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須今 安見は常に眠たげ  作者: 風祭 風利
第1章 入学~一学期
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大型ならではの

館君視点に戻ります

「うわぁ。 スッゴい並んでるよ。」


 濱井さんの言う通り、僕らの今回乗ろうとしているアトラクションには上の方までかなりの列が出来ていた。


 大型ウォータースライダーなのはもちろん、このアトラクションの売りは乗車人数が最大10人まで乗れるというところにある。 家族連れや僕らのような仲間内でいるため、乗る人よりも並ぶ人の方が多くなるのだ。


「やっぱりここの売りには一度乗っておきたいのだろう。 私たちのように大人数で乗れるものなら尚更な。」

「坂内君の言う通りです。 楽しみはみんなで共有したいですものね。」

「でも、上の人たち、暑そう、だよ?」

「待ち時間も考えものですね。」


 みんなでそんな会話をしていると上から水飛沫が降りかかってきた。 なんだ?


『長らくお待ちになっている皆様! 本日も炎天下の中お並びになられているので、熱中症対策として、細やかなサービスをさせて頂きます! ご理解のほど、よろしくお願いいたします!』


 そうスタッフの人が言うと、上からそこそこ大きなシャワーのような機械を取り出してきて、並んでいる人たちに向かって水を浴びせてくれた。 丁度火照っていたので、本当にありがたい。 多分並んでいて熱中症になってしまった人がいて、それの対策案として用いられたものだろう。 考えてらっしゃる。


「これも売りなんだろうな。 最高に気持ちがいいぜ!」


 小舞君の言う通り、心地よい水を浴びて、もう少し頑張れる気がした。



 その後30分ほどかかって(もう一回水浴びをさせられたが、今度は至近距離だったため、大量の水を浴びることになった。)ようやく乗車口に着く。 用意されていたのは通常の浮き輪の5、6倍はあるかのような大きな浮き輪ボートだった。


「では発進しますとかなり大きく揺れますので、手すりをしっかりとお持ち下さい。」


 そう注意事項を言われて僕たちは座る。 ちなみに座り方については男子と女子がそれぞれ交互になるように座った。 僕の両隣は安見さんと円藤さんになった。


「それでは、行ってらっしゃい!」


 スタッフの人が押して、僕らの乗ったボートは下り始めた。 確かにすごい揺れでなにかに捕まっていないと振りほどされそうな勢いだった。


 僕は手すりに捕まっているが、ふと右腕に感触を覚えた。 見てみると円藤さんが僕の腕にしがみついていた。 自分が飛ばされないようにだろうが、むしろこれでは危ないような・・・ その時急なカーブで右にバランスを崩しそうになるが、左側からなにかに支えられてバランスを崩すことはなかった。


 そう思いお礼を言おうと安見さんの方をみると、安見さんも僕の左腕にしがみついていた。 え? もしかして引っ張られたから助かったんじゃないの?


 そんなことを思いながらみんなを見ると、江ノ島さんは坂内君にいたずらっ子の如くくっついているし、濱井さんに至っては小舞君と佐渡君を逆に掴んでるし。 終わることに改めてカオスな空間だったなと感じた。



「で? あれから進展はあったのか?」


 それから波の出るプールに入ったり1人ずつでウォータースライダーに乗ったりと、あっという間にお昼時まで遊びに遊んで、今は休憩と言う形で更衣室に備え付けられているカフェで落ち着いていた。 そんなときに小舞君の口から放たれた言葉だった。


「進展って?」

「分かるぜ? 花火大会の間に須今となんかあっただろ? なにをしてたんだよ。 今なら女子達はいない。 吐けること吐いちゃいな。」

「そんなことを言われてもなあ・・・」


 進展と言われても、なにがどういえばいいのか分からない。 というよりも安見さんとの間になにがあったというのだろうか?


「特に何もなかったよ?」

「さらりと言えるということは本当になにも無かったのか?」

「いーや、本当に何もなかったのはおかしいね。 花火大会だぜ? 二人きりになってたんだぜ? 進展が無い方が不自然だって。 なぁ些細なことでもいいんだよ。 本当になにも無かったのか?」

「なにもないよ。 というかあっても安見さんを悲しませるだけだから話さない。」

「なんだ? お前らそんな仲になってたの? それは・・・うん。」

「小舞君の考えていることじゃないと思うぞ? 少なくともそんなことになってたら2人とも気まずい雰囲気になっているだろう?」


 小舞君の勘違いに反応してくれてありがとう佐渡君。 つまりはそういうことだ。 なにも起きてないし、なにもしていない。 それでいい。 それでいいのだ。 遠くに移るプールをボンヤリと眺めながら、そう思っていた。



「いやぁー! 楽しんだな!」

「そうだねぇ! もうあちこちが日焼けで痛いよ!」

「お二人とも、余韻に浸るのは良いことですが、電車の中ですのでもう少し静かにお願いします。」


 帰りの電車の中でもはしゃいでいる小舞君と濱井さんに対して、江ノ島さんが注意をする。 本当に江ノ島さんは母性があるよなぁ。


 因みに佐渡君と坂内君は日記をつけているようで、2人で今日の思い出を語り合っている。 円藤さんは手すりに寄り添って眠ってしまっている。 安見さんの方を見ると、珍しく起きていて、少々驚いている。


「そんなに驚くこと無いでしょう? いくら体質的とはいえ眠くならない時だってあるんですよ。」


 なんだか心を読まれたようで片眉が上がってしまった。


「最近何故だか館君の考えていることが感覚で分かるようになったのですよ。 特に表情とかが変わっているわけでもないのに。」


 読心術というやつだろうか? それはそれで怖いが。


「しかしあれですね。 夏休みもまだ残っているのにペースが早い気もしますね。 これでは楽しみがどんどんなくなっていってしまいますよ。」

「とはいってもこれといってイベントもあるわけじゃないし、僕は構わないけどね。」

「むう、面白くないですよ?館君。 もう少し高校生らしく、楽しみましょうよ。」

「大丈夫だよ。 僕は十分楽しめてるよ。」


 そんな話をして僕たちは、まだ残っている夏休みを満喫したものにするために、駅についた後、そのまま解散するのだった。

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