その言葉は聞き飽きた
俺には同じ趣味を持つ友人が2人いた。
その趣味は大きい声では言えないが、嫌がる女を手籠めにする事。
2人いたと言うのは、1人は雪女を手籠めにするんだと雪山に出かけて行き、出会った雪男に手籠めにされる。
その男は今年こそはと翌年また冬山に行き、雪男の女性版の雪女に出会い逆手籠めにされた。
それでも彼はめげずに3年目の一昨年また冬山に出かけ、1年目に出会った雪男にまた手籠めにされる。
その結果、彼はそっちの方面に目覚めてしまい今、繁華街のゲイバーに勤めていた。
2人目はそっちの方面に目覚めてしまった男の敵を討とうと去年冬山に出かけ、夏に股間の物をもぎ取られた死体で発見される。
だから俺は此奴の敵を討とうと冬山に来た。
そしたら幸先が良いことに、雪山に入山して1時間程で雪女らしい白装束の女を見つけ飛びかかる。
そして俺は悲鳴を上げた。
「ギャアァァァー! バ、バ、バケモノー!」
綺麗な女性を想定して飛びかかったのに、飛びかかった女はとんでも無いバケモノ。
「雪女は綺麗な女じゃないのかー!」
と混乱して叫んでいたら、その化け物じゃなくて雪女に息を吹きかけられ、手足を氷で拘束される。
「見たな?
マッタク、化粧前の女の素顔を見るんじゃないよ」
「ヒィィィ! 見てません、見てません、助けて、誰にも言いませんから」
「駄目、だいたい、その誰にも言いませんって言葉は聞き飽きた。
此の山に誕生して数百年、数十人の男が誰にも言いませんからって言って命乞いをしたが、ただ1人として守った男はいないからね」
俺は命乞いの願いも虚しく体温を奪われ氷漬けにされた。




