シーン121ルキの危機と雷武の叫び。
俺は空を駆けた…………そして我が一族の里である竜村の上空へと辿りつく。
『くっ!!???』
俺が大地に降り立とうとしたその時…………。
ガキィィィーーーーーーーーーーーーーーンっと何かによって跳ね返される俺の身体。
『なにっ!!???これは!!!???』
すると俺の耳に聞こえてきたのは何と俺が倒したハズの、あの忌々しき魔王の声だった。
『クククッ…………………久しいではないか………ドラゴンよ。』
『なっ!!!???貴様は………魔王……ゼルドリス…………………。』
『クククッ………………よく覚えていたなあ。』
『ああ……………てめえのその忌々しき声………忘れるものか……………。』
『それは良かったぞ………我が力に屈せず我を滅ぼしかけた貴様に忘れられたのでは…………この魔王ゼルドリスの名に恥じるべき事だ。』
『ああ…俺はもう二度と復活してほしくはなかったがな……だが貴様……………今更だが……どうやってここへ戻ってきやがった!?』
『クククッ……………それはこの俺様が魔王だという証だ………………この俺は……世界に、ほんの一つの細胞でも残っていれば………時間は多少かかるが…………復活はできるのでな………。』
魔王たる所以の恐るべき力を秘めていたこの魔王に俺は恐ろしさを感じたのだった。
すると魔王ゼルドリスは続ける。
『クククッ……だが………まだ今の俺様は不完全な状態だ………………この防壁がなんなのか分かるか?』
確かに俺が感じた何か…………それは次第にその全貌を現す。
すると竜村を囲み外からの力を遮断するかのように張られた円状の防壁が目に見えたのだった。
赤き光を放ったその防壁に俺は冷や汗が落ちる。
『クククッ…………今理解できたか?これは俺様が張り巡らせた内なる地と外地を遮断する絶対防壁……………貴様が内なる我に何もできぬという事よ………………………。』
『くっ!?魔王ゼルドリス!!!???』
俺は怒り叫ぶ。
すると薄ら笑いを浮かべる魔王ゼルドリス。
『クククッ………ようやくだ……………ようやく貴様に借りを返せるというものだ………。』
『なっ!?なんだと!!!???』
『そういえば………あの空島にもこの俺様は同じく防壁を張ってきた…………故に空島も孤島と化し…………手助けになど来れぬからな…………。』
俺はどこか期待した空島…………目の前の魔王ゼルドリスはそんな空島にも影響を与えてきたのだった。
そして魔王ゼルドリスはその手に大鎌を構えていた。
『かつてのあの戦いで……………この俺様は初めての屈辱を貴様達からうけた………俺様は貴様を恨み…………恨み恨み恨み………………………そして今日のこの時までじっくりとその時を待っていたのだ。』
『やめろ………………貴様が恨みがあるのはこの俺だけであろう。』
俺の言葉に分かっているかのように答える魔王ゼルドリス。
『ほお!?よく気がついたな………………以前の戦いではこの俺様を倒す為に貴様らは用意周到な準備を整えてきた………その始まりは……あの未来視ができる竜の巫女の存在が大きかった……。』
『やめろ…………ルキは今家庭を持ち………幸せに暮らしているのだ……貴様が何かしていい訳じゃないんだ!!やるならこの俺だけを狙えばいいだろ!!!????』
『フン…………この俺様は以前のように油断などしない……………貴様らの力を知り………そして二度とこの俺様に刃向かう事のないよう………ここに示してやる。』
『魔王ゼルドリス……貴様の相手はこの俺だ!!!!!!』
俺は防壁に向かい突撃する!!!!!
ドンッと激しい衝撃を与えるがそれは俺の身体が跳ね返るだけで………………ぴくりとも…………… そして傷一つつける事が出来なかった。
『くっ!!!???貴様あああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!???』
俺は叫びその防壁を破壊しようと攻撃を繰り返す。
だが全く防壁はビクともしない。
すると防壁の内に魔王ゼルドリスがその姿を現したのだった。
『クククッ…………さあ…………これから俺様は竜の巫女を殺し………………………その首を世に晒し……この世界にこの魔王ゼルドリスが存在する事をアピールしようではないか…………。』
『なん…………………だと………………………。』
俺は激しい怒りに炎を全身にたぎらせる。
ニヤリと笑みを浮かべる魔王ゼルドリス。
『クククッ………己の無力さを知れ…………貴様はこのまま何もできず……………………竜の巫女を手放し……………そして絶望するのだ。』
『くっ!!??やめろ!!』
『ああ………そういや………娘も産み落としたのだったなあ……………そいつも…………クククッ……。』
すると、目の前からフッとその姿を消すゼルドリス。
『絶望するがいい!!竜人雷武!!!!!あーーーーーーーーっはっはっは!!!!』
そして魔王ゼルドリスの笑い声だけが響き渡ったのだった。
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