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79 出発するも、とんでもない事態に……!?


「どうかしましたか?」


「実は、走っていこうと考えていたんですよ」


 シモーヌさんに尋ねられ、元々考えていたシプレの街へ向かう計画を話す。


「わ、わかりました。私も走ります!」


 シモーヌさんが徒競走の構えでアピールする。


 これは、街までマラソンさせると勘違いさせてしまったかな。


「いえ、そうではなくてですね……」


 どう説明したものかと悩みながら言葉を紡ぐ。


「はい……」


 シモーヌさんが俺の言葉の先を待ち、真剣な表情で頷いてくれる。


 が、いい言葉が浮かばない。


 話す事はできても、信じてもらえない気がするんだよな……。


 これは実際に見せた方が早いかもしれないな。


「ミミ、小さくなって」


『はーい!』


 事情を察知したミミは小さくなると、俺の胸ポケットに飛び込んだ。


 鞄は拾ってアイテムボックスへ収納しておく。


「説明するのが難しいので、失礼します」


「きゃっ」


 俺は返答を待たずにシモーヌさんを横抱きにした。


「じゃあ、走りますんで、しっかり掴まっていてくださいね?」


 と、言うと軽く駆ける。


 いきなり速度を出すと驚かれる可能性を考え、なるべくゆっくり。


 段々と速度を上げ、慣れていってもらおう。


「え? ぇ? ええええええええええええッ!?」


 シモーヌさんは速度が上がるにつれて声も上がり、最終的には絶叫へと到達した。


 それでも走っていると、慣れてくれたのか声が枯れたのか分からないが、途中から声はしなくなった。


 自分が走りやすい速度を維持し、一時間ほど走ったところで減速。


 そろそろ、休むか。


「ふぅ。一旦休憩にしますか」


 立ち止まった俺は、シモーヌさんを降ろした。


『はーい』


 ミミも胸ポケットから飛び降り、元の大きさへ戻った。


「はぁ……はぁ……。死ぬかと思いました……」


 ずっと走っていた俺より、疲労の色を見せ、顔が真っ白となったシモーヌさんが息も絶え絶えに呟く。


「大丈夫ですか? また走りますけど……」


「す、少し、少しだけ寝ます。休めばなんとかなりますんで」


 シモーヌさんはそう言うと、ふらふらと倒れるようにして地面に仰向けになった。


 倒れたその姿は眠っているというより、埋葬された死体を連想させるほどのカチカチ具合で微動だにしない。


 ……これ、気絶してるわけじゃないよな?


 心配になって近づけば、すーすーと静かな寝息が聞こえた。


 どうやら大丈夫そうだ。


 ほっとして体を起こしていると、人の気配が近づいてくるのが分かった。


 顔を上げれば、大きな荷物を背負った商人風の人が手を掲げながら声をかけてきた。



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