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家のペット


僕は暗がりから人間観察をしていた。


『ウーン、今日はあのお兄さんにしようかな? おサイフが膨らんでて僕くらいの男の子が目の前を横切ると、値踏みするように凝視してるからね。ウン、あの人にしよう』


暗がりから出てお兄さんに声を掛ける。


「お兄さん、僕と遊んでくれない?」


「え?」


「大2枚で、自分で言うのもなんだけど、こんな10代前半の美少年と遊べる機会なんてそうそうないよ。嫌なら嫌って言ってくれない、他の人に声を掛けるから、どうする?」


お兄さんは生唾をゴクリと飲んでから返事を返して来た。


「だ、だ、大2枚で良いの?」


「最低が大2枚ね、それ以上貰えるなら色々サービスしちゃうけど」


「あ、遊ぼう」


「ウン、じゃ行こう」


お兄さんは僕が差し出した手を握る。


『僕みたいな男の子と遊ぶのは初めてなのかな? 掌が汗ばんでるよ』


お兄さんの手を引っ張り歩く。


クンと手に抵抗が伝わる。


「ん? どうしたの?」


「ホ、ホテル街は反対側じゃないのか?」


「ホテル街はね、でも、ホテルだと僕みたいな子供は目立つから、僕ん()に行こうと思って」 


「君の家?」


「ウン、僕ん()だったらさ、誰かに見られても親戚って言って誤魔化せるでしょ」


「家に誰かいるんじゃ……」


「両親もお姉ちゃんも出かけてるから大丈夫、家にいるのはペットのタマだけだから」


「そうなんだ」


『ホント、初めてなんだな、生唾何回飲んでるんだよ』


繁華街から300メートル程離れた住宅街の片隅に建つ家に、お兄さんを案内した。


「ただいまー」


家にはタマしかいないけど声を掛けてから中に入る。


リビングにお兄さんを連れて行く。


「寒かったでしょ、お風呂の用意してくるから炬燵に入って待ってて」


「このままでも……」


「それは僕が嫌、5分くらい我慢してよ」


「あぁ、分かった」


お兄さんは僕に拒否されて渋々って感じで掘り炬燵に足を入れた。


お兄さんには5分って言ったけど僕は1時間程経ってからリビングに戻る。


リビングにお兄さんの姿は無く、掘り炬燵の中からボリボリクチャクチャっていう咀嚼音が聞こえていた。


掘り炬燵の天板をコンコンと叩き掘り炬燵の中に声を掛ける。


「タマ、おいしかったかい?」


中から満足気なゴロゴロ音が返って来た。


タマは寒いのが苦手なんで、冬場は掘り炬燵の中を住処にしているんだ。


僕はゴロゴロ音を聞いて掘り炬燵の中に手を入れ、お兄さんか身につけていた服やサイフなどを掘り炬燵から出す。


サイフの中には大きいのが20枚近く入ってた。


此れは皆んなが帰って来たら山分けして、服とかは後でお父さんかお母さんに捨てて来て貰おうっと。


掘り炬燵の中で僕の足に顔を擦り寄せているタマの大きな頭を、僕は両手でグリグリと撫でまわしながら皆んなが帰って来るのを待つのだった。






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