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須今 安見は常に眠たげ  作者: 風祭 風利
第1章 入学~一学期
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勉強会

 テスト期間も3日程過ぎた頃、僕は放課後の教室に残っていた。 もちろんテスト勉強をするためなのだが、今回はみんなでやろうということで、集まっているのだ。 ちなみにメンバーはよくいるメンバーなので、最早馴染みの顔でもある。


「うへぇ・・・やる気起きねぇわ。 なんで勉強するんだよぉ。 嫌いじゃないけど別にそうまでして競いあうことないんじゃねぇの?」

「そんなことを口に出しても意味はないよ小舞君。 さ、次の問題だ。」


 やる気の出せない小舞君にそこそこスパルタな坂内君の勉強指導が入る。 単位は落としたくないだろうし。 頑張れ。


「ねぇ加奈美? ここの問題を教えてほしいんだけど。」

「いいよ梨麻ちゃん。 ここはね・・・」

「加奈美さんそこまでです。 梨麻さんが全くといっていいほど解いていません。 それでは勉強会になりません。 梨麻さん。 少しは自分でお考えになられてはいかがでしょうか?」

「うっ・・・智美の顔が怖い・・・ 智美、ほら、スマイルスマイル。」

「じゃあ頑張って勉強してくださいね?」

「その笑顔は怖いよぉ!」


 なんだかあっちはあっちで盛り上がっているようだ。 大丈夫かな?

 みんな三者三様で勉強に育んでいる。 僕と隣にいる安見さんも例外ではない。 僕が今勉強しているのは数学。 元々そんなに苦手分野ではないが、他の科目と比べるとどうしても数学は点数が伸びないのだ。


 僕の場合はこれといって点数が悪かったわけではない。 ただ中学とはまた別のレベルになっているので、油断はできないし、なによりも少しでも上位に入りたいのだ。


「館君、調子はいかがですか?」

「うーん。 この計算式がちょっとねぇ。 なかなか答えにならないんだよね。 どうしても別の計算式がうまれちゃって。」

「館君、そこはその計算式ではないですよ。 ここはこうして・・・こうすれば答えが同じになりますよ。」

「あ、本当だ。 そっか、計算が合わなかったのか。」


 安見さんが教えてくれたおかげで1つの問題を解くことが出来た。 この要領を忘れないためにも次の問題に取り組む。 その前に安見さんの方をちらりと見ると、先程の僕ほどではないが唸っている安見さんが見えた。


「むむぅ・・・」

「安見さん、どうしたの?」

「いえ、ここの文なのですが、多分この書き手の心境を書いているのですが、どこかで書かれていないか探しているのですが・・・・・・」


 安見さんがやっていたのは現国の問題だった。 数学の場合は教科書の中に問題文があり、それを解いて答え合わせをすればいいのだが、現国の場合は先生が考えてプリントしたものを解くので、先生によっては問題文の内容が違う。 僕らの場合は同じクラスなのでそこに関してはあまり気にならないけど。


「あー、その文なら、ここの文だと思うよ? ほら、心境のことを語っているのはここだけだし。」

「本当ですね。 ではここの文が答えと見て間違いなさそうですね。」

「現国や古文は文の中に隠れている場合が多いと思うから、よく読み返すのもいいかもよ。」

「文を読むのはどうしても眠くなってしまって苦手なんですよね。」


 テスト期間が始まった朝に僕も同じようなことを言ってた気がする。 そんなことにクスリと笑っていると、なんだか視線を感じて、みんなの方を見ると、みんながみんな僕らの方を見ていた。 君達勉強は?


「やっぱり無意識だって。 館は須今といるときが一番イキイキしているように見えるぜ。」

「完全に私たちの存在を感じないかのようなやりとり。 流石と言えるだろう。」

「あんなのに入る余地無いって。 絶対邪魔になっちゃうもん。」

「目を離した隙にああやられてしまうと、こう、()()ものがありますね。 私たちは余計なんじゃないでしょうか?」

「安見ちゃん・・・羨ましいなぁ・・・」


 なんか僕らのやりとりを呆れているかのように見ていたようで、感想もそれにあったかのような言葉が並べられていた。


「・・・っあーっ。 そうだよね。 これはみんなでやる勉強会なんだ。 僕らだけでやっててもしょうがないよね。 うん、しょうがない。」

「濱井さん。 なにか分からないところがあれば、教えますよ。 テスト期間も迫ってきていますし。」

「あぁ、無理すんな無理すんな。 別にお前達の間に割って入ろうなんて思ってないから。」

「小舞君。 それはそれで失礼に値するぞ。」


 もう自分でも訳が分からなくなってしまっているが、とにかく勉強会と言うからにはみんなでやるのが勉強会。 教え教えられの関係を作るのが勉強会なのだ。 変に掻い潜られても困る。


「さてと、私たちも本格的にやらなければ、置いてかれてしまうからな。」

「別に今頑張らんでもええじゃんかぁ。 なんで勉強をそこまでしてやるんだよぉ。」

「小舞君。 学生の性分は本来は勉学だよ。 ここで怠けるのは良くないでしょ。」


 小舞君も僕と坂内君の2人に論弁を語られて、渋々勉強をする。 女子グループの方も勉強を始めたようで、夕暮れの教室にはシャーペンがノートを綴る音で響いた。


 みんなが真剣に黙々と勉強をしているときに、沈黙を破ったのは


「結局のところ、館は須今のことをどう思ってるんだよ。」


 もちろんと言っても過言ではない、小舞君であった。 女子には聞こえないように小声ではあったが。


「どうってなにがさ。」

「そんなの決まってるでしょ。 好きなのかどうかにって事さ。」

「それは女子として、って事だよね?」

「それ以外になにがあるってんだよ。 で? どうなんだ? あれだけ一緒にいるんだ。 なんか心境の変化はあったのか?」

「別に、これといって変化はないさ。 安見さんとは隣の席の同級生。 それだけだよ。」

「ほんとかぁ? ほんとにそれだけかぁ?」

「小舞君。 これ以上は駄目だよ。 さ、勉強の再開だ。」

「ちぇっ、しょうがないなぁ。」


 ありがとう坂内君。 僕自身にも分からないが、心境の変化は確かにある。 だけど、自分自身でそれが分からない限りは相談とかはしないつもりだ。 今は勉強に集中することが大切。 そう思いながらノートを書き始めるのだった

学生ゆえ、避けては通れぬ壁です。

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