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ダインとフレアのユートピア

 俺達は山賊が住む、キーレンド山の麓を目指している。


「なるほど、キーレンド山の麓に山賊の奴らが存在していたとはな」


「俺達が山賊を倒せば、この村一帯の英雄になれるぞ」


「それは良い考えだ。我らの探すユードピアに近づいているのかもしれぬな」


 本当にそうだ。俺とフレアは共に俺達だけのユートピアが見つかるかもしれない。


 山賊と言えど、俺達に敵う相手はいないだろう。


 俺達は山賊が住む、キーレンド山の麓に辿り着いた。


 凄く険しい道だが、俺達の体力は尽きることがない。


 それよりも俺は何か心配になってきた。


 俺とフレアはアンデットだ、つまり回復の能力を持つ者に対してまずいんじゃないかと思い始めた。


 キーレンド山の麓の所に立つと、山賊の男が現れた。


「おい、お前等、ここをどこだと思っているんだ?」


「山賊のアジトだろ」


「てめえ等俺達が知っているのに何しに来やがった」


「お前達を倒して村の英雄にでもなろうと思ってな」


「身の程を知らないって奴はお前等の事だ」


 そう言って、山賊の男は槍で俺達に猪突猛進に突っかかって来た。


 本当にバカな奴だ。俺達の事を知らないからそれは仕方がないのかもしれない。


 フレアがホーリーセイバーで突き刺して来た槍を払いのけた。


 そうして鳩尾に蹴りを入れて山賊の男は悶えている。


「お主が山賊の一味か?ならばアジトまで案内して貰おう」


「馬鹿野郎、そんな仲間を売るような事はしてたまるかよ」


「そうか、お主はここで死ぬんだな」


 そう言ってフレアはホーリーセイバーを男にかざそうとしていた。


「や、やめてくれ、分かったアジトまで案内する。だから、俺を殺さないでくれ」


 そう言って男にアジトまで案内して貰った。


 アジトに近づくことになり、男は手のひらを返すように、


「おい、俺を助けてくれ。俺はこいつらに殺されそうになった」


 すると山賊が六人俺達を囲っていた。


「ほう、仲間がいたから我らを裏切るとは言語道断じゃな」


 俺達を案内してくれた山賊は仲間達がいると急に粋がっていた。


「こいつは俺の命を狙って来たんだ。だから今でも殺してくれよ」


 そして別の男が、


「何だてめえ、俺達の力を甘く見ていると痛い目に会うぜ」


「それはこっちの台詞じゃ。お主達少しはやるようじゃが、我らの敵ではない」


「くそったれ、だったら俺達が相手になってやるよ」


 そう言って山賊達は俺達に向かってその槍を突きつけてきた。


 だが、奴らの攻撃はまるでスローモーションの様に見えてくる。俺達は負けはしない。


 フレアはホーリーセイバーを出して、三百六十度、敵が迫ってきたので、フレアは一回転して攻撃をすると山賊の奴らは全員ぶった切ってしまった。


「フレア、殺さなくても良いんじゃないか?」


「ダインよ山賊に情けをかけるか?」


 まあ、良いか、人間なんて勝手な生き物だ。殺しても良いとさえ思えてきた。


 そうしてフレアと俺は先ほど案内してくれた山賊に目を向ける。


「山賊よ。これで我らの力を思い知っただろ。命が惜しければ山賊のアジトまで案内せよ」


「分かりました」


「フン、素直でよろしい」


 アジトまで案内する山賊は怯えていた。


 そして案内して貰い。山賊のアジトは遊牧民族か、藁の家を作り上げていた。


「ここがお主達のアジトか!?」


「はい、ここにロッジ様はいらっしゃいます」


「ロッジとは誰の事じゃ?」


「我らの山賊の王のロッジ様です」


 早速中に入ると、山賊達はロッジという玉座に座った奴だと言うことが分かった。


「何だ、貴様等、この俺に文句でもあるのか?」


「文句と言うかお主にはここで死んで貰う」


「何だと貴様等、この俺を殺そうとしているのか?」


「そうじゃ、村の人に聞けば分かったがお主達は散々やり過ぎたようじゃのう」


「俺も舐められたものだ。これは良い、俺は強い奴が大好きだ。俺の所に来たと言うことは何人かの俺の部下を殺したのだろう。そんな奴らが俺は大好きだ」


「お主は仲間が殺されて悲しくはないのか?」


「悲しいさ。特にお前の様な強い人間をした奴に対してだな」


「貴様等人間は愚かな生き物だ。それにお主もようやるのう、もし良かったら我の部下にならぬか?村人から集めた金品を分けてやって良いぞ」


「この俺も舐められたものだな」


 そう言って山賊王のロッジは槍を取り、その槍でフレアの事を突き刺そうとした。


 さすがの王と言って良いだろう。ロッジは凄い早さで向かってきた。


 フレアはなぜか剣を構えずに奴の槍を蹴りで振り払い、ロッジの血を吸っている。


「安心しろお主を殺すまでには至らない。我はこの六十年間血を吸うのを我慢して来たのじゃが、お主の血はうまいのう」


「ううっ、力が」


 そう言ってロッジは意識を失い、倒れてしまった。


「フレア、もしかして殺してしまったのか?」


「人間はこれぐらいの血を吸っただけでは死にはせぬ、それよりもお主もどうじゃ。周りの人間の血を吸うのはとっても美味だぞ」


 俺は遠慮して置いた。


 でも吸いたい。


 そう言って、山賊の王がやられて山賊達はこれから路頭に迷うだろうと思った。


 うう、フレアがおいしそうに血を吸っている姿を見て、俺は血を吸いたい気分に駆られてくる。


 それはダメな様な気がしたが、俺は我慢できなかった。


 そうして俺は人間の血を吸い、凄くおいしく感じた。


 吸血鬼にとって、血と言うものはお酒であるエールよりもおいしいものだと感じた。


 俺は吸血鬼、人間の血を吸うことで快楽を得られる。


 俺は一人の人間の血を吸い尽くして、人間を殺してしまった。


「これが血の味なのか?こんなに美味たる物とは知らなかった」


「お主も少しは吸血鬼らしくなってきたな!いやお主はもう吸血鬼その者じゃ」


 とフレアは言う。


 血がこんなにおいしいなんて思いもしなかった。


 でも俺はこれでいいのだろうか?


 俺は血が吸いたくてたまらなくてもう一人の人間の血を吸おうとした。


「やめてくれ、俺を殺さないでくれ」


 と山賊の一人はそう言っていたが、俺は容赦なく血の味の美味にひかれて血を吸うことにした。


「そうじゃ、お主も血のおいしさに我を忘れておるな」


 そうだ。フレアの言うとおり血がこんなにおいしいとは思わなかった。


 初めて血を吸ったのは確か大魔王ルシファーの血だった。


 あの味も極上だったが、人間の血がこんなにもおいしいとは思いもしなかった。


 俺は血を吸うことに飽きてきて、もうこれぐらいにして置こうとそう思った時、フレアが、山賊の長の首を跳ねた。


「フレア、何をしている」


 残酷な事をするフレアに俺はちょっとやり過ぎなんじゃないかと思った。


「何を言っておる。こいつの首を村人に見せれば、我らは村の英雄になれるのだぞ」


 そう言ってフレアは首を布の袋に入れて、山賊のアジトを後にしたのだった。


 俺もその後に付いていって、山賊に苦しめられている村へ向かっていた。


 キーレンド山の麓は、アルミラージや一角ウサギなんかが出没している。


 こんな奴ら俺達の敵ではないので、敵は俺達の事を見て、すぐに退散していった。


 そうして麓を抜けて、山賊に襲われて怯えている村へと辿り着いた。


 村は閑散としている。


 すると、フレアは、


「この村の主はいるか?」


「何だ。お前等は?」「私達を襲おうとしているのか?」


「違う我らは、お主達の救世主だ」


 そう言って、フレアは布の袋からロッジと言う山賊のリーダーの首を村人達に見せつけた。

「あれは、山賊のリーダーのロッジの頭じゃないか」「お前達が倒したのか?」


「そうじゃ、お主達の脅かす山賊の長を倒した。我ら二人がそうして来た。お主達は我らをあがめるのじゃ」


 すると、長老らしき者が出てきて、長老は、


「あなた様はダイン様ではありませんか」


 あれから六十年の時が経っても俺がダイン様と敬意を払う人間がいるとは思いもしなかった。


「そうだ。俺は吸血鬼勇者ダイン。六十年前、お前達を襲った大魔王ルシファーを倒したのはこの俺だ」


 すると村人達は、長老が俺とフレアに跪き、続いて村人達も跪いた。


「忘れはしません。我ら勇者ダイン様の事を知っているのは私だけなのかもしれません。それに山賊を倒したのもあなた達ですね」


「そうだ。山賊達を倒したのも俺達だ。俺達に敬意を払え」


「「「「「「ははっ!!!」」」」」」


 村人達は俺達の前でひざまずいて、首部をたれた。


 と言うことで、俺達はこの村の村人達にあがめられた。


 そうして夜はお祭りのような形になった。


 俺とフレアを中心に村人達は敬意を払い、俺達に食事を与えてくれている。


 鹿の肉やウサギの肉などを食べて俺達はこの村の英雄になってしまった。


「フレア、この村でとりあえず、しばらくは生きていけるかもしれないね」


「ああ、でも我らは吸血鬼、満月の夜、こやつ等を襲う事になるかもしれぬ」


「それもそうだな。こんな俺達をあがめてくれる人間の血は吸って殺したくはないよな」


「そうじゃな、こうして我らに敬意を払ってくれるのじゃ。じゃからこやつ等には、少し我らに特別な扱いをして貰う事をさせよう」


 とりあえずフレア話し合って、この村に住む事になった。


 俺とフレアはこの村の英雄として生きて行けば良いのだと思っている。


 この村の英雄となって、俺達は偉ぶってはいけないと思っている。


 この村の平和の事も考えなければ、俺達はやっていけないと思っている。


 俺とフレアはこの村の王となったのだ。


 でも王となったからには、王として相応しいことをしないといけないと思っている。


 とにかくこの村の人の血を吸うことは俺はいけない事だと思ったが、あまりにも血が美味だったため、それが出来るか不安になった。


 こうして俺とフレアとのユートピアに辿り着いた気がする。


 でも人間はその事を忘れて、また俺達を迫害するのかもしれない。


 そうなったら、そうなったで、また新しい場所を探しに行けば良いと思っている。


 でも意外だったな、俺が勇者ダインだと言うことを知っている者がいるとは。


 とにかくこの村の王は俺達になったのだ。


 この村を襲う者が現れたら、また平和のために尽くすつもりである。

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