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新円を描く満月の夜を恐れるダイン

 俺はブルードラゴンに隕石の攻撃(メテオストライク)を放ったのだった。


 見事に隕石の攻撃(メテオストライク)はブルードラゴンにヒットさせた。


 ブルードラゴンは致命傷を負っている。


 ここでまた空を飛び、回復の呪文を唱えられたらたまらないと思って、ブルードラゴンが空を舞う前に俺はホーリーセイバーでブルードラゴンの首を切り落とした。


 するとブルードラゴンは落下して、倒すことに成功した。


「やったね。ダイン君。我々の勝利だ」


 アルはそう言ってアダマンタイトを手にすることが出来た。


 それにブルードラゴンの皮を剥ぎ、これも防具に使うためにアルは刈り取った。


「ブルードラゴンの皮とアダマンタイトを手にすることが出来て、あたいはもう満足だよ。ブルードラゴンの皮は攻撃魔法をレッドドラゴンの皮よりも遙かにしのぐからね」


「それよりもアル、帰りはどうする!?リディアとリサはもう限界に来ているみたいだが」


 リサは死の魔法を使い、もう魔力を使い果たして、動けない状態だ。


 そんな時に、リディアが立ち上がり、リサに高価なアイテムエリクサーを使った。


 するとリサはみるみるうちに元気を取り戻したのだった。


「ダイン、私、あなたの役に立てたかしら?」


「もちろんだよ、リサ。まさかお前が死の魔法を使ってアンデットの俺に回復させてくれるなんて思いもよらなかったよ」


「私だってダインの役に立ちたいからね」


 本当にリサは俺の最高の相棒だ。それにリサとは伴侶の約束までしている。


 あの俺を吸血鬼として蘇らせたフレアを俺は伴侶などとは言えないと思っている。


 それはそうとそろそろキーレンド山を降りようと思っている。


 帰りにまた俺達は魔物と遭遇して、それを対峙しながら帰って行くしかないだろう。


 何だろう。帰り道凄くハラハラする気持ちになってきた。


 キーレンド山を降りるとき、何度か強敵のモンスターに遭遇したが、大した相手ではなかった。


 ケルベロスやオルトロスなど、その他にも強敵なモンスターが出現したが、俺達はブルードラゴンを倒しているので、凄いレベルアップしているので、そんな強敵雑魚に等しかった。

 俺達は強くなりすぎた。


 でもアルは言っていた。


 キーレンド山に何度か足を踏み入れたが、ブルードラゴンに遭遇することは初めての事だと言っていた。


 魔物の強さが増しているのかもしれない。


 以前、俺とリサはスライム討伐の為に、あの時はレベルも低く、ケルベロスを倒す事が出来なかった。それになぜあのような場所にケルベロスが現れたのか疑問に思っている。


 でも俺達はこの短期間で強いモンスターと戦い、レベルも上がっている。


 それはそれで良いとして、話を戻すが、最近レベルの低いモンスターしか現れない場所でも強いモンスターが出没している。


 やはりフレアの言っていた大魔王ルシファーが蘇ろうとしているのか。


 その事に対しては半信半疑だが、どうやらそれも否めないのかもしれない。


 とにかくアルに最強の武器を作って貰い、大魔王ルシファーに戦いを挑まなければいけないと思っている。


 そんなこんなで俺達はキーレンド山を降りることになり、アルの工房に到着した。


 アルは早速アダマンタイトで俺に最強の武器を作ろうと躍起になっていた。


 その夜だった。満月の夜まで後一日。今日の満月は○に近い円を描いている。


 フレアの言っていた事は本当の様だ。


 俺はリサやリディアにアルを見ると、その血を吸いたがっていた。


 後、一日経ってしまったら、俺はどうしよう。


 俺はアルが貸してくれた部屋で悶え苦しんでいた。


 とにかく俺は理性が飛びそうな程、誰かの血を吸い尽くしたいと思っている。


 我慢しなければならない。そうしないとリディアやアルにリサに被害が及んでしまう。


 そうならないように俺は自分の首を絞めて、堪えていた。


 そんな時に現れたのが、部屋の窓の向こう側にある外に目を向けるとフレアの姿が現れた。

「フレア!」


 そう言って俺は窓を開けた。


「どうやら苦しんでいるようね。そんなに仲間の血を吸い尽くして殺したくないと言う気持ちは変わっていないのかしら!?」


「もちろんだとも。フレア、どうにかならないのか!?」


「とりあえず、私に付いて来い」


 そう言われて俺はフレアの言うとおりにして外に出ることにした。


 俺はフレアの小さな背中を見ながら進んでいった。


「フレア、どこにつれて行くと言うのだ?」


「黙って付いてこい!我はお前の味方だ!?そんなに味方の血を吸い尽くして殺すのは後味が悪いだろう。本当は我はお前を伴侶として扱うつもりであったが、それは諦めた。前世ではお前は最強の吸血鬼だった。でも今のお前は仲間を思いやる人間にしか見えない。それに吸血鬼として、お前はその資格すら持ち合わせていない」


「そうなのか!?俺を諦めてくれるのか!?」


 それは嬉しい朗報だと思った。


 後一日で真円を描く満月を眺めながら俺はフレアの後を追った。


 俺は黙ってフレアの後に付いていった。


 フクロウが鳴く夜道の森を歩いている。


 いったいフレアは俺に何をさせたいのか気になった。


 そしてフレアは人気のない森の真ん中で立ち止まり、首元を俺に差し出した。


「さあ、ダインとやら、我の血を存分に吸うが良い」


 フレアがそう言うと俺は無性に血が吸いたくなり、これは本能で俺は血を吸いたくなっている。


 俺は何の断りもなくフレアの血を吸うことにした。


 フレアの首元に歯を当ててフレアの血を吸った。


 フレアの血を吸うと何だろう。何か俺の中で妙に懐かしい感じがして、その血を吸い尽くした。


 俺は前世、神の裁きにより、死んだ。


 そして生まれ変わり、今は俺は普通の人間として生まれ変わった。


 さらに俺はそんなフレアの事が好きになりそうな気分に陥ってしまう。


「さあ、ダインよ。事情は分かっただろう。我は汝、汝は我、我と汝は共に伴侶としていく定めなのだ」


 そうだ。定めなのだ。俺が愛する人間、いや吸血鬼はフレアだけであった。


「さあ、ダインよ。こちらに来るのだ」


「そうだ。俺は・・・」


 その時だった。俺の記憶に幼い頃から一緒のリサが脳裏に蘇った。


 リサと出会って十数年、俺はリサを愛している。


 リサも俺の事も愛している。


「フレア、これはお前の罠だったんだな!」


「ダインよ。お主は我、その事を否める事は出来ない。幼なじみのリサと言う女がお前が選んだのか」


「そうだ。俺の伴侶となるのはリサ以外誰でもない」


「ならばダインよ明日になったら、見届けてやろう。リサとその仲間達の事を襲い血を吸い尽くして殺してしまうことを」


「俺は吸血鬼として最強の力をお前に与えられた事に関しては感謝している。でも俺は満月の夜になっても、リサやリディアにアルの血を吸い尽くして殺すことはない」


「いいや、満月の夜になると我々吸血鬼は理性をなくして血を吸い尽くしてリサやその仲間達の血を吸い尽くす」


「俺はそんな事にはならない。俺には仲間の絆がある。だからそんな事にはならない」


「そう言っていられるのは今のうちだ。お主は血を吸い尽くして人を殺してしまう。そうなる前にお主は我と共に行くのが最良だ。汝は我、我は汝」


「俺はお前の様な吸血鬼の伴侶になる気はない。ならば、俺を人間に戻してくれ」


「それは出来ぬな。お主はもう死んで吸血鬼として蘇ったのだから」


「でも俺は仲間を殺すような事はしない」


「そう言っていられるのは今のうちだけじゃ。お主はリサ達の血を吸い尽くして、仲間達を殺してしまうだろう。その前に我と契約を結ぶ方を選んだ方が良いんじゃないのか?」


「俺はお前の様な奴と契約を結ぶつもりはない。それにリサは俺の永遠の伴侶だ」


「我はお主の為に言っている。このまま満月の夜を迎えると理性をなくして、仲間達の血を吸い尽くして殺してしまうんだぞ」


「だから何度も言う。俺は仲間を殺す気にはならない」


「ならば、見届けてやろう。もしお主が満月の夜に仲間を殺すような事をしたら、お主は我の伴侶とならざるを得ない。お主は前世は吸血鬼であり、我のソウルメイトでもあるのじゃ」


「俺はお前のソウルメイトにはならない。俺はお前にはこの力をくれたことを感謝しているが、俺はお前の伴侶になるつもりはない」


「勝手にせい!お主の仲間達を殺してしまうのも時間の問題じゃ」


「俺は自分を仲間達を信じている」


「ならば身をもって知る事じゃな!」


 そう言ってフレアは森の奥へと去って行った。


 確かにフレアの言うとおり、リサ達を吸血鬼として理性をなくして、殺してしまうかもしれない、でも俺には大切な仲間達が存在している。


 俺は仲間の血を吸う気にはならない。満月が何だ。俺はリサ達の血を吸う事なんて絶対にしない。


 俺は自分を信じるためにアルの工房へと戻っていった。


 リサの部屋に入ると、リサはパンツとネクリジェを着て眠っている。


 窓の外には今にも真円を描きそうな月が見えている。


 こんなパンツ丸出して眠っているリサの無防備さを見ていると、なぜか襲いたくなって来る。


 本当に俺は大丈夫なのか?フレアにはあんな事を言ってしまったが、極度の不安に襲われてしまう。


 リサの部屋を出ると、鍛冶を叩く音が聞こえてくる。


 何だろうと思って行くと、アルが今日仕入れた、俺の武器を作っている。


 アルの血を吸い尽くしてしまいたい気分に駆られてしまう。


 ダメかもしれない。明日になったら、本当にリサやアルにリディアの血を吸い尽くしてしまうかもしれない。


 フレアにはあんな風にカッコ良く言ってしまったけれども、凄く不安だった。


 とにかく俺も眠った方が良いと思って、アルの工房の寝室に向かい、俺は眠ることにした。

 そして満月の朝、俺は震えていた。


 目を覚めると、無性に血が吸いたくなってきた。


 俺は軽い過呼吸に見舞われている。


 そこで部屋に入ってきたのが、リサだった。


「ダイン、リディアが朝食を作ってくれたよ。とりあえず食べましょう」

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