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須今 安見は常に眠たげ  作者: 風祭 風利
第1章 入学~一学期
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安見さんの必殺技

 学校ということで、テストというものは必ず存在する。 入学当初にやったものとは違い、今回はこの期間で学んだ全ての教科の理解度を知るものだし、学年別で点数も貼られるので、下手に勉強を怠れない。 そんな期間が、僕らの学校にも来たというわけだ。


 その期間が始まったと昨日の帰りのHRでみんなの拒否反応は凄かった。 僕自身もあんまり得意な方ではないが、そこまで露骨じゃない。 なによりも見返す為のノートはほとんどの授業で取っているから、よっぽど不思議な問題でなければ、対処は出来る。 そんな心境だ。


 僕は朝早くに登校して、今まで書いていたノートをパラパラと読み流す。 授業内容を思い出すにはこれくらいが丁度いいのだ。


「朝から勉強熱心なのですね。」

「これで勉強してると思ってるの?」

「復習しようという心意気は感じられますよ。」


 そうかなぁ? 登校してすぐの安見さんには申し訳ないけれど、あんまり自分にはそんなつもりなかったんだけど。


「安見さんも勉強?」

「そんなところです。 私も赤点は避けないといけないので。」

「安見さんそんなに成績悪かったっけ?」

「油断大敵というやつですよ。 いつ自分が誰かに抜かれるか分からないので。」


 安見さんは誰と競っているのだろうか? 分からないけれどそれだけ意識が高いなら大丈夫そうかな?


 朝のHRが始まるまでの数十分、僕も安見さんも教科書を見ながら、ノートと照らし合わせて、重要そうな部分には分かりやすいように印をつけたり、急いでて乱雑に書かれた文を丁寧に書き直したりと、色々とノートの取り方に工夫を凝らしている。


 だけれど、僕自身も早く起きすぎたからか、まぶたが落ちそうになってくる。 この度に、首がこっくりと動き、目が覚める。 とはいえこの状況はまずいかな。 まだ勉強中なのに眠たくなってくるなんて・・・ 学校も始まってもないのに。 頑張りすぎてるかな?


 そう思いながら安見さんの方を見ると、安見さんも同じように首がこっくりこっくりと動いてる。 安見さんも眠たそうだ。


「安見さん、安見さん。」

「・・・はっ。 す、すみません。 寝ちゃってましたか?」

「いや、まだ寝てはいなかったけれど、限界は来てそうかな?」


 常に眠たそうにしている安見さんだが、こういった場合は流石に起きていないといけないだろう。


「夜には勉強していないの?」

「朝に影響しない程度に夜は勉強しているのですが、やっぱり慣れないことはしないことですね。」

「それは確かにね。 少し違うことするだけで、色々とずれてきちゃうからね。」

「館君もそんな感じなのですか?」

「まあね。 自分の趣味に打ち込めないのは、ちょっと堪えるかな?」

「息抜きとからでもいいので、少しは勉強から離れるためにやるのは悪くないことだと思いますよ? やり過ぎるのは良くないですがね。」


 それは分かっている。 だけれど、やっぱり出来ないというのはツラいと感じてしまう。 続けていることを止めることがどれだけツラいのか、良くわかるのだ。


「私も寝てばっかりもいられないので。」

「睡眠学習とか出来ればいいのにね。」

「そういった安直な考えはあまり良くないですよ。 思考能力を低下させてしまいます。」


 夢がないなぁ、と思ったけれど、そんなことが出来てしまったら誰も苦労などしないと思うのは、やっぱり現実を見ているからだろうか?


「・・・・・・ふぁぁ・・・・・・」

「・・・やっぱり朝からやると、凄く眠たくなってくるよね。 本を見たら眠たくなるってこう言うことなんだろうね。 脳が見るのを拒絶しているかのようだよ。」

「しかしこのままというわけにもいかないじゃないですか。」


 それはそうなのだが、やはり眠たくなってしまうのは人間の性な部分でもあるわけで。


 そんな下らないことで脳を回転させていると、安見さんは鞄からなにかを取り出した。 小さなボトルのようなものを取り出した。 そこに書かれていたのは・・・


「・・・ラムネ?」


 そう、よく駄菓子コーナーに置かれているラムネの容器だったのだ。


「眠くなるのは急激な血糖値の変化だということをテレビでやっているのを見まして、ならばこう言ったもので、糖分を取れば良いのではないかと考えたのです。」


 確かにそう聞いたことがあるが、それって食後の眠気を和らげるものであって、今食べてもあまり意味がないのでは? そう思っていながら見ていたら、安見さんは2粒ほどラムネを取り出すと、自分の口に放り込んで、味わうようにラムネを舐めていた。


「懐かしい味ですよ。 館君もどうですか?」


 安見さんは僕に向かってラムネの入った容器の口を差し出す。 くれるというのならありがたくもらおう。 口に放り込んでその甘さに、子供の頃はなんだかんだ食べていたなぁと余韻に更けていた。


「さてと、糖分補給も済みましたし、他の人が来る前にある程度終わらせましょう。」


 そういって安見さんはまた黙々とノートを取り始めた。 特に終わらせるようなことでもないし、テスト勉強に区切りはない。 だが、根気を詰め込みすぎても、頭に入っていなければ意味がない。 そう思い僕も今見ている部分を終わらせるために、ノートを書き始めるのだった。


 ちなみに今日の授業風景で、安見さんはどの授業でも寝ていなかったのを見て、ラムネの効果は本当だったのだと思ったのだが、定期的にラムネを食べていたので、根本的な解決にはなっていないようだ。 というかそれだけ食べていたらラムネがないと起きていられない体になっちゃう気がして、少し心配ではある。 そんなことをするのはテスト期間中だけだと思いたい。

ラムネで眠気を覚ますって考えは安直でしたかね?

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