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村の長となったダインとフレア

 俺とフレアはこの村の俺は王として、フレアは女王として君臨したのだった。


 この村を襲った山賊は倒して、さらに俺の事を知っている者もいたので、俺達はこの村で暮らす事になった。


 食事も済んで、女王であるフレアは言った。


「よし、今日はここまでじゃ、お主等は明日に備えて眠るが良い」


 とフレアは言う。


 俺とフレアは長に最高のおもてなしをしてくれて最高の屋敷に住むことになった。


 最高のおもてなしと言っても街のようなふかふかの布団じゃなくて藁で出来たハンモックで眠ることになった。


「これに眠るのか」


 不服そうにフレアが言う。


「仕方がないよ。この際贅沢は言っていられない。この村での最高のおもてなしなのだから」


「そうじゃな、我らはお主と我とでユートピアを探して行くのだからな」


「とりあえずここで十年か二十年はやっていけるかもしれないよ」


「ふむ、そうじゃな、人間は勝手な生き物だが、この村の人間達は我らを尊重している。でも飼い犬に噛まれるような事があるから用心した方が良い」


「それもそうだな」


 そう言って二つのハンモックに俺とフレアはぶら下がり眠りに入ることになった。


 本当にフレアの言うとおり人間は突然裏切る時もある。俺はそんな人間は嫌いだと思っている。


 本当はここは長老の屋敷だが俺達がこの村の王って言うか長になったのだから特別扱いをされたのだろう。


 この建物の前にはたいまつを持った人間が俺達を見守ってくれている。


 長老は言っていた。勇者ダインと。


 そう言えば昔俺とリサとアルとリディアは英雄になれた。


 でも英雄になれたのは良いのだが、それは時が経つにつれて忘れ去られてしまって街では俺は白い目で見られてしまい、挙げ句の果てに俺は街に居場所を無くしてしまった。


 それに俺の恋人だったリサもそれに仲間だったアルもリディアも六十年の時が過ぎて寿命が来て亡くなってしまった。


 彼女たちの暮らしは本当に良い想い出だった。


 もう俺達に良い想い出を作る場所はないだろうか?


 ないなら探すしかないんだ。


 吸血鬼の寿命は二千年と言われている。


 いやフレアの話よると一万年生きた吸血鬼もいたそうだ。


 だからリサと過ごした六十年はあまりにも儚い想い出の様な気がしてきた。


 フレアが眠っているハンモックを見てみると、フレアは小さな寝息を立てて眠っていた。


 本当にかわいいと思った。





 ★




 朝が来て俺達は眠りから覚めた。


 この村には朝食などと言う者を食べるものは半数しかいない。


 そこでフレアが、一人の兵士に、


「おい、お前、どうしてこの村には朝食を食べられぬ者がいるのじゃ?」


「この村には身分と言う者がありまして」


「そんなの撤回じゃ。皆平等に朝ご飯を食べられる様にするのじゃ」


「そう、言われましても、我々は山賊に襲われて、金品や食料を根こそぎとられてしまいまして」


「山賊はいなくなった。男子達よ、狩りに専念して、女どもは椎の実やクコの実を集めさせろ。我らも協力してやる」


 俺は王として、狩りに出かけて、一角ウサギやイノシシ、狐などをホーリーブレードで狩って行った。


「者ども続け、山賊はいなくなった。この村を襲う者は我らが何とかする」


 本当にこの村は山賊に襲われて来たのだろう。


 でもその山賊はいなくなった。だからこの村は俺とフレアが守れば良いのだ。俺達は王と女王として村人達に平等に食事や服などを採取する事にした。


 そうだ。これが俺とフレアが求めていたユートピアだ。


 山賊に壊された部分も、少しずつ直してきた。


 フレアは畑の知識を持っていたので、その知識を村の女性達に伝授している。


「そうだそうだ。女性よ我が畑を作る事を伝授してやる。じゃから我の言うとおりにするのじゃ」


「はい、フレア様」「私はあなたに一生ついて行きます」


 そんなフレアを見て俺はフレアにもこんな優しい一面があった事に何だか安心した。


 以前はゴブリンに襲われた人間を助けて、その侘びに全財産をかすめ取る鬼の様な吸血鬼だったからな。


 女の子の子供が転んだのか、泣いている者がいる。


 するとフレアは、回復の呪文を使い、女の子の足の怪我を治したのだった。


「フレア様、ありがとうございます」


「ふむ、気をつけて遊ぶのじゃぞ」


「はい」


 そんなフレアの優しさを見て、俺は何だかホッとしたような感じがした。


「何をニヤニヤと我の事を見ている?」


「いやフレアがあんなに優しいとは思わなかった」


「我はここを平穏の村にしたいと思っている。我らが生きて行くためにはな」


 そうだ。俺達はこの村を良い村にしていきたいと思っている。それは村人達の為でもあり俺達の事でもあるのだ。


 人間達がこの様に平穏に生きていければ、俺達を裏切る事はないのかもしれない。


 そうだ。俺達はユートピアを見つけるのではなく、作ることにあるんだと俺とフレアは実感した。


 この村をもっと良くして、行きたいと思っている。


 そうすれば人間達も俺達も互いに争わずに生きていけるかもしれない。


 だから人間もそう平等に生きれば、裏切るような事はないのかもしれない。


 そう、俺は平等という言葉が大好きだ。


 俺もフレアも、この村の長として人々に平等を与えようと必死になれる。


 でも俺とフレアは吸血鬼、満月の夜になると理性をなくして、この村の人々の血を吸い尽くしてしまうかもしれない。それだけはやめた方が良いと思っているが、満月の夜は一ヶ月に一度必ず来る。


 満月の夜は雲に隠れても俺達は理性を無くして、人々の血を吸ってしまうかもしれない。


 その事に対してフレアと俺で話し合った方が良いと思っている。


 俺とフレアは長の家だった所に行って、話し合った。


「そうか満月の夜になると我らは理性を無くして、人の血を吸いたくなってくる。それはどうしようも無いことなのかもしれないが、その事に対しては考えた方がよさそうじゃな」


「俺とリサが暮らしているときは、満月の夜になったら、俺に回復魔法をかけて弱らせて、人の血を吸わないようにしてくれた」


「お主は回復魔法は使えないのじゃな」


「でもフレアは使えるんでしょ」


「当然じゃ、我はお主の伴侶だったリサよりも魔法を使えるぞ」


 それもそうだろう。何せフレアは二千年も生きているからな。


「でもフレアが使えても、フレアも吸血鬼で満月の夜になったら、理性を無くして回復魔法を唱えられる余裕などないと思うんだけれども」


「それは考える事に越したことは無いな」


「じゃあ、村人に回復魔法を使える者、そしてポーションで俺達を弱らせてはどうかな!?」


「何を言っておるのじゃお主、人間はずるい生き物だ。我らの弱点を知ったら、村の者は我らを殺しにかかって来るかもしれないじゃ無いか」


 そうだ。フレアの言う通りかもしれない。


 人間は汚い、俺達の弱点を知ったら、謀反(むほん)を起こす者もいるかもしれない。


「ならば、満月の夜に、この籠に血をいっぱいにして献上させるのはどうじゃ!?」


「う~ん、それは良い考えかもしれないが、逆に悪い考えかもしれない」


「じゃあ、どうするのじゃ、満月の夜になったら我らはこの村を襲うことになるぞ!」


「そうだな、それしか無いかもしれない」


「なら、そうしよう」


 そう言ってフレアは村の代表者を呼んで、俺達が吸血鬼であることを明かした。


 それで満月の夜になると俺とフレアは理性を無くして血を吸いたくなる気持ちにさせてしまう事を伝えた。


「村を代表する長よ。満月の夜に、この器にお主達の血をいっぱいにして、我らに献上するのじゃ。そうすれば、お主達の平和を約束しよう」


「分かりました。フレア様、満月の夜になったらこの器に村の人から少しずつ血を集めさせます」


「よろしく頼むぞ」


「ハハッ!」


 と長は俺達の前で跪いた。


「よし、ダインよ。これで満月の夜に我々は人々の血を吸う事は無くなる」


「いや、まだ、分からないよ。とにかく俺達は満月の夜になると理性を無くして人々を襲ってしまうのかもしれない」


「じゃから、長に頼んだのじゃろう」


 そううまく行くか俺は心配だった。


 満月の夜まで後十五日、その日はアッという間に訪れたのだった。




 ★




「いよいよ、今日が満月の夜だね」


 人々を傍観してみると、何やら、長は村人達から少しずつ、フレアが持ってきた器に血をスポイトの様な物でとっている。


 その様子を見てフレアは、


「どうやら、安心しても良いかもしれぬな」


 俺は本当にうまく行くのか凄く心配だった。


「ダインよ。何をそんなに心配しておる。この通り我らは血を吸うことが出来るのじゃぞ。満月の夜になっても我々は人間を襲って血を吸うことは無くなったのだぞ」


 でも俺は心配だった。


 でも考えても仕方が無い。


 とにかく血を長に集めさせて、俺達に献上させようとフレアの意見だ。


 これまで人々は俺達は平等にしてきた。


 だから人々は俺達を信頼してくれているのかもしれない。


 そして長は俺達にフレアが渡した、血の入った器を献上した。


「これでよろしいでしょうか?」


「ふむ、ご苦労じゃった。それと長よ、皆に伝えて欲しいことがある」


「はい、何なりと」


「お主達も知っての通り我らは吸血鬼だ。満月の夜にはこの建物の中に入らぬようにな」


「ハハッ」


 そう言って長は跪いて俺達に血を献上したのだった。


 それにしても血を見てみると本当においしそうな匂いがする。


 そう言えば、血を吸ったことがあるが、俺達は血を吸った物のスキルや考えている事が分かるメモリーブラッドと言う物があることを知った。


 そう言えば山賊達の血を吸って分かったことは奴らはどの村でも金品を奪ってしまえば良いとさえ思っている。


 これは村人達の血だ。これを飲めば村人達の血を吸って、村人達に裏切り者はいないか確認する事が出来る。


 血も吸えて、相手の考えている事やスキルなどを習得する事が出来る。



 ★



 そして満月の夜、俺とフレアは長人々達の血を吸って満月の夜を乗り越える事出来た。

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