。昔は草とかしかやってなかったけどな」


「別に草だっていいでしょ。立派な役なんだから」


「……草に手を挙げるのはお前くらいのもんだと思うぞ」


 天戸は腕を組んで俺への威圧を止めると、ベッドにうつ伏せに寝転がった。


 俺は床に座らされている。


「ふふ、いいでしょ別に。主役はハルに決まってるんだから。あなたは照明だったよね?」


「そーだっけ?よく覚えてんな。セリフとか覚えたくなかったし、別に目立ちたくねーもん」


 小学五年の時の学芸会の話だ。


 六年の時は何をやったんだっけ?全く思い出せない。



 暫くしてドアが数度ノックされ、徳の高そうな笑顔のあの護衛がやってきた。


「お待たせしました。大司教様の所へご足労願えますか?」


 優秀な治癒魔法の使い手がいるようで、顔は腫れていない。


「今行くわ」




◇◇◇


「蘇生魔法なんてどうやって修得したんですか?伝説上の魔法ですよ、あんなの」


 クルートと言うイケメンの護衛は、俺たちの間には何事もなかったかのようににこにこと話しかけてくる。


「んー、秘密。てか、やっぱりそんなにすごい?俺」


「すごいなんてものじゃないですよ!蘇生ですよ?いくら払っても生き返らせたいなんて人はたくさんいますし……宗教立ち上げる位のことは余裕でできますって」


 やはり蘇生ってそのくらいの魔法だよな。


 他の魔法は決して得意では無いのだが、何故蘇生は使えるのか。


「でも、予め言っておくけど人の蘇生はしないぞ」


 クルートはニッコリと笑う。


「いいと思います。賛成です」


 不機嫌そうにポケットに手を入れながら後ろをついてくる天戸が口を挟む。


「生き物握りつぶしておいて善人面でニコニコしないでくれる?」


 クルートは困った様子で首を傾げる。


「えっ、鳥ですよ?」


 まぁ、世界が違えば死生観が違って当然だろう。その是非を問うてもしょうがないし、意味はない。


 良くも悪くも、ここは俺たちの世界ではないのだ。


 不機嫌な天戸を宥めてクルートに釘を刺す。


「あんた達の死生観に良い悪い言うつもりは無いけどさ、言ったとおり俺らの前では禁止ね」


 クルートはニッコリと頷いた。


◇◇◇


「そなたらの目的は何じゃ?」


 お爺さんは偉そうな椅子に座って偉そうに俺たちに言う。


「さっき言ったわ」


 不機嫌な天戸はポケットに手を入れたまま一言だけ言い放った。


 明らかにまだ怒っている。


 正直俺も怖い。


 あれ?感情のコントロールは?


 護衛からの耳打ちを受けて、また質問をするお爺さん。


「……ゴホン、まさか誠の天の使いと言うことは無かろうが。何故雨を止ませようとする?」

 

 天戸は大きくため息を吐き、露骨に呆れた顔をする。


「あなた達はどっち?雨を降らせたいの?止ませたいの?私達と利害が一致するなら手伝ってあげるし、逆なら全力で邪魔をするわ。答えて」


 じじいさんは観念したように答えを口にする。


「止ませたいに決まっておるわ」


「あ、そう。なら私達と一緒じゃない。回りくどい事してないで最初からそう言えばいいのよ。ね、杜居くん」


 天戸は満足げに俺を見るので頷いてやる。


「メンツもあるだろうし、俺達も怪しいからそう単純にはいかないと思うけどな。でも、雨を止ませたいなら力になれるっすよ」


「元凶の心当たりはあるんでしょ?」


 じじいさんは途端に口を噤む。


「ねぇ」


 催促する天戸を笑顔で遮る。


「はは、了解。後は勝手にやるよ、大司教さん」


「ねぇ、まだ話は終わってないわ」


「ん、終わったろ。行こう行こう」


 納得していない表情の天戸を押して部屋を出る。


「ちょっと!触らないでよ、色情狂!」


 

 教会を出ると、やはり雨が降っていた。


 さっきの青空が嘘みたいに。


「説明」


 ちゃんと俺のところまで障壁を張ってくれながら、天戸は口を尖らせる。


「ちゃんと嘘つかないでくれたろ、おじいやんの出来る最大の譲歩だぞ。雨は止ませたいけど、元凶は言えないってんなら答えは一択だろ。『この教会で』一番偉い大司教様より偉い人は?はい、天戸さん」


 天戸は教会の奥へ目をやる。


 正直俺には雨煙で何も見えないが、天戸には何かが見えているのだろう。



「……王様ね」



 俺はコクリと頷く。



「大正解。それじゃ、天の使いの役目はこれにて終了。ここからは、『異界の勇者』天戸うずめの出番だぜ」


 天戸はマフラーを巻きなおすと得意げに微笑んだ。


「任せて。容易いわ」






 

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