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須今 安見は常に眠たげ  作者: 風祭 風利
第1章 入学~一学期
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席替え

恒例と言えば恒例のイベント

 中間テストが終わったことで、僕らのクラスにはある行事が行われる。


「それじゃあこの箱の中から紙を1枚取って、その場で開いて番号を確認したら、その番号の所を黒板のところに書いて、席に戻るように。 全員が終わるまでは席替えはしないから、中身を全部抜いておくんだぞ? それじゃ、いつもは昇順だから、今回は降順で行くか。」


 そういって一番最後の名前の人から教台に進む。


 僕としては席替えは割りと気にしない方である。 というよりも席が替わったところで、目が悪かったりしないので、前だろうと後ろだろうと関係がないのだ。


「とりあえずはお別れになるのですかね?」


 隣でそう聞いてくるのは安見さんである。 席替えになるのだから、当然隣同士になることの方が少ない。 元々はそんなものだと考えていたのだが、改めて安見さんが隣で無くなること、そして安見さんの隣になった人は少々驚くかもしれないな。



「次。 館 光輝」


 名前を呼ばれて教台に行く。 黒板の方を見ると、結構バラバラになっていて、どこが当たってもおかしくない空席状況だった。 


 箱の中身をがさごそとして、引いた紙を開いてみると「4」という数字が書かれていた。 場所は・・・廊下側の窓際ど真ん中。 うん。 悪くない場所だ。


 そうして自分の席に戻る。 後はみんなが選び終わるのを待つだけだ。


「いい場所を取れたみたいですね。」

「うん。 外の空気を吸うには丁度いいかも。」

「廊下側なのでそれは出来ないのでは?」


 気分的な問題だよ。 そう口には出さなかったけれど、それでも似たようなものだしいいかなっと思った。


「須今。 引きに来てくれ。」

「私の順番のようですね。」

「いい場所引けるといいね。」

「そうですね。」


 そういって教台に向かう安見さん。 そして、時間が流れ・・・



「よし、席が全員決まったな。 それでは席を移動してくれ。」


 席替えが始まった。 と言っても机や椅子は移動せずにそのまま人が移動するだけなので手荷物を持ってその席に座る。 自分にとってはかなりいい場所に席が移動できたと思う。


「隣、よろしくね。」


 隣になった女子と挨拶をかわす。 もちろん一時的なものなのだが、クラスメイトなので無下にはしない。


「じゃあしばらくはこの席で授業を受けてもらう。 次の授業から頼むぞ。」


 担任の先生がそう言うと同時にチャイムがなる。 他のみんなは新しく隣同士になったもの同士で話し合っている。


「館君・・・だったよね?」

「うん。 館 光輝だよ。」

「良かった。 わたし名前を覚えるの苦手で・・・ あ、わたしは・・・」

「野々川さん。 だったよね? 前にブレザーを直してほしいって言ってきた。」

「あ、覚えててくれたんだ。」


 僕の席の隣に座ったのは、前回ブレザーを直しに僕のところに来た野々川 千枝さんだった。 前髪カットをしていて、大人しめだが、時に明るくなる女子らしい女子だ。 円藤さんと友人なのも頷ける性格の持ち主である。


「これでブレザーの解れを直し放題だね。」

「あんまり頼りすぎるのも駄目だと思うよ?」

「あはは、そうだね。 あれから解れとかもないから、やっぱりしっかりとしてるよね。」


 そういうものなのだろうか? 僕としては当然の事をしたまでだと思っているのであまりそう言った感覚にはならない。


「あ、そうだ。 あれから円藤さんの方はどう? 変な人に絡まれたりしてない?」

「加奈実ちゃん? そうね。 1人には極力しないようにしているくらいかな? 相談を受けたときはビックリしたよ。 そんなことってあるんだって思って。」


 それならいいのかな。 彼女のスカートを切られたのは何処だったのか、誰がやったのかまでは分からないけれど、少しでも和らげるためには、こうした人物が絶対に必要だ。


「でも、加奈実ちゃんの事を心配してていいの?」

「え? それってどういうこと?」

「ほら、須今さんのことがあるし。」


 そういって野々川さんは前の方を指差す。 安見さんの席は真ん中の3列目の席、元々の席の三つ前に動いたのが今の安見さんの席になる。 もちろん僕らの席は見える位置だ。


「別に僕らはそんな関係じゃないし・・・」

「加奈実ちゃんともそういう関係じゃないでしょ?」


 確かに彼女達のどちらともそういった関係にはない。 だが2人の事を放っておけるかと言われると、それはないと言い切れない。 割りきる事が出来ないのだ。 優柔不断と言われてもしょうがない事だ。


「ねぇ館君。」

「な、なにかな? 野々川さん。」

「わたしが言うのもなんだけれど・・・ もしもどっちかと付き合うことになっても、わたしはどっちも大切にして欲しい。 恋人としても、友達としても。」


 改めて突きつけられる現実。 他人に言われて初めて見える事もある。


「野々川さん。 僕はまだそう言ったことはわからないことだらけなんだ。 だけれども、今は2人とも友達として見ているんだ。 でもその時が来たときは、野々川さんもいてくれるのかな?」

「ふふっ、それは分からないけれど、もしも悩むことがあったら、わたしで良かったら聞くよ?」


 僕の新たな相談役は、恋する乙女の見方をする人だった。 父さんの言う通り、女子の友達はやっぱり必要だと、あのときの事を思い出して、次の授業のチャイムを聞きながら僕は、彼女達の事を改めて考え直すのだった。

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