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街を一つにして、平等な街に

 フレアは王子の墓に行き、王子を完全蘇生アレイズで蘇らせた。


 フレアの魔法で本当に王子は助かってしまった。


「そちらの国の王よ、これでいいのだろう?」


「本当だ。本当に私の息子、ロミオ王子を蘇らせてくれた」


「これで両国共に、一つの街としてお主達は生きるのじゃ」


 すると王子が蘇ると、もう一方の王女が、


「ロミオ様!」


「ジュリエット様!」


 そうして二人は抱き合うのだった。


 そして二人の王様にフレアは言う。


「それよりも両国の間で争いで街の人が矢に襲われてしまった。その者達に回復の魔法を与えに行く」


 争いは終わった。


 街の人達は争いなどしたくもないと思っていたらしい。


 矢に刺さって怪我をした者や死んでしまった者もいるが俺達の力で両国の回復に勤しんだ。

 回復の魔法は俺とフレアにとって毒となるが、人々にとっては回復と化す。


 そして時間はかかってしまったが、両国は同盟を結び、そして、俺は王となり、フレアが女王になった。


 さらにそれぞれの街の王だった二人は、俺達の事を認めてくれて、感謝をされて、人々も俺達の事を慕ってくれた。


 これで村人はおろか二つの大きな街の王となった俺、そして女王になったフレア、俺達の事を崇拝している。


 人間の愚かな争いは終わった。ちなみに両国の王女と王子は式を挙げて二つの街が一つになり、俺達は安心している。


「ダインよ。これで一国に近い国を作ることに成功した。人間達をこうして正しく、いや楽しくするのが一番だと我は思っている」


 そう言って赤子のリサを抱き上げたのだった。


 ちなみに俺達は神殿に住むことになった。


 神殿は凄い所だった。ベットはふかふかだし、それに使用人が作ってくれた料理は最高にうまいと思っている。


 街と街が一つになり国境線がなくなり、二つの大きな街は一つになってしまった。


 これが俺達が望んでいた事だ。


 でもやはり俺とフレアと俺の娘のリサは、満月の夜になると、俺達は理性を無くして、人の血を吸ってしまう性分になってしまう。


 そうならないように、以前からも村人と同じように満月の夜には人々のそれぞれ一人一人の血を大きな器に献上させている。


 それで、血を吸うことで俺達に村人達がどれだけ俺達に忠誠を誓っているか分かる。


 やはり人間は不安定な生き物で、謀反を働く事を考えている者もいるが、でも俺達を忠誠を誓う者達の方が多いことに、安堵の吐息を漏らすのだった。


 街の人達は俺達が発展させた村を街に変える手段を教えてくれた。


 俺達が最初に発展させた村は街の人達によって、藁の家では無く、レンガの石造りの家の知識を教えてくれた。


 そうだ。争うことで強くなるよりも、こうして楽しく協力しあって、世界を一つにしたいと思っている。


 俺とフレアは街を歩いている。


 一人の幼子が俺達に、


「あっ、ダイン様にフレア様だ」


 そう言うとフレアは優しい目つきになり、その少女を高く抱き上げたのだった。


「そうじゃ、我はフレアじゃ。お主の様な子供は我らの街の宝じゃ、懸命に勉強と遊びを両立させるのじゃぞ」


 そう言うと、その子の母親が、


「フレア様に私の子が何か無礼な事をしたのですか?」


 と母親はオロオロとしている。


「お主はこの子の母君か?」


「そうですけれども、私の娘がフレア様に何か無礼な事を」


「そんな事はない。母君よこの子を立派な大人にするのじゃぞ」


「はい。それは言われなくても分かっています」


 そして商人達が行き交う場所で、俺は、


「商人達よ。懸命に精を出して働くのだ」


「言われなくても、分かっていますよ、ダイン様」


「そうだ。商人達よ、懸命に励め励め!」


「ははっ!」


 そう言って商人達は懸命に働くのだった。


 俺達がこの街の王と女王である限り、争いなどさせはしないと思っている。


 みんな平等に生きていける世界にしたいと思っている。


 その中で、俺達は見てしまった。


 パンを盗む少年を。


 それをフレアが止めに入り、


「少年よ。なぜパンを盗む!?」


 フレアは威圧的な視線を少年に向けていた。


「僕の弟やお母さんに食べさせてあげたいんだ」


「でも、お金を払わずにパンを盗むとは言語道断じゃ。すぐにパンを亭主に返すのじゃ」


「でも弟もお母さんも、死んでしまうよ」


 するとフレアは目を閉じて、少年を追いかけていた、パン屋の主人が追ってきた。


「この泥棒猫め、ぶっ殺してやる」


 棍棒を持って本気で子供相手にその棍棒を頭に叩き付けようとしている。


 すると、フレアは、ストッパーの魔法をかけて、


「主人よ、この子が盗んだパンを我が買い取ろう。だから今回だけはこの子を見逃してやってはいけないだろうか?」


「フレア様、そんな、パンのお金はいりません」


「何を言っておる。このパンの値段はいくらじゃ」


「小銅硬貨一枚でございます」


「それじゃあ、小金貨一枚でこの子の罪を許しては貰えないだろうか!?」


「そんな大金は受け取れません」


「まあ、良いではないか」


 そう言ってフレアは亭主に小金貨一枚を胸のポケットに入れて、ストッパーの魔法を解いたのだった。


「行って良いぞ、商人よ」


 そう言って商人は渋々去って行った。


 そこでフレアはパンを盗んだ、男の子に目を向ける。


「少年よ、お主とその弟と母君のところへ案内してくれないか?」


 フレアは何を考えているのだろう?いやそれは愚問だな。世の中を平等な街に変えたいと思っているのだろう。それは俺も同じ事。


 この街にも貧しい民がいるに違いないと思っている。


 俺とフレアは平等と言う言葉が好きだ。


 そして少年に少年の家を案内されて、家の中に入ると、少年の母親はベットの上で眠っていた。それに少年の弟がひもじそうに体躯座りをして、空腹をしのいでいる様子だった。


 そこですかさず、フレアは少年の母親の元へと行き、状態回復魔法エスナを唱えた。


 すると母親は目を覚まして元気になった。


「お母ちゃん!」


 そう言って少年は母親の元へと盗んだパンを置いて母親の元へと駆けつけた。


「ホロ、それにフレア様にダイン様ではないですか!」


「ふむ、お主の息子のホロとやらが、パンを盗んだところを目撃してな」


 すると母親は自分の息子のホロとやらに戒めのピンタを加えた。


「どうしてそんな事をするの!?それにフレア様とダイン様に無礼な事をするなんて、いったい何を考えているの!?」


 少年は泣きながら、


「だってお母ちゃんとムロに元気になって貰いたいんだもん」


「だからと言って盗みを働くなんていけない事ですよ」


「うわーん」


 とホロは泣き叫んでしまった。


 そこでフレアが、


「お主達の事情は分かった」


 そう言って、ホロとムロの母親に大金貨一枚を贈呈した。


「しばらくはそれで空腹や病に冒される事はないじゃろう。とにかくその大金貨一枚で、家族もろとも働ける様にしてやれ」


「そんなフレア様にダイン様、このお金を受け取る訳にはいきません」


「どうしてじゃ、お主達は飢えていたのだろう。空腹は体に毒じゃ。とにかくそれでお主達も働けるようにしてやるのじゃ」


「ならばありがたくいただいておきます」


「では我らは街の巡回をしている。また何かあったら我の神殿に来るのじゃ」


「ありがとうございます。フレア様にダイン様」


 そして街の外に出ると、ここは八番区で先ほどの様な家族が専らだった。


 いや、先ほどの家族の方がマシの様な感じだった。


 壁に寄りかかり、ガリガリの老人や子供なんかがいた。


 その者達は住む家もないような感じだった。


「これは考え物じゃな」


 フレアの言うとおりこれは考え物かもしれない。


 人間達はすべての者が救われる事がないことを知ったのだが、フレアは諦めてはいなかった。


 この一国に値する街を平等な街にしたいと思っている。


 でも富豪の民は貧しい人に冷たい眼差しを送っていた。


「この街には住む家もない者もいたとはな」


 俺達が以前、村を開拓したときはそのような者はいなかった。


 ここで俺がフレアに提案する。


「フレア、この人達を村につれて行くのはどうだろう?それに土地はいくらだってある」


「それは良い考えじゃな、この街の畑も立派だが、村の畑も立派だ。土地もいくらでもある。新しい畑を作るのに、この貧しい民に畑を耕させるのじゃ」


 すぐに神殿に行き、貧しき民を俺とフレアは呼び寄せる事にした。


 そして神殿に集まった者達は衣服もまともに着れていない者達ばかりだった。


 その者達にフレアは状態回復魔法エスナを唱えた。


 すると貧しき民達は立ち上がり、元気を取り戻したのは良いが、空腹を埋める事は出来なかった。残念な事に空腹を満たす魔法なんてこの世にはなかった。


「大臣よ。この者達に少しでも良い、何か食べさせてやってはくれないか?」


「この様な者達に与える食事などありません」


「なぜだ。この街には貧しい人々もいるのじゃぞ、だから、彼らにパンを分けてやってくれ」


 大臣はこの貧しい人達に侮蔑の目で見ていた。


 その態度がフレアには気にくわなかったのか、フレアは大臣に、


「さっさとしろ、そうしないとお主を牢獄に閉じ込めるぞ」


「分かりました」


 そう言ってフレアは脅してでも貧しい民達にパンを与えたのだった。


「とにかく腹いっぱい食べるのじゃ。そして働くのじゃ。これから未知の土地を開拓して畑を作ろうとしている。だから、その為にはお主達のような貧しき者も平等に暮らせる様にする事を約束しよう」


 そして一日が経過して、未知の土地に出て見ると、畑を耕すのは良い場所だと思った。


 それを俺達が最初に開拓した村の人々を呼んで、貧しき人達に畑を耕す知恵を教えるようにフレアは命令した。


「村人達よ、よろしく頼むぞ」


 フレアがそう言うと、村の人達は一致団結して、畑を耕す事に専念す事になった。


 俺達は街も村もみんな平等な世界にしたいと思っている。


 何だろう。こうして人々を平等にしてやりたいと俺とフレアは躍起になっていた。

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