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安価で俺は変わろうと思う  作者: aaa168(スリーエー)
一人っきりのダンスフロア
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エピローグ:一人っきりのダンスフロア



陰があれば陽がある。

この世界のことわりであり、それは我が家にも通ずるモノだ。


二奈にな』。


2つ下の妹で、生粋きっすいの陽キャである。


兄の俺とは真逆を行く彼女。

親と一緒に海外で過ごしており、あっちに行ってからは声を聞くことはほぼ無かった。

だからこうして電話が掛かってくるのが予想外で――



「――ああっ(携帯落下)」

「電話、壊れちゃうよ……」


「ごめんなさい(早口)、また家族からだ」

「出ていいのに」

「良いの?」

「うん。待ってる」

「ありがとう。じゃ……」



拾った携帯。通話、開始――



一兄はじめにぃ! 毎月いくら払ってるの!?』

『!? びっくりした……』



俺とは対象的な彼女。

相変わらず元気でよく通る声だ。

久しぶりに話したな。


……って。

え、どういう意味?

俺が入ってる動画サービスのサブスクリプションのこと?



『つ、月に千円ぐらい……』

『結構安いね』

『そうかな。最近はまた値段上がって……』

『まあ一兄だし値上がりするよね……で、一人だけ?』

『え、一人? そんないっぱい契約できないって』

『それもそうか』



なんか食い違いが起きている気がする。

というかサブスクを擬人化してる妹にもびっくりだよ。


楽しみを提供してくれる彼氏? みたいに見えてるのかな我が妹は。



『いや違うよ(激遅) 友達料金なんて払ってないって!』

『本当?』

『二奈……俺の事そんな目で見てたのか』

『当たり前でしょ』

『……(すいません、何も言えねぇ)』



沈黙。

いや、正しいのは二奈だ。


中学の頃を考えれば。

あの頃。

彼女にしてもらった事を考えれば――



「いっち。変わって」



え?



『え? 誰?』

『あ、いや……』



「変 わ っ て」



えっ、めちゃくちゃ怖いんだけど初音さん。

変われば……良いのか?


というか変わらなければヤバいかもしれない(語彙力低下)。



『お、お電話変わります……(コールセンター東町一)』

『えっ』



携帯を、繋いだまま手渡す。



「あの――『いっち』はわたしの大事な“親友”ですから」



そんな怒った口調で――初音さんは通話口に声を上げた。



「友達料金とか……そんなこと言わないで下さい。お願いします」


「わたしは、いっち……あっ、はじめ君とは本当にそういう変な関係じゃありません」


「だから、大丈夫ですから」



通話口。

俺の耳にそれはないから、妹の声は分からない。


でも。



「――あっ! やっぱりココにいちにー居たー!!」

「ああもう、かのん先々行かないの! あと叫ばないの」



公園、如月姉妹。

いつからかそこに居る彼女たちに、ダラダラと冷汗が流れる。

頼む。今だけはお願いだから静かに静かに静かに――



「いちにー、きょーもいっしょにおやすみするんだよね!」

「ちょっ……かのん!」


「(終了のお知らせ)」



そして。

これから起こるであろう状況が、とんでもなくヤバい事は分かってしまう。



「――はい。それじゃ、その時にまた――あ、いっち。妹さんが変わってほしいって」

「……」

「いっち?」



電話に出たくない。

でも、ここでそうしなければきっと、もっと酷い事になる(絶望)。



『お、お電話変わりました(コールセンター東町一)』

『……ねぇ、一に――』


「いちにー! かえろ!!」

「かのん! 東町君はお電話中なの!」



大丈夫だよ。もう手遅れだからね(達観)。


かのんちゃんに微笑みながら、俺は通話口に耳を傾ける。



『“いちにー”って何』

『か、かのんさん(5)っていう、友達の妹さんがそう呼んでて』

『へぇ。一緒に寝るとか聞こえたけど』

『……』

『警察のお世話にはなってないよね』

『はい(敬語) ……ギリギリで』

『は?』

『すいません、何も言ってません』


ヤバい。

本当にこれはマズい。


彼女の低い声が、その機嫌を表している。



『一兄、もうすぐ……確か来月体育祭だよね』

『は、はい』

『その時までには帰るから』

『いや、二奈達って来年までは帰ってこないって』

『か え る か ら ね』

『はい……』

『切るね。詳細はまた後日』

『分かりました……』



――プツン。

切れるそれに、一息も付けない。


嵐は一時は去ったが、また来日するのが確定していて。



「桃、貴方何話してたの?」

「ん~? いっちの家族とお話ししてた」

「そうなのね」

「気になるなぁ~。もうすぐ帰ってくるらしいよ。わたしに会いたいんだって!」

「かのんもあいたい!」



楽しそうな声。

そんな俺を知らない三人は、仲良く話していて。



「あっそういえば、いっちの髪色って家族は知ってるの? 久しぶりに会うんだよね?」

「(滝汗)」

「え、まさか何も言ってないのかしら」

「……はい」

「うわぁそれは~」

「超ヤバ(ギャル並感)」

「あはは~」



家族が来る。

一体その時の俺はどうなっているだろうか。

考えただけで恐ろしいけれど。


空を見上げる。

月の明かりが目に当たる。




「今日も綺麗だ……」




視界の中。

それは夜でも相変わらず、虹色に輝いていた。



……。

……なんて思ってる場合じゃなくない?



と、いうわけで次章の匂わせで今章は完。


ダンスについて書くはずが、思ったよりドシリアスに突っ込んで。

ついてきてくれた方、ありがとうございました!


次回からは、家族が来るまではほんわかな日常? が少し続きます。

よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
地獄への道はほんわかに舗装されている
陽キャ(髪色だけ)に陽キャ(真)が襲いかかってくるのか?
妹さんもまた癖が強そうな…
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