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平等な街作りに勤しむフレアとダイン

 俺とフレアは俺達の子供に、フレアの乳をあげている。


 フレアが子供に乳を与えている姿は何とも麗しい感じがして、ジッと見つめていた。


「ダインよ、何を先ほどから我が子に乳を与えているところを見ている」


「いや、フレアは本当にお母さんなんだなあって思って」


「そう言えばお主はお主の血を吸って分かった事だが、お主には親がいなかったんじゃな」


「ああ、俺は親の愛情を受けずに育ったからね」


「ふむ、それで施設に世話になったと言うことか」


「ああ、施設長は俺を本当の子供の様にかわいがってくれたよ。時には優しく時には厳しく叱ってくれた事があった。それに行きずりの親子を見てその子供と立場が変われば良いなって本気で思った」


「なるほど、でもお主の前世は吸血鬼だった。だからお主がケルベロスに殺されて、お主を我が発見して吸血鬼として蘇らせてやった」


「それは本当に感謝しているよ。以前までは俺の伴侶で俺とフレアの子供と同じ名前のリサの事を愛していた。でも本当に六十年と言うのはアッという間に過ぎてしまって、俺は人間として生まれれば良かったんじゃないかと思った時もあったよ。そうすればリサとアルとリディアと、共に天国に行くことが出来るんじゃないかと思った」


「でもお主が本当の人間だったら殺されて蘇る事はないだろう」


 そうだよな。こうしてフレアと行動を共にして、俺は人間ではなく本当に吸血鬼でこれから一万年ぐらいは生きるのだろう。


 それにこのとてつもないパワー、誰にも負ける気がしない。


 そして俺とフレアの子供のリサは、フレアの乳を飲んでお腹いっぱいになったのか?乳を吸うのを止めて眠りに入ってしまった。


 この子は俺達の跡継ぎになる後継者だ。だから大事に育てて行きたいと思っている。


 子供を寝かせて俺達も子供を挟んで眠りに入ることになった。


 何だろう。リサの体からとてつもない力を感じる。


 この子も大人になったら俺の様に強くなるのだろう。




 ★




 そして数日が経ち、俺とフレアは新しく開拓した畑に足をしのばせた。


「その調子じゃ、お主達にも平等に暮らせる事を約束しよう。畑をたくさん耕せば、パンとエールをやろう」


 そう畑を開拓している貧民だった者達は懸命に畑を耕せている。


 でも人間はずるい人間もいるのだ。


 働きもせずに密かにパンとエールを貰おうとしている輩がいた。


 フレアがそれを見つけ出すと、


「お主よ。なぜ働かぬ!?」


「いや、働いていますよ」


「働いてはおらぬじゃないか。働かざる者食うべからずと言う言葉がある。お主にはパンとエールを与える事は出来ぬぞ」


「じゃあ、働きますよ」


 そう言ってその貧民は働いているふりをして、それを見た、フレアは激怒し、その貧民を冷たい川に叩き落としたのだった。


「働いてはおらぬじゃないか。見よ、畑を懸命に耕している者よ。もし、この様に、働かずにいるとこの様な目に会わすから、皆の者懸命に働くのだぞ」


 川は浅く、でも今は冬で川の水は冷たい。


 冷たい川にフレアにたたき込まれた貧民は、川から出ようとしたところ、フレアに再び川に蹴り落とされてしまった。


「働きますフレア様、だからもうご勘弁を」


「その言葉に二言はないな」


「はい」


「じゃあ、すぐに畑を耕せるのじゃ」


「はい」


 そう言って怠け者だった貧民は働くのだった。


「良いか、皆の者、もし働かないでパンとエールだけを貰うような輩にはこの様な仕置きが待っておる。皆の者、懸命に働かなければ、パンとエールはやらぬからな」


 すると畑を耕せている者達は、


「「「「「「ハッ!」」」」」」


 と威勢良く返事をするのであった。


 本当にフレアは容赦ないな、でも働きもせずにパンとエールだけを貰う輩はさすがに俺でもムカつく。


「とにかく畑を耕せるのに精を出すのじゃぞ」


「「「「「ハッ」」」」」


 俺とフレアは畑を耕している人達を見て回った。


 とりあえず、先ほどの様な人間は今のところはいなかった。


 本当にフレアを怒らせたら、貧民達は恐れているのだろう。


 



 ★





 そして夜になり、畑仕事をしている者に、パンとエールを配るのだった。


「お主達よ。今日もご苦労じゃった。明日も同じように励むのじゃぞ」


「「「「ハッ」」」」


 と貧民達は本当にフレアと俺のことに忠誠を誓っている様に思えた。


 俺もフレアも街の人達に平等に接してあげたいと思っている。


 俺もフレアも見回りをして神殿に戻り、貧民達と同じ食事をするのだった。


 メニューはパンとエールだった。


 フレアのエールの飲みっぷりは本当においしそうに飲んでいた。


「ふむ、しみるのう。このエール、我は大好きじゃ。パンもうまいのう」


 大臣がやってきて、大臣と言っても以前の王様だが、今は大臣になって俺とフレアがこの一つになった街の王と王女になっている。


「今日も働いたな」


 とフレアは言う。


 街を見回って悪い奴らがいると、フレアは活を入れるように成敗する。


 明日も畑の開拓の見回りをしようと話していたところだった。


「明日も畑の開拓の見回りをするのですか?」


 と大臣は言ってきた。


「そうじゃ、我が目指している街は皆富豪も貧民も平等にするのが我の務めでもある」


「そう、うまく行くと思いませんがね」


「何を言っておるのじゃお主、とにかく富豪も貧民も皆平等にするのが我らの仕事ではないのか?お主は以前王をやっていたらしいが、あの貧民街をそのまま放置して置いたのか?」


「仕方がないことです」


「何が仕方がないのじゃ」


「すべての者が救われる事はないのですよ、フレア様」


「・・・」


 確かに大臣の言っていることは確かだとフレアは思ったのか。返す言葉をなくす。


 確かにそうだ。人間すべてが救われる事はない。それが世のことわりなのかもしれない。


「じゃが、一人でも多くのひとに夢も希望も持てるような街にしたいと思っておる」


「それには私は賛同しますが、すべての人間が救われる事がないことを忘れないようにして下さい」


「それは分かっておる」


 フレアと俺は知っている。そう言う救われない人間がいるからこそ、憎しみや悲しみ妬みなどの糧となり、大魔王ルシファーが蘇ったりしてしまうのだ。






 ★





 次の日も畑を耕している人達の所へと俺とフレアは出向く。


「ふむ、今日も良い天気じゃ」


「そうだね、フレア」


「畑を耕している住民よ、今日も精を出し、必死になって働くのじゃぞ」


 畑を耕している住民は言う。


「はい、フレア様にダイン様」「我々に希望をくれてありがとうございます」


 そこで働いている者でフレアは疲労困憊している人を見つけた。


「お主よ。調子が悪そうだが、大丈夫か?」


「は、はい、わしは元気です」


「お主無理をしているな、パンは食べたのか?」


「はい、昨日はパンもエールもいただきました」


 するとフレアは、その住民に回復魔法を唱えた。


 その住民は元気を取り戻した。


「凄い、何をわしにしたのですか!?フレア様」


「お主に回復魔法を唱えてやった。どうじゃ、まだ働けそうか!?」


「これはありがたき幸せ、わしは今日も精を出して働きます」


「あまり無理をするでないぞ」


「はい」


 そう言ってその疲弊仕切った体に回復魔法をかけられて、その住民は畑を耕す事に専念した。


「皆の者よ、とにかく休み休み畑を耕すのじゃぞ」


 するとフレアは昨日ずる休みをした住民の元に行った。


 その住民は昨日畑の仕事をちゃんとやっていた。


「お主よ、今日はちゃんと畑仕事をしているようじゃな」


「はい、フレア様、昨日は申し訳ありませんでした」


「よいよい、お主がちゃんと畑仕事をしているなら、我は何も言わぬ、けれど、またサボったりしたら、また仕置きをするからな」


「はい」


 そう言って昨日サボっていた青年はちゃんと畑仕事に精を出していた。


「ダインよ。こうして我らの土地を開拓して、もっと街を大きくして、一国にするのじゃ。それで世界を一つにして、争いもない世界にするのじゃ」


「そうだね。こうして俺達が目が赤い内はみんなが幸せに暮らせるようにしよう」


 そうして今日は、フレアは畑仕事をしている人達を後にして、地図を広げて、三番地区である魚市場を見ることにした。


 市場に行くと、魚を大量に捕まえてそれを商人達が買い取り、魚を売るのだ。


「おうおう、今日もお主達精が出るな」


「フレア様にダイン様だ」等など、


「フレア様もお召し上がりになりますか?」


 魚市場の住人が一人やってきて、マグロの刺身を差し出した。


「ふむ、いただくとしよう」


 ついでに俺もいただく事にした。


 食べてみると、こんな魚を食べたのは初めての事だった。


「ふむ、うまいのう。こんな魚の刺身を食べたのは初めてだ」


「これは新鮮な魚ですからおいしいのですよ」


「この新鮮な魚を畑の住民達にも味わって貰いたい物じゃな」


「それは無理ですね。この魚は今さっきまで生きていた物を、さばいたのですから」


「そうか、それは残念じゃのう」


 魚を捕った物を商人達が、店で使うために尽力を尽くして買っている。


「ふむ、魚市場の者達よ、皆精を出して働くのじゃ」


 そう言って、魚市場を後にしたのだった。


 そうしている内に夜も更けて来た。


「ダインよ。そろそろ我々も帰ろうじゃないか」


「そうだね。もう遅いからね」


 そう言って帰り際に、街の男達が喧嘩をしているところを目撃した。


 そこには警備があって止められていた。


 それを見た、フレアは、


「いったい何事じゃ!?」


 すると警備の者は、


「ハッ!フレア様にダイン様、ここは我々が何とかしますので、フレア様とダイン様はお戻り下さい」


「ふむ、事情を説明せい」


「はい、男が酔っ払って、その勢いで男が店で乱闘をしていたんです」


「この野郎、ぶっ殺してやる」


 酔った男はそのような蛮行めいた事を吐き出している。


「ぶっ殺してやるとはあまり穏やかではないな」


「フレア様にダイン様、ここは私達にお任せ下さい。こういう事は日常茶飯事名事なので」


「ふむ、分かった。あまり事を荒立てるような事はするなよ」


 とフレアは言って、俺も神殿に帰る事にした。

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