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帰路


アパートの階段の下に設置されている郵便受けを開け中を見る。


『今年は1枚も無しか』


年賀状をやり取りしていた友人たちは皆んな旅立ってしまったし、ガス屋や証券会社からの年賀状も経費削減とかで来なくなったしなぁ。


部屋に戻って餅でも食うか。


婆さんが死んでからはおせち料理なんて用意せず、餅とお惣菜だけの侘びしい食卓になった。


全く正月だというのに目出度い事なんて1つも無いな。


部屋のドアを開け、え? ……な、無い。


家財道具が全て無くなっていて、カラッポの寒々とした部屋になっている。


ど、どういう事だ?


暫し思案していたら思い出した。


去年の正月、餅を喉に詰まらせて窒息死した事を。


窒息死してから1カ月程経った頃、家賃を催促に来た大家に発見されたんだった。


帰ろう。


私は黄泉路に向けて帰路についた。





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