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安価で俺は変わろうと思う  作者: aaa168(スリーエー)
控えめのピースサイン
133/166

写真




「これが、かのんが一歳の時の写真ね」



と、いうわけで。

時価一億円は下らない、如月さんのアルバムを見せてもらっている。


……正直に言うと、俺はこの安価行動? にちょっと自信があった。

最初はちょっとした勘違いがあったけど。



「で、これが初めて喋った時のかのん」

「かわいいねぇ〜」

「かわいいね(逮捕)」



そう、妹は尊いものだからだ。

特に小さい頃は。

そして、それを自慢したがるのが人間なのだ。



「ま——俺の妹も負けてないけどね(ドヤ顔)」


「うわっコレいっちの妹!?」

「か、可愛いわね……」


「ははは(妹の七光)」



そう、俺の手にあるのはカス&妹(神)の小さい頃のアルバムである。


別に俺は妹の写真を集めまくるシスコンというわけではない。

親が子供好き過ぎるせいで、大量にアルバムが出来てしまったのだ。

そしてその持っていけなかったアルバムの一部が俺の部屋にある……というわけである。


実際このアルバムも初めて見た。

存在だけは知ってたんだけど。

普通に生活してたら、こういうの見ないから。



「というか、髪の色茶髪なのね妹さん」

「確かに〜」


「母さんの地毛が茶髪でね、多分遺伝したんだと思う」

「ほ〜」



生粋の陽キャ、いや生まれながらの陽キャだろう。

流石俺の妹だ……。本当に俺の妹か? (不安)。



「で」

「?」


「いっちはどこ?」

「え」


「そうね。東町君が居ないじゃない」

「どこ〜?」



……。

そう、このアルバムは多分8割ぐらい妹なのである。


別に親の愛情が無かったなんて悲しい話ではない。

母さんとか怖いぐらい俺に構ってたし……。

まあ、自分に問題があるのだ。



「こ、子供の頃、カメラ向けられるのが怖くて……」


「……え、え〜?」

「ふふっ。東町君らしいわね」


「でも! 探したらあるはず——って」

「あ、あら……」


「あ」



そして、そこには居た。

カメラを向けられて、泣きじゃくる俺(5)の姿が。


何撮ってんだよ俺の親は(激怒)。

見世物じゃねぇぞ(泣)。

こちとら生まれながらのインキャなんだわ(号泣)。



「かわいいー!!!!!」

「可愛いわね」


「や、やめて……(死)」


「もっと! もっと!!」

「ふふ」



(めく)られていくアルバム。

幼少の頃の、もう覚えていない記憶がどんどんとあらわになっていく。



「いっちの寝顔かわい〜!」

「ね、かのんに負けてないわよ」


「……ありがとう(恥ずかしい)」



幼稚園、そして小学生。1年生、2年生、3年生。

ようやくカメラが怖くなくなって、写真に写るのが慣れて来た頃。

不思議なモノで、一度怖くなくなるとなんで怖かったのか分からない。


でも……俺の写真があるのはきっとココまでだ。

それからは、もう。



「——あー。後は妹の写真しかないね」


「え〜ここで終わり〜?」

「うん。ごめんね」


「せっかく泣かなくなったのに〜」

「ワガママ言わないの、桃」


「いやぁ、実はまだまだこの頃も怖くてですね……親もようやく諦めたというか。はは……」



一人が辛くなったのは、きっとこの頃だった。

違う意味でカメラが嫌になったのも。



《——「はじめにーは、ともだちとあそばないの?」——》



沢山の人に囲まれる妹の写真が、遠い昔の声を思い出させる。

陰と陽。

はっきり別れた俺と二奈。



「いっち?」

「あー。俺のじゃなくて、如月さんと初音さんの写真も見たいな」


「え〜」

「あるわよ、桃のとっておきのが」


「ちょっ!」



視線が下に向かっていた中、視界にそれが映る。

かのんちゃんの写真を出す様に誇らしげな如月さんの表情。



「……めっっっちゃ可愛い」



そこには、ちっさい初音さんが居た。

なんと——横に居る如月さんより小さい。

今と真逆である!


髪、ロングヘアー。今のショートボブと全然違う。

ほっぺた赤いし。

目、キラキラだし。



「これ……お遊戯会?」

「そう! 小学校、3年生で演劇やったときにお姫様役だったのよー」

「(天使か?)」

「可愛いでしょう?」


「やめて〜〜!!!」



バタン、と閉じられるアルバム。

すぐさま開かれる(慈悲はない)。



「で、次が雨も降ってないのにカッパ着てる桃」

「うわっコレは……(絶句)」

「新しいの買ってもらって、嬉しすぎてはしゃいでる所撮られたみたいね」

「ヤバ(語彙力喪失)」


「だからやめて〜!!」



閉じる、開かれる。

そう言いながらも、写真の中の彼女達はずっとキラキラしていた。


小さい頃から仲良しだったんだろう、二人は何年もずっとこうして居たんだろう。



「もっと……見たいな」



呟いていた。


この写真は、決して戻らない風景。

思い()せど、馳せるだけだ。

大事なのは、昔ではなく現在だ。


それでも大切な友達の、過去を眺めるのは凄く楽しい。

この中に俺は居ないけれど——この過去があるからこそ、今俺は彼女達とココに居られる訳で。



「もうやだ〜!」

「その割に止めないのね」


「そ、そんなことない……」



騒がしい二人を見て笑う。

もし妹が居なければ——今の高校に入る事も無かった。


それは当然、彼女達と出会う事もなかったというわけで。



「次はもう一回いっちのやつ見るから!」

「さっき見たのに?」

「減るものじゃないし良いでしょう」

「えぇ……」




そのまま夜は更けていく。

手元、輝くその写真と共に。



「ね、眠くなってきた(逃)」

「あ〜逃げるな〜!」

「わぁ、もう24時じゃないの……」

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