閑話 アルスの学園生活1
アルス視点です
ーーー王都ーーー
俺はアルス・ヴェスターだ。
3週間の長旅を終え、やっと王都に着いた。
「スゲェ……外壁こんな大きいのか……
向こう側見えねぇぞ……」
村と王都では天と地の差があり衝撃を受けている。
「アル!早く行きましょう!試験に遅刻してしまいますよ!」
同じ村から一緒に来たエドウィンが急かしてくる。
「そうだ。試験があったんだぁ……」
すっとぼけている獣人のジルも一緒に来た仲間だ。
「よし!気合い入れて全員合格するぞ!」
王国騎士育成学校は入学試験があるのだ。
なので、この王都に集まった子供の数は3000人ほどいる。
その中から入れるのが200人と狭き門なのである。
だが、父さまが言っていたが俺ら3人ならまず間違えなく受かるとの事なので安心して試験を受けるが油断はしない。
学校へ着くとすぐさま校庭で実技試験があるそうだ。
校庭の手前に列があり、俺たちは最後尾に並んで順番を待っていた。
すると最後尾へ少しポッチャリした、いかにもボンボンそうな貴族とその取り巻きが来た。
「おい、こんなところにクソ獣人が並んでんじゃねぇぞ!どけ!!」
俺たちはいきなりの罵倒に驚き一瞬言葉を失った。
王都の上級貴族の中には根強い獣人差別派があると聞いてはいたが、こうもあからさまなのかと……
「すまないが最後尾へお願いできないでしょうか…」
エドウィンがそう言うと
「おい!貴様ァ!!この方を誰だと思っている!!!王国騎士団副団長のご子息であるぞ!!言うことを聞けっ!!」
「そ、そんなぁ……」
ジルはオドオドしながら怯えている。
「大丈夫だ、ジル。こいつらの言うことなんか聞かなくてもいいぞ」
「なんだと!?貴様!この俺様に無礼だぞ!!」
「学園では貴族、平民関係なく平等なはずだ!そんな横暴は許されないっ!!」
俺はハッキリ言ってやった。
覇気を込めて
俺の大声を聞き、ボンボンは後ずさる。
そして、その大きな声に試験官の先生が駆けつけて来た。
「いったいどうしたんだ?何があった」
「いえ、なんでもありません。この方が騎士としてあるまじき行為をしてきたので少し注意をしただけです」
俺はハキハキと答える。
「貴様!!無礼であるぞ!!誰に向かって………」
ボンボンが言おうとするのを遮って試験官が言う。
「そうか、ありがとう。そこのあなたは減点とします。名前を言いなさい。」
そして、試験官は貴族に名前を訪ねる。
「何故、俺様が減点なんだ!!」
「学園では貴族、平民関係なく平等が決まりだ。お前はルールも守れないのか」
「くそっ!!!」
こうして、仲裁が入りひと段落した。
そして、実技はなんとも拍子抜けで1対1の模擬戦と能力テストだけとシンプルであった。
その後、1次試験突破者のみ面接があるそうだ。
そして、俺の番がやってきた。
「失礼します!ハルネ村アルス・ヴェスターです!」
試験官の真ん中には学園長らしき人がいて
「ハイ、よろしく〜。じゃあステータス見せて〜」
と覇気のない声で言う。
ステータスは許可した相手にも見せることができるので俺は試験官全員に許可をだし、見せる。
名前:アルス・ヴェスター(10)
LV:25
体力:3000
魔力:200
スキル:剣術lv7 弓術lv3 魔力武装lv2 行動予測lv3
固有スキル:剣術理解lv6
「よろしくお願い致します」
「ほぉ〜、これは凄い!!今年は豊作だ!!君は間違えなく合格だ。」
「……あと、1つ聞きたいんだがその背中のバスターソードはどうしたんだい?」
「あ、えっと、これは餞別に家族からもらいました」
「そうか、ありがとう。もう行っていいよ」
そうして、この簡単な面接は終わり、今日のうちに学生寮へと入寮した。
入学式です。




