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小僧共 ⑤


掘り炬燵の中で私たちの蹴りを巻き添えでくらい顔面がボコボコに腫れ上がらせ血塗れのおかっぱ頭の童が、赤や青の小鬼や獣の耳や尻尾を生やした子供たちに担がれて部屋を出ていく。


部屋のドアがパタンと閉められた音で私たちは我に返る。


そして2人で同じ事を口にした。


「「モフモフしたいね」」


双子の所為か好みが同じで、考えている事を口にせずとも分かりあえる。


考えた事を実行に移すべく、私たちは部屋から出て行った子供たちの後を追った。


私たちが覗いてるのを知らずに旅館の裏手にある従業員宿舎の前で、おかっぱ頭の童を担いでいる小鬼たちを除き子供たちは思い思いの方向へ散って行く。


散って行く子供たちの中の狐の耳と尻尾の少年の後を付け、人気の無いところで後ろから手刀を見舞って気絶させて手足を縛り、猿轡を噛ませて車の後部座席に放り込んだ。


少年が気絶から醒め騒がれる前に此処からは敏速に行動しなくては。


部屋に戻り荷物を纏めフロントで清算する。


「こんな時間に御出立ですか?」


旅館の人に不審な顔をされたが、「身内に不幸がありまして」と返事を返す。


車に荷物を積み込み出発しようとしたら、車の前に顔面を腫れ上がらせたおかっぱ頭の童と赤や青の小鬼に多数のモフモフ君たちが立ち塞がった。


「仲間を返せ!」


おかっぱ頭の童が叫ぶ。


「嫌よ! でもー……そうだわ、可哀想だからこうしましょう。


旅館を出発して村から出る前にあなたたちが車に追いついたら、狐君を返してあげる。


それに心配しなくても私たちがこの子を可愛がるのに飽きたら、ちゃんと村に返してあげるわよ」


そう言い放ち車を強引に出す。


その振動で狐君が目を覚ました。


「ウウゥゥゥ!」


そして猿轡越しに何かを叫ぶ。


狐君の隣に座って耳や尻尾をモフモフしていた妹が猿轡を外し問う。


「なんて言ったの? もう一度言ってごらん」


「助けて!」


「嫌!」


「こんなの誘拐じゃないか? 僕の人権を無視するなんて許されない事だぞ!」


「人権? あなた妖怪でしょ? 妖怪に人権なんてある訳無いじゃない。


あるとしたら妖権ね」


妹に続いて私も狐君に声をかける。


「心配しなくても飽きたら帰らせてあげるわ、もっとも、何時になるか分からないけどね」


バックミラーを覗くとおかっぱ頭の童を先頭に小鬼やモフモフ君たちが、必死の形相で追って来るのが見えた。


私は彼らをオチョクルため車のスピードを落とし、彼らが追い付く寸前にまたスピードを上げる。


頭上一面に星が輝く冬の夜、田んぼの真ん中の一本道を車と小僧共の追いかけっこが何時までも続くのであった。







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