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エンドレス・ニューゲーム~俺の幼馴染が『つよくてニューゲーム』を343回繰り返しているようだ~  作者: 竜山三郎丸


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44話 白き闇と金色の鬼②

◇◇◇


 門が開くと、一人の若い女性が駆け出してきてギルティに飛びついた。


「ギルティ!お帰り!」


「こらこら、オーギュ。二人が見てるぞ」


 そして俺達二人はまた驚いた。


 その若い女性はオーギュと呼ばれており、さっき城壁の上から顔を覗かせた巨人もオーギュと呼ばれていた。そして、顔が似ている。と言うか同じ気がする。角の生えた金色の長い髪。瞳は碧色。身長は大柄なギルティより少し高い。


 二人は俺達の目を憚らずべたべたしている。


「……ちょっといい?もしかして彼女が?」


 さすが、空気を読まない事で定評がある天戸うずめさん。しっかりと疑問点に切り込んでくれた。


 天戸の問いかけにはにかんでオーギュと呼ばれた女性は答えた。


 歳は人間基準で考えると20歳か少し上かそのくらいだろうか?


「あっ、すみません!ご挨拶が遅れました。私はオーギュ・シュトラ、……『金色(こんじき)の鬼』と呼ばれています」


 身長も大きいが、他のところも大きい。俺はオーギュの胸部に目をやってしまい、天戸のマフラーが俺のわき腹を小突く。


 こういうときに全方位視界があると便利なんだな。


「……俺は杜居伊織、そっちが異界の勇者天戸うずめちゃん。さっき、上から覗いてたのもあんたなの?幻術?それとも、巨大化?」


 オーギュは適切な言葉を捜すように少し首をかしげた後で恥ずかしそうに答えた。


「巨大化……そうですね。いつもはこの大きさなので、巨大化ですね」


「へぇ、すげーな。あのサイズが最大?調整できるの?他に同じ種族は?」


 つい気になった事を矢継ぎ早に質問してしまった。


「まぁまぁ、伊織君。門の外で立ち話もなんだから中に入りなよ」


 天戸もポケットに手を入れたままマフラーで俺の背中を小突く。


「気をつけたほうがいいわ。そのままスリーサイズ聞くつもりよ、彼」


 聞かないよ、さすがに。



◇◇◇


 ギルティとオーギュに伴われてガルガンドの城壁内に入る。


「ここは人間区だから、普通の街と変わらないと思うよ」


 ギルティが言うように、城壁内は他の街とさほど変わらず家や店が並び活気が溢れていた。


 強いて違いを挙げるとしたら、人を襲わなそうな草食っぽい魔物がペットや家畜として他の町より多いことだろうか。


 天戸はやはり食べ物の匂いが気になるようで、いい匂いがするたびにそっちを見ている。即座に食べたいと言わないところを見ると、一応気を使ってはいるようだ。しょうがない、買ってやろう。


「ギルティさん、ちょっと買い物したいんすけど金か何かと通貨を交換ってできます?」


「あぁ、構わないよ。お金はいいよ、欲しいものがあったら言ってくれよ。僕らはお願いをする側なんだから、最大限もてなさせてもらうよ」


 そうだよな。一応俺らは教会の人らに依頼をされて白き闇から世界を救いに来た形になっているんだから。そして、その依頼を諦めて欲しいとギルティは言っているのだから。


「そんじゃ、遠慮なく。あのいい匂いしてる焼き串みたいなのと、貝の壷焼きくーださい」


 俺の言葉にオーギュは小走りに店先に向かう。


「全然脅威じゃないじゃない」


 オーギュが離れた事を確認してか、天戸は口を開く。全く同感だ。


「だろう?だが、多くの人を襲った事は事実なんだよ」


「あー、何だっけ?山より大きく何とかかんとか、小国を1日で滅ぼした……ってやつか?その小国ってのが、ここなわけね?」


 俺の憶測にギルティは頷く。


「あぁ」


「それにしても、彼女随分街の人と馴染んでるみたいだけど?皆外から来た人なの?これだけの人数がいるのに」


 全方位視界を持つ天戸は自分の後方で貝の壷焼きを買っているオーギュを見ずにそう言った。


「いえ、逆ですね。ほとんどは元々ここに住んでいる人たちですよ。……オーギュと僕らの功罪に関しては僕ら自身が言うべきことじゃありませんので、後で街の人らに聞いてください。事実として言えるのは、僕達がたくさんの人を殺して、この都市を占領した事ですね」


 声を大にして『僕達は正しい!』と言ってこない分まともそうな人間に思えた。


 でもそんなのはたった15年しか生きていないガキの眼だけれど。実生活年齢50歳を超える天戸うずめさんならどうだろうか?


 チラッと見ると露骨に眉を寄せられた。


「お待たせ~!あはは、みんなの分買っちゃった!食べるよね?」


 大きな声を出しながらオーギュが走ってくる。


 胸が超揺れる。


 さすがに目が離せない。


 天戸のマフラーが俺を小突く。


「こら、見過ぎよ」


 だが、こんな攻撃では俺の知的好奇心は逸らせない。


「ガン見するなってば」


 天戸は口を膨らませて俺の背をマフラーで叩く。



 オーギュは息を切らせて俺たちのところに戻ってくる。


「ふふ、取りあえず色々買っちゃった。広場でいい?」


「オーギュさん、ごめんなさい。うちの変態がずっとあなたの胸を見てたわ」


「言うか、普通!?」


 天戸の言葉にオーギュは顔を赤くして胸を隠そうとしたが、手が塞がっていたので諦めて笑った。


「あっ……あはは、ごめんね。いつもはもっとゆったりした服着てるんだけど」


「あなたは悪くないわ。次やったら眼を潰すからね」

 

 そう言って天戸は俺を睨んだ。



◇◇◇


 中央広場には噴水と、石造りのテーブルと椅子が常備されていたので、そこで食べ物を広げて昼食にする。


 貝の壺焼きの香ばしい香りが食欲をそそる。


「食べ物もずいぶん違うだろうし、お口に合うかは分からないが」


「平気に決まってるわ。美味しいものはどこの世界でも美味しいもの」


 天戸はニッコリと微笑んだ。


 食事をしながら、色々な人たちがギルティとオーギュに挨拶をしては、食べ物もどんどん増えていった。


 俺達の事も隠す事無く『異界の勇者』と紹介したが、その反応はおしなべて好印象だった。



 オーギュは捨て子だったそうで、両親のことは分からないそうだ。『角が生えてるから捨てられたんでしょうね』と笑い、ギルティがまじめな顔で否定した。


 教会の孤児院で養われていたが、ある日巨人化に目覚めてからは教会を追われ、様々な勢力に狙われ続けたそうだ。


 追われれば、生きるために殺す。殺せばまた追われる。


 そして、ある日異界の勇者ギルティ達がこの世界に召喚された。


 金色の鬼を殺すために。


 そんな昔話をオーギュは笑顔で語った。


 たぶん、今が幸せだからだろうなって思う。


 横を見ると天戸優しげな笑みを浮かべて飲み物を飲んでいる。



 良い話だな、とは思った。


 ギルティはずっとこの世界でオーギュと暮らすのだろう。


 そして懸念が一つ浮かぶ。



 ……同行者はどう思っているのだろう。



 



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