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安価で俺は変わろうと思う  作者: aaa168(スリーエー)
人生で、一番長い二日間
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大怪獣バトルfeatカス


「……うわっ」


声が出そうになって、口を抑える。

男子トイレに入った瞬間――鏡の前で前髪を触る男が数名。


邪魔すぎる!


「……あ?」

「す、すいません」


ただでさえ洗面台がある通路は狭いのに、おかげで肩がぶつかった。

謝罪を受けた瞬間また鏡に戻る男。


……そんないじくっても大して変わらないって!

口が裂けても言えないけども。


「マジ決まんね~」

「この時間JK多いから最高よな」

「あんまやり過ぎるとスタッフに捕まるぜ」

「ここのセキュリティ、イカツ過ぎだよな~気を付けよ」


用を足した後。

当然、手が洗えない!


この前髪弄り集団のガードが固すぎる。


「……」


「おっ今イイ感じじゃね?」

「来てるわ来てるわ!」

「さっき見た金髪と茶髪のJKレベル高かったよな」


いや決まったんならどけよ!



「おいお前ら邪魔、どけ」


「……あっごめんなさい」

「おい、行くぞ……」


その後。

ひたすら待っていると、一人の客が入ってきた。

それもイカツめの。そして当然の様に前髪弄り集団を蹴散らした(言っただけ)。


そのおこぼれに俺は預かれた。手を洗えた。


「……情けねー……」


せっかくテンション高かったのに、己の弱さにテンション↓。

俺って本当にチキンですね。


「ふぅ――」


そしてようやくそこから出る。

長いトイレだった。

次は勇気を出して声を掛けよう――



「……チッ、遅ぇな」

「……」



今度は、女子トイレ前の通路で大男がスタンばってた。

何だあの人……体デカすぎだろ。


というかこんなところで何してるんだ……。


「す、すいませ――」

「ハァ――痛ッ! 何だよテメェ!」


「いや、別に、通ろうとしただけで」

「クソがっ気を付けろや――」


怖いって!

あと天丼は要らないって!


「――あの」


……多分、俺は焦っていた。

何に、なんてことは分からない。

でも。『チキン』な俺のままじゃ、きっとダメだと思ったんだろう。


実際如月さんに名前すら覚えてもらえなかったのはソレが原因だ。

話したとしても挨拶のみ。嫌われるのが嫌――違うな、ただ恥ずかしがっただけだ。


俺は、住民の後押しが無きゃ何も行動を起こせなかった。

だからこそ。

自分から――勇気を出せる様になりたかった。


「あ?」

「そこ居ると、トイレ行く人達の邪魔に――」


「んだとガキがコラ」

「……あぐっ――」


胸倉を掴まれる。近付く顔。

強い酒の臭いが、俺を襲った。



「――あーお兄さんちょっと?」

「チッ次は何――!?」



次に聞こえてきた声は、俺達二人の声じゃなかった。

それを聞いた大男がその方向に向けば、驚いた顔をする。


居たのは一人の男。

筋肉でパツパツになった、『staff』のロゴが入ったシャツを着た彼。


「こっち来いお前」

「あッ嫌、突っかかって来たのはコイツ――」


「――んな訳ねーだろ馬鹿。お前コレで注意何回目だ? 女の子から苦情入りまくってんだよこの出待ち男」

「ち、違うくて」

「テメェ大学に連絡してやろうか」

「すいませんッ、それだけは――」

「黙れ」



怖い。

女子トイレ前で、大怪獣バトルが始まっている。

どっちが優勢かは一目瞭然だけど!



「……と、東町!」


そして。

この混沌空間の中――何故か。


聞きなれた声がした。

女子トイレから現れた金髪の女の子。

紛れもなく夢咲さんだった。


「い、行こ――」

「へ? え? なんで?」


俺の腕を取る彼女。


もう頭が追い付かない!

どういう状況だよ? 夢でも見ているのか?



「ああ『そういう』……ユニコーンの君、行っていいよ。ただ次はねーからな」

「は、はい」

「なっなんで、アイツはオレの――」


「勘違いが一番ダサいぞお前」

「うう……クソッ、何なんだよ――」



察した様なスタッフさんと、絶望したかのような大男を背に。

俺達二人は、そのトイレ前の通りから脱出した。


誰か色々説明してくれ!




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