200 予選開始するも、とんでもない事態に……!
次第に辺りが静まり返り、緊張感が漂い始める。
どうやら、開始準備が整ったみたいだ。
「あ、始まるみたいですよ」
俺は、両手を口元に添え、応援の体勢に入る。
すぐにでも声援を送りたいが、スタートの合図が出るまでは静かにしていた方がいいかな。
下の様子を窺えば、全車スターティンググリッドにつき、スタートの合図を待つ状態となっていた。
ジョゼさんのグリッドはあまりいい位置ではない。
抽選でいい場所が引けなかったのだろう。
俺は固唾を飲んでスタートを見守る。
視線の先では、赤く点灯していたシグナルがカウントダウンするように一つずつ消えていく。
そして最後に全てが青く点灯し、サイレンが鳴った。
レース開始だ。
途端、全車が一斉にスタートする。
そんな中、ジョゼさんが出遅れた。
なんせ試運転もしてないので、起動にモタついてしまったのだ。
やばいぞ。
とにかく気合を入れて応援せねば。
「フレー! フレー! ジョゼっさん!」
『頑張れ! 頑張れ!』
「勝ちなさい! 何としても勝つのよ!」
三者三様に叫び、ジョゼさんを応援する。
応援が届いたのか、ジョゼさんの魔走車がやっと発進した。
初めこそ危なっかしい動きをしていたが、スピードが出ると走行が安定していく。
ジョゼさんの魔走車はドンドン速度を上げていった。
先に発車したグループへと追いつき、一台、二台と抜いていく。
予選はコースを三周し、順位を競う。予選通過できるのは三位までだ。
一周目序盤、ジョゼさんは中位グループの真ん中後方に位置していた。
二周目後半、魔走車の扱いに慣れてきたのか、カーブでの減速が減り、上位陣に追いつき始める。
三周目突入時、直線での速度が増し、一気に上位グループに加わる。順位は五位となった。
「行っけえええええ! 頑張れーッ!」
『頑張ってー!』
俺とミミは声を枯らさんばかりに叫ぶ。
「抜けえええ! 抜くのよおおおおお!」
そう叫ぶヴィヴィアンさんはジョゼさんから貰った腕時計を祈るように握っていた。
ヴィヴィアンさんの声援が通じたのか、ジョゼさんの魔走車は最終コーナー抜けた後、グングン加速。
順位を四位に上げ、三位の魔走車に肉薄、追い越しに掛かる。
そして、フィニッシュライン直前。ギリギリで三位の魔走車を抜ききった。
「やったぁああ!」
『わーい!』
「ほら! だから黙って見てろって言ったじゃない! ジョゼは凄いんだからね!」
と、三人で抱き合って喜び合う。
三位入賞。これで予選通過だ!
レースの展開を見守っていたギャラリーも、ジョゼさんの魔走車に対する意見が変わったらしく、凄いとか、見た目がかっこいいなどという言葉が漏れ聞こえてくる。
この変化はジョゼさんの努力が実り、実力で勝ち取ったものだ。
これはちょっと、自分のことのように嬉しいな。
うちの先生は凄いんだぜ。
それはヴィヴィアンさんも同じらしく、顔が絶妙に緩んでいた。




