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エンドレス・ニューゲーム~俺の幼馴染が『つよくてニューゲーム』を343回繰り返しているようだ~  作者: 竜山三郎丸


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46話 金色の鬼と異界の従者

◇◇◇

 さて、『どうにかしてやろうぜ』と言った所で実際にどうしようか?


 そもそも、仮に同行者だけが帰れたとして彼らの世界でのギルティはどうなるのだろうか?


 ①ずっと寝たまま

 ②……


 ぱっと考えた所②が思いつかない。そしてその①も考えるとおかしい。


 天戸は部屋に戻っているので、1人でベッドに寝転がり考える。



 仮に、同行者だけ帰れてギルティがずっと寝たままで起きないと仮定する。


 その100年後にギルティがやっぱり帰ろってなった時どうなるのだろう?


 ①100年後目覚める。

 ②いつも通り眠った次の朝に目覚める。


 ほら、おかしい。


 どっちにしろおかしい。


 ならば仮定は二つだな。


 ①同行者だけでは帰れない。

 ②同行者が帰ると勇者は帰れない。


 それとも同行者が帰った後でも目覚めるのだろうか?時間のズレがあるのに?


 俺は大きくため息を吐く。


 とにかく白き闇の面々と話をしてみない事には埒があかないか。……もしかしたらこっちに骨を埋めるつもりかも知れないしな。


 考えがまとまらずにモヤモヤして一度寝返りをする。


 ギルティも、オーギュも、同行者たちも、皆が納得できる解決方法は無いものか。


 どれかを捨てるなら楽に解決はできるのだが、今回に限ってはハッピーエンド以外許されない。


 ――長い異世界転移生活でほぼ初めてと言っていいくらいに、天戸が他者に興味を持った。


 俺の記憶が間違っていなければ、『素敵な話ね』と言って笑った。



 天戸が。



 くそ、何なんだよ。


 ……せめてこの世界くらいは、来てよかったって思わせてやりたいなんて思っちまった。



 1人で頭を横に振る。


 余計な考えがあると判断を誤ってしまうから気を付けないといけない。


 外はまだ夕方にもなっていない。


 治安はよさそうだったし、たまには一人で散歩でもするか。


 外に出ようと扉を開けると、ゴンと何かに当たり『あうっ』と素っ頓狂な声が聞こえる。


「あっ、悪い」


 扉の前にいたのは『金色(こんじき)の鬼』オーギュだった。


 オーギュは額を押さえると涙目で俺を見て照れ笑いをした。


「あっ……あはは!ごめんなさい、私こそ!ドアノックしようかどうしようか迷ってたので、全然大丈夫ですから!」


 異界の勇者が召喚される程の脅威とは思えないかわいらしさだ。


「ドアノックって……俺の部屋?何か用?」


 オーギュはキョロキョロと周囲を見渡した後で、俺に顔を近づけて言いづらそうに小声で囁いた。


「……少し、外に出ませんか?」


 うん、絶対にそういう展開にはならないってわかっている。


 わかっているけど、少し期待しちゃうのが男のしょうもないところだよな。おっと、男女平等がモットーの俺らしからぬ意見だった。


 念の為、天戸の部屋を指差して意思確認をしてみるが、首を横に振られた。


 俺をどうこうしようって感じでは無さそうだし、まぁ最悪そういう展開になったら胸の一揉みでもして逃げればいいか。


 それに部屋の前でのこのやり取りに天戸が気がついていないはずが無い。勝手に適度な距離で尾行してくれるに違いない。


 とりあえず、二人で城をでて市街へ向かう事にした――。



◇◇◇


「……私を殺してください」


 想像よりヘビーな相談で一瞬固まった。


 人間達の生活している区画から魔物区へと向かう途中で、オーギュはそう言った。


 趣旨はわかる。


 元々ギルティたちは金色の鬼と言う脅威を払いにこの世界に召喚されたのだ、金色の闇……オーギュが死ねばギルティたちは元の世界に戻れるってわけだ。


 でも、それじゃうちのお嬢さんが満足しないんですわ。


「オーギュさんの意思はどうなんすかね?もし付きまとわれて困るってんならあの人らだけ還しちゃうけど……」


 半ば挑発気味に言った俺の言葉に食い気味にオーギュは大きな声を出した。


「そっ、そんなはずないでしょ!」


 顔を赤くして、少し怒った様子でオーギュは立ち止まり俺を睨んだまま身振りを付けて言葉を続けた。


「私が……!どれだけギルに救われて、どれだけ感謝しているのか!勝手に産まれて、勝手に捨てられて、勝手に追われて、たくさん壊して、たくさん殺して……」


 オーギュの大きな碧い目から涙がポロポロと零れる。

 

 

 毎度の事なんだけど、俺ごときの人生経験では泣いている女性にどうする事もできない。そっと肩でも抱けばいいのだろうか?絶対に不正解だと思うけど。


 まぁ、引き出したい言葉は引き出せたから結果いいや。


「あー、ごめんな?それが聞きたかっただけなんだ、意地悪言っちゃった、はは」


 ヘラヘラと笑い手を振る俺にポカンとするオーギュ


「ふえっ」


「うちの女王様がさ、あんた達に幸せになってほしいんだと。方法があるかどうかもわからないけど、できる限り協力させてよ」


「……うずめさんが」


 また大きな瞳をウルウルさせるオーギュ。


「重ねて言うけど、方法があるかどうかは全くわからないからな?過剰な期待はするなよな」


「あっ……ありがとうございます!」


 そう言うとオーギュは勢いよく俺に抱きついてきた。


 あ、やばいなこれ。


 胸が超当たる。


 巨乳すげぇ。



 ギルさんの同行者の話とか、魔物区の事とかいろいろ聞こうと思ったけど今はいいや。


 この偉大な魔力に身を任せる事にしよう。


 

 だが、次の瞬間俺はハッと我に返る。


 視線の先――、俺達の少し後方で、三日前から道路に散らばっている生ゴミを見るような目で俺を見る天戸うずめと目が合った。


 あいつが尾行相手に見つかるようなヘマをするはずが無い。


 間違いない、これは……警告だ。


 背筋がゾクリとした。


 冷たい目で俺を見て、何かを呟いているようだが生憎俺には読唇術の嗜みは無い。


 俺は……断腸の思いで、オーギュを押しのけた。


 目をやると、天戸の姿はもう無かった。


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