閑話 聖女の誓い
私は赤坂舞。
このオートリアムのモーリス聖教国の辺境の街に生まれてもう8年たった。
普通の平民の家に生まれて街で平和に暮らしていたが5歳のときにステータスプレートをもらってからその平和が少しずつ非凡な生活へと変わろうとしていた。
ステータスには固有スキルというものがあって、神様が言っていたチートはこれのことだろう。
完全再生
それが私の固有スキルだ。
このスキルは何でも再生してしまうというもの。
どんなに怪我を負ってもイメージ次第で治せるし、ものを壊しても直せるのだ。
そして、この力は魔力をほぼ使わずに使うことができる為、街のみんなを助けたいとこの力を使っていたのだが最近その噂を聞きつけて周りの街や村から病気や怪我をしている人が集まって来ている。
それを治していくと、もう私を神のごとく崇める人が増えていったのだ。
8歳が終わる頃には宗教化していて、周りに流され私は聖女とし君臨してしまっていた。
9歳になる頃、ある事件が起きた。
その出来事によって私は信者達にさらに神格化されることになる。
それは遠くの貴族が病気を治しにこの街にやって来たときに起こった。
「聖女様にお会いしたい方はこちらの列へお並び下さい」
街の教会には聖女に会いに来る人々で長蛇の列ができていた。
「何なんだ!この人ゴミはっ!!早くどけよ!!」
でっぷりと太った貴族が列を乱し教会へとやってきた。
「おい!聖女とやら!ワシがもらってやる!付いて来い!!」
「何なんですか!?あなたは!!」
私のお世話をきてくれている教会のシスターが貴族のもとへいく。
「ワシ早くデップリン伯爵だ!ここにいる聖女をワシの嫁にしてやる!早く出せ」
「そんな横暴認められません!」
「うるさい!おい!聖女を探して連れてこい!」
デップリンの側仕えや兵士たちは聖女を探しに教会の奥の部屋へとなだれ込んできた。
「いたぞ!捕らえろ!!!」
「何なんですか!?私に何の用ですか!?」
私は腕を強引に掴まれ、太った貴族の前へと連れてかれてしまった。
「お前が聖女かぁ……美しいなぁ……。お前をワシの嫁にしてやる」
「……嫌です」
「なんだとぉ〜!?お前無礼だぞ!!」
「私にはここに来る方を治療するという使命があります!!ここを去るわけにはいきません!!」
「こんのクソアマがっ!!!」
バシッ!!
バシッ!!
バシッ!!
私はこの貴族に殴られる。
痛い。涙がでてくる。
ゴッ!!
ゴッ!!
私はいくら殴られても切られても完全再生のスキルのおかげで瞬時に元に戻るけど痛みは無くならない。
ツライ。痛い。嫌だ。
「……イヤーーーーーッ!!」
そのとき完全再生の新たな力が発動した。
デップリンの体が光りだし、皮膚や体のあちこちが膨れ上がってくる。
「う、うぐ…あ、ぐっ……な、なんだ」
どんどん膨れ上がる。
体の細胞が細胞分裂を繰り返す。
そこにはもう巨大な肉の塊があるだけだった。
「貴様!!悪魔だったか!!殺してしまえぇ!!」
デップリンの兵士達が襲いかかろうとした瞬間、敵意を表したものが一斉に光りだす。
「ううぅぅー」
「いだいぃ」
「あ、ぁああぁ」
その部屋には肉の塊が散乱していた。
「に、逃げろ!撤退だぁ!!」
残った兵士や側仕えは焦って逃げていった。
「聖女様、ご無事ですか?助けられず申し訳ありません。」
「いいのよ、あなた達は良くやっているわ。私がもっと強くなればいい……。子供、老人、女性…弱い人をみんな助けられる人になるわ」
「もちろん私達もお供させてください。聖女様に付いていきます。一緒に世界の弱者を救いましょう。」
「ありがとう」
そして、この出来事はすぐにモーリス全土に知れ渡ることになった。
どんな病も怪我も治すが敵対すると悪魔にされるという噂と共に。
闇の聖女がここに誕生した。




