表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
安価で俺は変わろうと思う  作者: aaa168(スリーエー)
月曜15時、タイムリープ。
88/166

届かぬ声

本日投稿二話目です。





「わたしなんかより、キャプテンが居なきゃチームがまとまらないからね〜」

「褒めてもなんも出ないよ桃ー」

「顔にやついてます柏木キャプテン」



午後14時。

ポテトをつまみながら、チームメイトと話す時間は楽しい。


そのはずなのに、どこか背中に嫌な感じを感じていて。

何か。

嫌な事が起きるような。




「――!! せ、先輩ヤバい」


「え」

「なんかあった? 明――」



ハンバーガーショップ。

離れた場所、ここならきっと遭遇しない。

それこそ――本当に、尾行されていない限りは。



「あ、あ、来て、ます……」



しかしながら。

……最悪の予感というものは、たいがい当たってしまうものだ。

それも、一番的中してほしくない時に。



「おっ居た居た!! お前らどこ居たんだよ!」

「課題あり過ぎてヤバい試合だったぞー」



まるで予定調和の様に現れるそのOG。



「……え、なんで」

「さっきファミレスに……」



本当に――こっそり尾行でもしているかのように。



「あ、あー……」

「すいません、その反省会中で」


「ああ? その割には空気が緩いよな?」

「ったく、ウチ達の時はそんなヌルくなかったんだけどなぁ、柏木(かしわぎ)?」


「……すいません」



キャプテンが前に出て対応してくれる。

わたし達は、それを見守るのみ。


このまま逃げるなんて訳にはいかない。

そもそもキャプテン置いてなんて考えられない。


というか。

……このままじゃ。

このまま、いつもの説教コースで。15時なんて簡単に超えてしまう。



「今日は特別だ。二年の奴らはあたしらと来な。反省会だ」

「準備しろ」


「えっ」

「あの、私達もこの後色々予定がありまして……」


「ああ!?」

「ウチより大事な事があるって?」



……な、なに? 反省会って。

ふざけないでよ。

今日だけは。今日だけは、絶対に嫌だったのに。


どうして、邪魔するの。

せっかくいっちが誘ってくれたのに。



「――ご、ごめんなさいっ。本当に今日だけは駄目で」



……だから。

絶対に、それは悪手だと分かっていたけれど。


気付けば口から出てしまった。



「あ? お前あのセンターか? デカいだけの癖になんだよ」

「どうせ大した用事じゃねーだろ」


「いや、その……」


「……おい。なんかコイツ」



お気に入りの白のブラウス。

可愛い、淡い色のピンクのカーディガン。

それに合う綺麗な黒のロングスカート。


気持ち悪い、ジロジロと眺められる。

こんな人達に見られる為に選んだ服装じゃない。



「もしかして――男?」

「ち、違います……」


「……ちっ! その反応、完全にソレだろうが!」

「来なよ、すぐ終わらせてやるから」



完全に、標的を定められた目。

チーム全員ではなく、わたしだけを見るそれ。



「いや、本当に用事が……」


「良いから来いよ」

「元センターとして教えてやるから」


「ほ、本当にすぐなんですか」


「ハハハ、ああ!」

「そうそうすぐすぐ! じゃあ借りてくぞ柏木!」



……結局のところ、わたしはもう彼女達からは逃げられない。

なら今だけはその誘いに乗って、すぐ抜け出す――これが一番確率が高い。


それなら、チームメイト達もそのまま帰れる。

わたしも……頑張って抜けて、いっちとの集合時間に間に合わせる。


……わかってる。

それが、どれだけ難しいなんてこと。



「ちょ、ちょっと桃」

「大丈夫……だから」



キャプテンの手を払って、そのOG二人に付いていく。


そして。

その時――“彼”が、わたし達の前に居た。

気付かなかった。本当に、スッと。


いっちが、目の前に。



「あ?」

「え、何あんた」


「……あ、ど、どうも……」


「い、いっち!?」



ニット帽を被ったままの彼が、そこに立ち塞がっている。

……わたしでも気付かなかった。いつからココに。



「あ? 知り合い?」

「……おい。もしかしてコイツが――」


「――ち、違います!」



ごめんなさい。

今、いっちとわたしの関係がバレたら――それこそ終わりなのだ。

ただでさえ長くなるであろう説教は激化。


それだけならまだ良い。

きっとこのOG達は、邪魔するであろう彼の事を絶対に気に入らない。

もしかしたら……いっちにすら矢先が行くかもしれない。


だから。

こんな二人に、いっちへと目を付けられる訳にはいかない。

迷惑かけたくない。



「え……あ」



彼の反応。

目線で訴える。

なんとなく、伝わった気がした。



「キモッ。なんだよお前」

「邪魔」


「っ……」


「おい、来いよセンター」

「不審者かよコイツ……どけ」



そんな言葉に、言い返したいけど返せない。

そのまま――引っ張られるように店の外へ。



「……ごめんね、いっち」



その声は、きっと彼には届かない。


いつも応援ありがとうございます。

明日も朝と夜に二話投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
よし、ナンパしよう そして用事作って帰ればOK
今こそ安価の力を借りるときじゃあないのか? 頑張れ、いっち。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ