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須今 安見は常に眠たげ  作者: 風祭 風利
第1章 入学~一学期
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不慮の事故

 授業も滞りなく進み、今週最後の体育も球技大会の練習となった。


 とは言ったものの、みんな週末が迫っているなかでやるドッジボールは前の授業以上にやる気がなかった。 これでは来週の本番なぞに挑めるわけがない。


「私達のドッジボールチームは絶望的だな。」

「そうだね。 申し訳ないけれど、バレーチームに賭けるしかないね。」

「こんなにやる気のないの久しぶりに見たな。 小中はここまで酷くなかったんだけどな。 なんかやる気のない奴等の集合体みたいじゃね?」


 小舞君の言う通り、バレーチームとドッジボールチームの温度差が凄まじいことになっていた。 温度差のせいで蜃気楼が出来そう、なんて。


「どうする? 俺達?」

「適当な場所に入ればいいんじゃない? ここまで来るとむしろやる気出してる方が馬鹿みたいになりそうだし。」

「クラスの団結云々の問題のようだね。」


 そういった具合で、僕らはそれぞれのやっているグループで適当に入る。 僕が言ったのは女子の方が多いグループだった。 全員が全員ではなかったが、やれなかった理由としては、男女の比率を平等にしたかったのだそうだ。

 このグループには円藤さんが入っていて、同じチームとしてドッジボールを行うことになった。


「それじゃあ試合始めるぞ。」


 合図が出されると、ボールを持っていた男子が勢いよくチームメイトに投げる。 相手は女子だが、戦いなれているのか、当たってもそのボールをわざわざ上にあげて勢いを無くして、別のチームメイトに取ってもらうことでヒットを免れる。 ああいうのが1人でもいるのは嬉しい限りだ。 彼女はこの絶望を解き放ってくれることだろう。


 そして試合が流れ、お互いのコート内には2~3人程にまでなっていた。 外野からのヒットも判定に入るが、ルールの都合上戻れないことになっている。 因みにこちら側で残っているのは、僕、円藤さん、先程の女子の3人だ。 不利ではないが、身動きが取りづらい。 そして向こう側のボールが投げられた。


「きゃっ!」


 投げられたボールは円藤さんに当たったが、円藤さんの体の斜め前を飛んだので、距離的にも位置的にも取れると思い、飛んでボールをキャッチする。


「よし! ん? おっととっと・・・」


 しかしがっしりとボールは掴んだがそのせいで足元が疎かになり、バランスを崩してしまい、


「うわ!」

「ひゃっ!」


 そのまま円藤さんを下敷きにする形で倒れてしまう。 ボールは持ったままなので彼女はルール上セーフになる。


 押し倒した事に気がついた僕は直ぐに起き上がる。


「ご、ごめん! わざとじゃないんだ! けど、これで円藤さんはアウトにならなかったし・・・」

「い、いえ、だ、大丈夫です・・・」

「試合を止めて。 怪我していたら大変だ。 彼女を休ませる。」

「あ、ありがとう。」

「あれぐらいの事故で済んで良かったじゃないか。 下手したら2人とも大怪我だったんだから。 円藤さん。 立てる?」


 そう言って円藤さんとその女子は体育館倉庫近くで座る。 たいした怪我では無かったようで、ホッとした。 そんなときに肩を叩かれる。 誰かと思ったら坂内君だった。


「館君。 彼が君に入って欲しいそうだ。 敵チームとして。」


 坂内君が親指で指差す先、そこには眉間をピクピクさせている矢藤君がいた。


「僕も参加するけれど、ご立腹みたいだから、気を付けなよ?」


 矢藤君は確かに怒っているように見えるが一体僕が何をしたというのだろうか?

 そうして入ったところで、敵チームとして坂内君と同じように安見さんがいた。 安見さんがこちらに手を振っていたので、こちらも振り返す。


 そして試合が始まり、最初にボールを持っていた矢藤君からの強烈なボールを僕は当たらないように避ける。 後ろの外野も取れずに一度ボールの勢いを無くしてからボールを取りに行く。


「あんなの当たったらただじゃすまないよね・・・・・・」


 そして外野からのボールがこちらに飛んできたけど、僕のチームの1人がボールをキャッチすると、今度は敵陣に投げる。 そんなことを遠くから見ていたけれど、チラリと敵陣を見ると、怒髪天を衝いたような表情をしている矢藤君と目があった。 正直なにをしたのか分からないが、怒っている彼に声をかける勇気は僕にはない。


「館。 そっちに行ったぜ。」


 チームメイトから声がしたのを合図にボールがやって来た。 どうしようかなと思いつつボールをそこそこの力で投げたら、


「あ。」


 多分体が向いていたのだろう。 矢藤君に向かっておもいっきりボールが飛んでいった。


 そしてボールを取った矢藤君は、逃げる体勢になれなかった僕に狙いを定めて、先程と同じ様にボールが投げられた。


 僕はまともに体勢を立て直せなかったので、少しでも当たりどころが悪くないように動いたのだが、それが間違いだった。 まともな体勢じゃ無かったのと、ボールの角度の問題で、顔面に当たる位置にボールが迫っていた。


 そしておもいっきりボールとぶつかり、あまりの勢いに後ろに仰け反った。 朦朧とする意識のなかで思ったのは。


 ボール自体は柔らかいけれど、速度が乗ればここまで破壊力があるんだな、という心底どうでもいいことだった。

あまり痛々しい表現が出来なかったのですが、状況だけでも分かってもらえたらと思っています。

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