シーン53聖獣なのか!?
俺はどうやら聖獣をキレさせたらしい。
聖獣に話しかけようと思うが、きっと答えてはくれないだろう。
そんな俺は今一人だがどうにも二人が気になって仕方がない。
二人の事を考えながら山道をゆく俺。
飛ぼうとも思ったがどうやらこの地は恐るべき程の濃霧で足元が見えるのがやっとだった為飛行も無理だった。
すると………突然カサカサっと何かの音が聞こえる。
『なんだ!?おい!!誰かそこにいるのか!?』
俺の問いかけに一瞬その動きが停止する。
『誰だ!?』
だが……またシンっと静まり返る。
『ふぅ…………まあここはアフリエイトのケニージアだ………野生の動物達も沢山いる大地だ……何が出てきてもおかしくはないか。』
俺はそう呟きまた歩を進め始める。
すると……先程まではなんだかんだ数名のパーティーで移動してきた俺だ……急に一人になると孤独を感じてしまう。
スクエルちゃん………可愛いよな……ゴリさんの部下のようだが…どんな関係なのだろう。
ふと考えてしまっていた俺。
そしてなんと次に浮かんできたのは二人のチビ達の事だった。
あいつら………なんだかんだ俺をからかってくるがいなければいないで寂しいものだな。
すると奴らの、にたあっとした気色悪い表情を思い出す。
俺は我に返りブンブンと首を横に振る。
いかんいかん!やはり奴らには甘くしては調子に乗せるではないか。
すると最後に思い浮かべたのは可愛い可愛いルキの笑顔だった。
◇
◇
◇
そこには笑顔のルキが立っていた。
お兄ちゃん……………………。
おお………ルキ。
はにかみながらルキは続ける。
お兄ちゃん………旅はもうやめてさ……ここで二人だけで幸せに暮らさない!?
突然笑顔のルキは、そんな事を問いかけてくる。
えっ!?
俺はそう聞き返す……するとルキは続ける。
もう……魔王の事なんて忘れちゃおうよ……私達………二人だけでここでずっと一緒に暮らすの……誰もいない私達二人だけの世界。
そんなルキはニヤリと怪しく微笑む。
ルキ!?お前何を言って………。
俺の目の前には決してそんな事は言わないハズのルキがいる。
お兄ちゃん………さあ………私の手を握ってよ。
こっちへきて。
ルキは怪しく微笑みその手を俺に差し出した。
俺は目を閉じる。
そう………俺の知っている………俺の大切な……誰よりも優しく……誰よりも他人の事を考え………自らをもかえりみない、そんなルキなら……こんな事を絶対いうハズがなかった。
お前は………誰だーーーーーーーーーーーっ!?
◇
◇
◇
その時……………………俺の視界からパーーーーーーっと濃霧が消えていったのだ。
すると目の前には深い渓谷が見えていた。
『へえ…………お兄さん……このキリマジャーロ山の『惑わす霧』に打ち勝ったようだねえ。』
俺に語りかけてくる何者か。
俺は問いかける。
『お前は誰だ!?さっきの聖獣とはちょっと違うようだが。』
『へえへえへえーーーーーっ!?お兄さん……流石だねえ!?』
次の瞬間。
そういった声の主が俺の目の前に姿を現す。
『ぬおっ!?お、お前……どこから湧いて出た!?』
『えっ!?私はお兄さんがこのキリマジャーロ山に足を踏み入れた時からずっとお兄さんを見ていたよーーー!?』
『なっ!?なんだと!?』
驚く俺の前に現れたのは長く縞模様のしっぽを自在に震わせ耳を立て笑顔で話す可愛い獣人女子が立っていたのだ。
『やあやあ!!お兄さん!私がこのキリマジャーロの…………』
『お前が…………聖獣………なのか!?』
俺はそう問いかけていた。
するとその娘は目を見開き潤ませ感動の表情へと変わる。
『う……うんっ!!そうさあ!私が聖獣のヘキサ!!よくぞここまで辿り着いたなお主!!』
『お、おう!?そうなのか!?じゃあさっき俺に怒っていたよな?さっきはすまんかったな。』
『ん!?ええっ!?あ、あれねー!!なあに気にするでない!!良きにはからえーーーっ!!あはは………………。』
俺はその会話に何かおかしな違和感を感じていたのだ。
『おい!!お前!!お前が聖獣ならば俺はここまで辿り着いたんだ!!さあ俺のツレをここへ出すんだ!!!もちろん聖獣なんだから全てを知っているのだろう!?』
『ひいぃぃぃーーーーーーーーーーーっ!?』
ヘキサとやらは焦りだしていた。
『あやしいーーーーーーーーー。』
俺が凝視していると彼女の背後になにか神々しい光が溢れ出してくる。
すると空よりなにかが舞い降りてくる。
ヘキサの表情はみるみるうちに青ざめていく。
『くうおおおらーーーーーーーーーーーっ!!???ヘキサーーーーーーーーーーーっ!!!お主はまーたやっておるのか!?』
天よりのその言葉。
すると俺の目の前に姿を現したのは…………真っ白な体毛に覆われた巨大な『猿と狐の融合したような獣』が俺達の目の前に存在していたのだった……。
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