フレアとダインの子供と争いが絶えない愚かな人々
俺とフレアの間に新しい吸血鬼の赤ん坊が、フレアのお腹に宿ったのだった。
それは本当に嬉しい事だ。
そう言えば俺とリサとの子供を作ったときもこれほど嬉しいことはなかった。
でも人間と吸血鬼の間で生まれた子供は普通の人間として生まれて来るので、俺達、吸血鬼の様な長くは生きられなかった。
そう言えば俺とリサで作った子供はどうしているだろう?
俺とリサの子供は人間として生まれ、そして旅立ち、街を出て行ったきり戻って来なくなってしまった。
もう俺とリサの子供は生きてはいないだろう。
でも子孫を残すことは出来るかもしれない。
リサと俺との間に生まれた子供は本当にかわいかった。
でも俺のように吸血鬼として生きられる事は出来ない。
それは仕方がないことなのかもしれない。
とにかく俺は俺とフレアとの出来た子供にどう接してあげれば良いのか迷いに迷った。
それよりも民の者にも伝えてあげたいと思っている。
フレアと俺は高台に登り、民を集めさせた。
「お主達よ。めでたいことがあった。我々、我とダインの間に我のお腹に新しい命が宿った」
「おおー、それはめでたい」「今日は宴をあげましょう」等など、みんな喜んでいる様子だった。
夜になり、俺達は民と共に宴をした。
俺とフレアは玉座に座って、フレアがエールを飲もうとしているところを俺は全力で止めた。
「ダメだよ、フレア、子供がお腹にいるというのにエールを飲むのは胎教に良くないよ」
「それもそうじゃな」
女性達は踊り、男性達は口から炎を出す芸を見せてくれた。
「さあ、皆の者我らの子供が出来たのだ。大いに祝え祝え」
フレアは嬉しそうに肉や作物なんかを食べていた。
本当におめでたいことだよな。
とにかく俺達は村を大きくして、街にして一国にして世界を一つにするという大欲を持っている。
俺達吸血鬼は一万年生きられる。
これだけ生きられれば俺達は世界を一つにして争いも憎しみもない世界を築く事が出来ると俺は確信している。
今までの歴史の中で、人間は争いを繰り返す愚かな生き物であった。
そんな人間を俺とフレアはあまりよろしくないと思っている。
そんな憎しみや悲しみの感情から大魔王ルシファーは蘇るのだ。
でも世界を一つにして争いがなくなれば、大魔王ルシファーが蘇る事はなくなるだろう。
★
そして一年と言うのはあっと言う間に過ぎ去ってしまい、俺とフレアの子供が出来上がった。俺とフレアの間に生まれた子供は女の子だった。
名前はリサと言う名前にした。
最初はフレアは激怒したが、この子はリサの生まれ変わりなんじゃないかと思って付けた名前だった。
俺とフレアとの喧嘩の間に、正真正銘の吸血鬼リサは泣き出してしまった。
「お主が妙な名前を付けるから嫌がっておるぞ」
そう言って俺が付けたリサをフレアは抱いて、いなしていた。
この子は俺の子であり、リサの魂を感じることが出来た。
俺がフレアからリサを奪い取って俺が「リサ」といなすと、リサは笑った。
その光景を見ていたフレアは落ち着いて、
「そうじゃな、以前お主の伴侶だったリサの名前を付けることにしよう」
「ありがとう。フレア」
そう言ってフレアにキスをしたのだった。
そしてフレアは俺が抱いているリサを横取りして、
「リサよ。お主は将来、この村を大きくして街に変え、そして一国にして世界を一つにまとめるのじゃ。それがお主の役目じゃ」
そんな事を他所に街同士の戦争が始まる事を俺とフレアは知ったのだった。
★
「フレア、街と街の争いを防ぐ事は出来ないよな」
その戦争のきっかけは、一つの街が二つ目の街の王子を惨殺したからだと言う。
その事に二つ目の街は戦争と化してしまったのだ。
どうして人間は愚かな戦争を続けるのか、でもこの村も本当は二つに分かれていたところを一つに変えるのは容易ではなかった。
二つの村を一つに変えるのは凄く大変な事だった。
憎しみは大魔王ルシファーのエナジーとなっている。
このままでは大魔王ルシファーは以前よりも強力な力を持ち、俺達では手に負えなくなってしまうかもしれない。
人間は同じ過ちを時代を超すことで繰り返される。
戦争をしてはいけない。話会うことで解決させる事は出来ないのか?
残念な事に俺達は街同士の戦争を止めることは出来ない。
いくら最強の力を得たからと言って、俺達が街の者達を説得するには数が多すぎる。
俺達の夢は世界を一つにすることだと思っている。
いくら力があるからと言って、街同士の戦争は規模が大きすぎる。
するとフレアは立ち上がり、
「我は街同士の戦争を止めに行く」
そう言って俺に赤子のリサを俺に渡して外に出かけて行ってしまった。
「フレア、考え直せ、俺達の力ではどうにもならないのだぞ」
「分かっておる。我は自分を犠牲にしても街同士の戦争を止めに行く」
すると外に出ると、俺達の村のみんなは槍を持ち、俺達に協力してくれるみたいだ。
「フレア様、ダイン様、お話は聞きました。どうやら隣町の争いを止めに行くそうじゃないですか?」
村人代表の人が俺達に言いかける。
「そうじゃ。街の争いを止めに行くのじゃ」
「でしたら、我々も賛同いたします」
「お主達が行っても無駄な犠牲が増えるだけだ。我は、いや、神は犠牲を嫌う。お主達一人でも死んでしまったら我は悲しい。だから街と街の争いには口出ししないでくれ」
でも俺達の村の人達はどうしてもフレアと俺に協力したいと願い出ている。
「お願いです。私達はひ弱な人間ですが、少しでもフレア様とダイン様の力になりたいのです」
「何度も同じ事を言わせるでない、とにかく神は犠牲を嫌う、その犠牲となれば憎しみに変わり、大魔王ルシファーの思うつぼとなってしまう」
「分かりました。でも何があっても死なないで下さい、我々の長であるフレア様とダイン様が亡くなられたら、我々は路頭に迷うかもしれません。だからご武運を」
「お主達は神に祈りを捧げるのじゃ、そうすれば、少しでも我の力が増す」
すると人々達は跪いてお祈りを捧げた。
何だろう。こうして人々が祈ってくれているだけで、なぜか力が増す。
「我とダインは街の争いを止めに行く。お主等は神に祈っておれ」
フレアは俺と自分に空中魔法を使って、街の様子を見ていた。
炎の矢が雨のようにふり、街の人々は争う事を止めようとはしなかった。
「まずいんじゃない。俺達の弱点である炎を飛ばしているよ」
「案ずる事はない。我に任せよ」
そう言うとフレアは雲を起こして雨を降らせた。それに互いの街同士に。
そして、炎の矢は治まった者の、矢は人に当たり、苦しがっている子供がいた。
「ダインよ。我の血を吸え」
きっとフレアの魔法をすべて使えるようにするために俺に血を吸わせたいんだと言う事が分かり、俺はフレアの血を一滴吸った。
すると魔法の力が使えるようになった。
炎の矢は消し去った物の、それに当たっているのは街の平和を望んでいる人々だった。
人々は砲台を持ってきたが雨が激しく降っているため、砲台の火を付けられなかった。
安心した直後、人間達は槍を持ち、互いにせめぎ合っている。
そして俺とフレアが街と街の間に入り、
「人々よ、無益な争いを止めるのじゃ」
一方の街の男共の槍を持った人達を俺はフレアの魔法を習得しているので、兵を動けなくしている。もう一方もフレアは槍を持った人々を動けなくしている。
「体が動かない」「どうしたと言うのだ」等など、兵士達はおのおのに言う。
兵の隊長か?その者が、「何をしている、的はもうすぐそこにいるのだぞ」
するとフレアはその隊長も動けなくしてしまった。
「な、な、何が起こっているのじゃ?」
「お主達、無益な争いは止めぬか?」
「貴様が私達を止めたのだな?」
「そうじゃ、我々はお主達を止めた、無益な争いを止めさせるために」
「こいつらは俺達の王子の首を跳ねたのだぞ」
「ならばその者を生き返らせてやる。それで争いは止めてはくれないか?」
「ふざけるな。どこに人を蘇らせる力を持つ物がいるのだ」
兵隊長は言う。
「お主では話にならぬな、お主をマインドコントロールでお主達の主ともう一方の主を呼び出すのだ」
俺もフレアのようにもう一方の隊長にマインドコントロールをして、街の主を呼び出す作戦に出た。
その間、ストッパーの魔法を両者の街の兵達に片方ずつかけているのでさすがに疲れて来たので、睡眠魔法で眠らせることにした。
そうして互いの王様がやってきた。
両者の王は互いに火花を散らすようににらみ合っている。
「貴様が私の息子を殺したんだ」
「何を言う、貴様は我の娘にちょっかいを出すからだろう」
どうやら恋愛がらみの事だと言うことは分かった。
そしてさらに息子を殺されたと言うのは俺がストッパーをかけた人々の様だった。
フレアの方の王様は、その娘がやってきて、「どうして私達は争わなくてはいけないのです。私はあのお方を心から愛しているのに。それにあの殿方をなぜ殺してしまわれたのですか?」
「お前にはもっと相応しい人がいる。こんな野蛮な街の王の息子に私の娘はやれない」
「私はあのお方を愛していました。ならば私も・・・」
そう言って王女の女性はポケットからナイフを取り出して首元に突きつけ死のうとした。
するとフレアは、王女にストッパーのまほうをかけて、首元を自らさそうとするナイフを取り上げた。
「主よ、そんなにその隣街の王子が好きじゃったんじゃな?」
「そうです。それなのに私のお父様は私の殿方を殺したのです」
「そうなのか!?」
と絶望する女王の父親の王。
「じゃから我らに任せい、そんな首元にナイフを突きつけても我らがまたお主を蘇らせるよ」
「だったら、私のロミオを助けて下さい」
「分かった助けてやろう。その代わり、互いの王に行っておけ、争いなど二度と起こすなと」




